小説『不夜城』や『少年と犬』などで知られる作家・馳星周さんによる競馬エッセイ『黄金旅程な週末』。ステイゴールドとその一族の熱烈なファンである著者の奮闘振りをお楽しみください。
▼直木賞「少年と犬」映画化のお知らせ
第163回直木賞を受賞した馳星周さんの名作小説『少年と犬』(文春文庫)が映画化されることになりました。公開は2025年3月20日です。
※今回が2024年最後の更新です。次回の更新は1/9(木)になります。
さあ、年内の中央競馬も残すところあとわずか。ドウデュースの出走取り消しも「あ、そなの?」ぐらいの感じで、我が家では有馬の盛り上がりには欠けるけど、一族が1頭でも多く勝ち上がれるよう応援するのみ。
そしてそして、大障害のマイネルグロン。怪我明けからここに合わせて調整してきているはず。復活を大いに期待している。
土曜は中山1Rから。母母父ドリジャのトリリオンボーイ。なんだよ、1番人気じゃないの。ここはなんとしてでも勝ってもらわなければ。2、3番人気の馬が相手では馬単もつかないので、ここは4番人気、レイオーバーに期待。トリリオンからの馬単1点で勝負。
お願いだから、2、3番人気の馬は3着以下で。
ところがっ! 1~4番人気が人気どおりの着順。馬券は外れたけど勝ったからよし。ステイの玄孫の中央勝利はこれが初めて。血は受け継がれていくのだ。
いやしかし、2場開催ってこともあるのだろうが、午前中、一族の出走少ないなあ。京都なんて壊滅的じゃないか。今の荒れた馬場、一族に合うと思うのだが、なんで出走させないのか。
中山3Rに一族が2頭出走も力足りずと見てケン。
京都4Rにやっと一族の名前が。スカイテーラー、ウインベラーノ、プレミアシップ。スカイは足りないか。まずはベラーノとプレミアのワイド。上位人気馬なら、クリスチャンのリンクスティップかな。ベラーノとリンクの馬連ワイド。
リンク見事に1着も、ベラーノが6着まで。
午前中はここまで。中山大障害まで脚を溜める予定なのだ。
中山8R、母母父ステイのガラスノブルースが4番人気。ここは1番人気のマケズギライが強いかなあ。ガラスとマケズに5番人気のグランプレジールを入れた3連複。
プレジール2着もガラスとマケズが飛ぶ。
中山9Rノエル賞に一族が大挙して登場。大将格のキャントウェイトが3番人気。続いて6番人気トラストボスとの馬連ワイドを買いたかったのだが、なんだよ、鞍上コーセイミウラ君かよ。
まずはキャントから1、2番人気の馬に流した馬単。それから、いろいろ迷ったけど、キャントから一族5頭にワイドで流す。もうすぐクリスマスだもんね。どーんと行こう。
キャントウェイト1着、2番人気のレッドテリオスが2着で馬単は19倍。他の一族はトラストボスの6着が最高。
とりあえず、勝ったし馬券も当たった。キャントウェイト、新馬戦以来の勝ち鞍、おめでとう!
京都10R御陵Sにメイプルタピット。前走勝利も、鞍上の渡辺竜騎手を見くびって馬券買わなかったんだよね。今回もお願いしますよ、渡辺君。
1番人気、モンブランミノルとの馬連。ワイドだとつかないので、2番人気ルシュヴァルドールを入れた3連複でどうだ?
1、3着は期待通りも2着が人気薄、メイプルは離された4着。昇級戦は敷居が高かったか。でも、目処はついたぞ。
中山大障害。もちろん、買う馬券はマイネルグロンの1着固定だ。少頭数で馬単でもあんまりつかないよね。ここはさ、中山大障害が大の得意、ニシノデイジーと込みで行こうか。世話になってる谷川牧場の生産馬だしね。
1着グロン、2着デイジー、3着にエコロデュエル、ジューンベロシティ、ネビーイームを並べた3連単フォーメーション。
行け、グロン。怪我で一頓挫はしたものの、オジュウの次代を継ぐのはおまえだ!
