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王様・田端到の「名馬に学ぶ馬券術」 01/26 (木)

【第3回】展開をシンボリルドルフに学ぶ(入門編)/王様・田端到の「名馬に学ぶ馬券術」

名馬を題材にしながら、初級者向けの入門編から、中級者向けの応用編まで、馬券術のさまざまなファクターや考え方をまとめていく連載。第3回に取り上げるのは、シンボリルドルフと展開です。

シンボリルドルフは1984年の三冠(皐月賞、ダービー、菊花賞)を、無敗のまま制した名馬中の名馬です。さらに3歳で有馬記念、4歳で天皇賞・春、ジャパンC、有馬記念と、GIを計7勝。「皇帝」のニックネームでも知られました。(※年齢は現在の表記に合わせた)

最後のレースになった米国遠征を除くと、国内では15戦13勝。負けたのは以下の2戦だけです。

3歳のジャパンC・3着。勝ち馬カツラギエース。
4歳の天皇賞・秋・2着。勝ち馬ギャロップダイナ。

なぜ昭和の最強馬シンボリルドルフは、この2戦で敗れてしまったのか。敗因のひとつが「展開」です。

展開とは、

・どの馬が逃げるのか。どの馬は後方か。
・1頭がすんなり逃げるのか、複数の馬が逃げ争いをするのか。
・ペースは速くなるのか(ハイペース)、遅くなるのか(スローペース)。

ほかにも「ペースの緩急があるのか、平均的な速さで流れるのか」「上がりタイムは速くなるのか」なども展開に含まれますが、シンプルにまとめれば「どの馬が逃げるのか。ペースは速いか、遅いか」、これが展開の基礎です。

なぜ、展開が重要かというと、展開によって、能力の劣る馬が強い馬に勝ってしまうことも起きるからです。

スローペースで流れると、逃げ馬や先行馬が有利になりやすい。

ハイペースで流れると、後方につけた差し馬が有利になりやすい。

これが入門編の原則です。

人間の陸上競技を思い浮かべてください。あなたとキプチョゲが5000mで競走するとします。キプチョゲというのはリオ五輪と東京五輪のマラソンを連覇した、世界最強の長距離ランナーです。普通に競走したら、あなたが負けるに決まっています。しかし、最初からスローペースで流れて、4900mまでずっとスロー。残り100m地点であなたがキプチョゲより20m前にいたら、どうでしょう。

スローペースのおかげで余力を残したあなたは、残り100mを全力で走ればいい。キプチョゲも残り120mを全力で走りますが、短距離の速さは世界一ではないから、あなたにも勝つチャンスがある。

競馬ではこういうことがちょくちょく起こります。これが展開の怖さ、面白さです。

まとめます。スローペースになると、最後の直線に向いた時点でどの馬にも余力があるため、少しでも前にいる馬が有利。後ろの馬がいい脚を使っても、前の馬もいい脚を使えるため、差が詰まらない。

ハイペースになると、逃げ先行馬は最後の直線に向いた時点で余力があまり残っていない。一方、後方にいた差し馬はハイペースで走ったわけではないので余力があり、前の馬がバテたところを、一気に逆転できる。

シンボリルドルフに戻ります。無敗の8戦8勝で菊花賞を制し、三冠馬になった皇帝は次走、ジャパンCへ向かいました。当時のジャパンCはまだ日本馬が一度も勝ったことのないレース。日本馬は外国馬に挑戦する立場です。

この1984年のジャパンCには、シンボリルドルフの他にもう1頭の三冠馬が出走しました。ミスターシービーです。2頭の三冠馬が同じレースに揃うだけでも数十年に一度の胸熱な出来事なのに、それが外国馬に立ち向かうジャパンCで実現した。当時の盛り上がりがどれだけすごかったか、想像してみてください。

しかし結果は、少数派しか予想できなかったものでした。10番人気のカツラギエースが逃げると、他の人気馬は牽制し合い、ペースはすんなりと落ち着きます。前半1000mは61秒6で進み、スローというほど遅くありませんでしたが、後続が誰も追いかけなかったため、カツラギエースが楽にリードを保つ展開。向正面では2番手以降に10馬身以上の差をつける大逃げになりました。

シンボリルドルフは先行集団の5、6番手、ミスターシービーは最後方の14番手に位置します。ある中継は「カツラギエースが玉砕的に逃げています」と実況しました。

東京競馬場、最後の直線。大逃げを打ったカツラギエースのリードがあっという間になくなり、後続が追いつきます。さあ、シンボリルドルフが抜け出すのか、ミスターシービーが後方から強襲するのか、それとも外国馬か。

ところが、そこからもう一度伸びたのはカツラギエースでした。バテたように見えて、脚をためていたのです。

カツラギエース、逃げ切りの1着! 日本馬が初めてジャパンCを制した快挙であり、シンボリルドルフが初めて負けた瞬間でもあります。ルドルフは3着、ミスターシービーは10着でした。

1984年ジャパンカップの結果

カツラギエースも強い馬で、決してこのジャパンC優勝がフロックだったわけではありません。でも、単騎で楽な逃げを打ち、外国の有力馬がおそらくシンボリルドルフをマークしながらレースを進めた“展開”が、カツラギエースにとって有利に働いたのは間違いありません。

無敗が止まったシンボリルドルフは次走の有馬記念で、今度は逃げるカツラギエースを早めにつかまえに行き、あっさりと差し切りました。

展開が変われば、着順も変わる。能力の順番にゴールするわけではないのです。

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田端到 近影

田端到

1962年、新潟生まれ。週刊誌記者を経てフリーのライターに。辛辣ながらも軽妙な文章には定評があり、馬券初心者からベテランまで多くのファンを持つ。近著に「田端到・加藤栄の種牡馬事典」シリーズ、「金満血統王国」シリーズなど。ウェブサイト・noteでは競馬マガジン『王様の極楽競馬天国』を連載中。

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