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王様・田端到の「名馬に学ぶ馬券術」 02/02 (木)

【第4回】展開を厩舎作戦から考える(シンボリルドルフ応用編)/王様・田端到の「名馬に学ぶ馬券術」

競馬予想においてきわめて大事なファクターである「展開」。この基礎を学ぶのに適した名馬がいる。1984年の三冠馬シンボリルドルフだ。

シンボリルドルフが初めて負けたのは、3歳のジャパンC。外国馬に立ち向かう中、カツラギエースの単騎逃げを許し、逃げ切られてしまった。どんなに強い馬でも「展開」によって敗れてしまう──。これが前回の初級編の概要です。

シンボリルドルフは3歳のジャパンCのほかにも、もう一度だけ国内で敗れています。4歳の天皇賞・秋、ギャロップダイナに差し切られたレースです。

この天皇賞・秋、1番人気シンボリルドルフに次ぐ2番人気に支持されたのはウインザーノット。凱旋門賞馬サンサンを母に持つ、高松邦男厩舎の馬でした。

レースがスタートすると、果敢にダッシュして逃げたのは人気薄のリキサンパワー。こちらも高松厩舎の馬です。

リキサンパワーが飛ばす速めのペースを、スズマッハ(ダービー2着)やニシノライデン(京都新聞杯)らの有力馬が追いかけ、それに合わせてシンボリルドルフも早めの仕掛けで前の馬をつかまえに行きます。前年のジャパンCでカツラギエースに逃げ切られた同じ轍は踏むまいという意識があったのか。

早めに動いたシンボリルドルフの後ろで、じっとしていたのがウインザーノットです。同じ厩舎のリキサンパワーに速いペースで引っ張らせ、自分は中団のインコースで仕掛けのタイミングを待つ。邪推も含めて言うなら、打倒シンボリルドルフの厩舎作戦だったのかも知れません。昭和の競馬には、このような同じ厩舎の連携プレーのような乗り方がよく見られたものです。

最後の直線。シンボリルドルフの外からウインザーノットが並びかけます。2頭の一騎打ち……かと思われたそのとき、大外からすごい末脚で1頭の馬が飛んできました。あっと驚く13番人気のギャロップダイナです。

1着ギャロップダイナ、2着シンボリルドルフ、3着同着ウインザーノット。ウインザーノットが王者ルドルフを厩舎作戦で苦しめたその成果は、後方待機の別の馬にかっさらわれてしまったのです。

展開にはこのような要素も含まれます。同じ厩舎、または同じ馬主の馬が複数いる場合、1頭はハイペースで引っ張る役に回り、もう1頭の差し馬をサポートする。あるいは、ライバルの馬に馬体をかぶせて、消耗させる役に回る。同厩舎や同馬主の連携作戦を読み取れるようになれば、あなたも中級者の仲間入りです。

シンボリルドルフが早仕掛けをしたことも「展開」のひとつです。レースの流れは、前半のペースが速いか遅いかだけでは決まりません。前を行くのが有力馬であれば、他の有力馬も早めに動くことが多い。逆に前を行くのが人気薄の馬で、1番人気の馬が後方に控えていたら、他の有力馬も後ろを気にして、仕掛けが遅めになることが多い。

2022年の天皇賞・秋ではパンサラッサの大逃げが話題になりました。最後はイクイノックスが豪脚で差し切り、ルメール騎手は『あんなにパンサラッサが前にいるとは知らなかった』と冗談めかして言いましたが、結果から見ればパンサラッサを追いかけなかったことが、かえって良かったのかも知れません。

もし、あのパンサラッサの大逃げをイクイノックスがもっと早めにつかまえに行っていたら、2着イクイノックス、3着パンサラッサで、1着はダノンベルーガだったかも知れない。これは例え話の妄想でしかありませんが、展開とはそういうものです。

2022年天皇賞・秋の結果


シンボリルドルフの話は以上で終わりですが、パンサラッサのついでにもうひとつ補足を。

スローペースで流れると、逃げ馬や先行馬が有利になりやすい。
ハイペースで流れると、後方につけた差し馬が有利になりやすい。

これが展開の基礎だと前回に書きました。しかし、あくまでも基礎です。

スローペースのほうが得意な差し馬もいる。
ハイペースのほうが得意な逃げ馬もいる。

これが応用編であり、パンサラッサはハイペースで持ち味を活かすタイプの代表的な逃げ馬です。自ら速いペースに持ち込んで、追いかける後続の末脚をなくし、粘り込む。いわゆる肉を切らせて骨を断つ戦法です。スローペースに落としてしまうと、ラストが切れ味の勝負になり、これがパンサラッサにはデメリットになる。

ラストの切れ味に長所がある馬なら、少しでもスローペースに落として、最後の直線を迎えた時点で前にいるほうが有利。でも、切れ味より、スタミナや、スピードを持続させる能力に長所のある逃げ馬は、あまりペースをスローに落とさないほうがいい。これも展開の大事な考え方です。

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田端到 近影

田端到

1962年、新潟生まれ。週刊誌記者を経てフリーのライターに。辛辣ながらも軽妙な文章には定評があり、馬券初心者からベテランまで多くのファンを持つ。近著に「田端到・加藤栄の種牡馬事典」シリーズ、「金満血統王国」シリーズなど。ウェブサイト・noteでは競馬マガジン『王様の極楽競馬天国』を連載中。

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