がしかし、グロン、スタート直後からかかりまくり。
ああ、これじゃ最後まで保つわけがない。
挙げ句、出入りの激しい競争を続けて、最終障害で落馬。うそーん。
結果、デイジー、デュエル、ネビーで入線。脚元は大丈夫そうだったし、まともに走ってくれてたら馬券取ってたと思うんだけどなあ。
でも、まともに走らないのが我が一族。結果を潔く受け止めるしかない。
京都メイン、阪神Cにトゥラヴェスーラ。前走は3着激走で美味しい馬券を取らせてもらった。馬場が荒れた京都はドリジャっ仔の庭。今日も人気ないよなあ。いい走りを続けても、一向に人気が上がらない。年齢のせいもあるんだろうけど、ムカつくわ。今日も一発見せてくれ。
妻が「相手はマーベル」と一言。はいはい、前走、儲けさせてもらったもんね、わかってますよ。
トゥラヴェスーラからマーベルとナムラクレア、それに、調教めっちゃよさそうなマッドクールに流したワイド3点。マッドクールが来てくれたらめっちゃ美味しいよ。
トゥラヴェスーラ、珍しく好発を決め、馬群前団からの競馬。いつもと違うけど、大丈夫かな? 京都、外差し馬場じゃない?
不安が頭をよぎる。直線、好位から抜け出したのはマッドクール。やっぱ、調教よかったもんねえ。マッドクールの馬券内は確実。
後は、来い来いトゥラヴェスーラ、来て来てトゥラヴェスーラ!!
大外をすっ飛んできたクレアが1着。同じく後方待機組のオフトレイルが3着。トゥラヴェスーラ、懸命に走るも惜しい7着。
ほらあ、やっぱり外差しじゃん。いつもと同じ競馬してたら来てたじゃん。
愚痴を呟いても後の祭り。
中山メイン、グレイトフルS。有馬と同じ芝の2500メートルにアスティとヴェルミセル。アスティは足りないかな。でも、ヴェルミセルはなんとかなるんじゃない?
2番人気アドマイヤサジーとのワイド。サジーだいじょうぶでそ。鞍上丹内君だし。
4角から直線、内がごちゃつき、サジーが抜け出せない。それを尻目に、後方待機組が外を伸びてくる。
あれ? あれ? 1頭だけ違う脚色の馬、ヴェルミセルじゃない?
ヴェルミセルでした。
行け、ヴェルミセル、勝っちゃえ!!
サジーがどこにもいなくて馬券の外れは確定だけど、そんなことお構いなしに叫びまくる我ら夫婦。
その声援が届いたか、ヴェルミセル、見事1着!!!
ようやった、ようやった。グロンとトゥラヴェスーラの悔しさが一気に晴れたぞ。ありがとう、ヴェルミセル。
そして、日曜日。
最初のレースは中山2R。スムースオペレターとドーバーブライト。スムースは足りないけど、ドーバーは勝ち負け。
まずはドーバーから1番人気、ブレトワルダへの馬単。それから、5番人気グレーターバーチュを入れた3連複を添える。
ドーバー、馬群後方から直線差し脚伸ばして見事1着。2着ブレトで馬単15倍。朝からありがとう~。
京都3Rに一族4頭。このうちカルドウェルが3番人気。ここは勝って欲しいなあ。1、2番人気の馬に流した馬単。それから、一族のジュンライトニングへワイド。
人気上位3頭でレースを引っ張る形。直線で、カルドウェルだけが失速。1、2番人気が強すぎて、それについていったのが仇になったか~。
中山4Rにも一族がずらり。このレースがこの日の我ら夫婦の勝負レース。ゴルシ産駒のマカナは前走がいい競馬で調教もいい。勝ち負けでしょ。まず、一族の中からウインブライト産駒のイフルジャンスを指名してワイド。それから、5番人気のコアが強いと思うのでマカナとの馬連。そして、1番人気ロジャリーマインを入れた3連複。
マカナ後ろ目からの競馬。4角から進出、いい手応え。これなら直線弾けるぞと思ったら、6番の馬が外に膨らんできて急ブレーキ。あれ? イフルジャンスも不利受けてるじゃん(号泣)。
結果、マカナの邪魔をした馬が2着。失格だろ、失格!!
イフルジャンス4着、マカナ6着。
しょうがない。次走で勝とうぜ。
京都5R障害未勝利。オルフェっ仔のアルデドゥオーモが7番人気と舐められている。
ふふん、障害に転向してから6着、5着。そろそろ走り頃なんですよ。知らないの? 3番人気カイトレッドとの馬連ワイド。
かなり自信があったのだが、アルデ、出遅れてスタート直後に終了。
勘弁してよ。
中山8R冬至特別にミライテーラー。休み明けで調教本数も微妙だけど、馬券内はなんとかなるでないかい?
最内枠から好位追走がかないそうな8番人気、ロープスピニングとのワイドを。
がしかし、ミライもロープも直線で失速。やっぱ、調教本数足りなかったかあ。
中山9RグッドラックHCにプレイリードリーム、ウインマイルート、ハイラント。みんな人気がないけど、プレイリーは並びがいい。これなら好位追走可能で、速い馬場の中山でも行けそう。
大外でもルメさん騎乗で侮れない1番人気、スティンガーグラスとのワイドでどうか。
プレイリー、読みどおり好位追走も直線で脚を伸ばせず。やっぱ、荒れ馬場の京都が最適条件なのよなあ。ピンク帽のハイラントが差し脚伸ばして4着。狙うならこっちだったか。
京都10RサンタクロースSにエリダヌスとロワンディシー。ここはホウオウプロサンゲが面白い。逃げられそうだし、逃げたら強いよ。ということで、プロサンゲから一族2頭へのワイド。
プロサンゲ、ハナ切って快勝。しかし、前が止まらない展開で、一族2頭は惨敗。
中山10RオルフェーヴルC。一族いないけど、オルフェの名前が冠されたレースだし、いっちょ参戦してみるかと、ウイン丼兼マーカンドとドイルの夫婦馬券でもあるウインレイアーとウインアイオライトのワイドを。
ゴール前、馬券いただきとぬか喜びしたのも束の間、アイオライトが脱落。
まあ、そんなものよなあ。
京都メイン、りんくうSにクリノマジン。近況さっぱりだし、しんがり人気。それでも1番人気スターターンとのワイドを。
マジン、見せ場もなく。
そして、有馬記念。
ドウデュースいないなら、スローペースになるでしょ。だったらベラジオオペラからかな?
直前まではそう思っていたのだが、昨日のヴェルミセル、そして今日のスティンガーグラスのレースが頭に浮かんだ。どっちも外枠ですよ。2、3着には内枠の馬が来てるけど、結構外差しなんじゃない?
妻と協議した結果、ローシャムパークとジャスティンパレスのダブル本命。2頭からスターズオンアースとスタニングローズに流したワイドを購入。
結果は知っての通り。レガレイラとシャフリヤールの壮絶な叩き合い。制したのはレガレイラ。いや、いい競馬を見させていただきました。
京都最終にショウナンラウール。だれを相手にしようかと悩んでいたら、妻が「友ちゃんの馬」と言う。ふーん、システムリブートね。乗り替わりだけど大丈夫かな? でも、妻の閃きは侮っちゃいかんからな。ラウールとシステムのワイドを購入して、愛犬、アイトールとの散歩に出る。
この時期、4時を過ぎると暗くなっちゃうので最終レースは諦めて散歩に出かけるのだ。
30分ほど歩いて戻ってくると、妻が鼻歌まじりに新聞を見ている。超ご機嫌だ。
「ラウール、来た?」
わたしが問うと、妻はドヤ顔になった。
「ラウールだけじゃないの。友ちゃんも来たの」
なんと凄まじい。ラウールとシステムのワイドは74倍。二日間の負けを取り返してお釣りが来たわい。
こうして、我が家の有馬ウイークはハッピーエンドを迎えたのであった。
さてさて、今年のコラムはこれが最後。亀谷競馬サロンのみなさん、よいお年を!