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王様・田端到の「名馬に学ぶ馬券術」 05/11 (木)

【第17回】京都の内回りと外回りの違いをヒシミラクルに学ぶ/王様・田端到の「名馬に学ぶ馬券術」

『田端到・加藤栄の種牡馬事典』で知られる田端到氏が、馬券術の入門から応用まで競馬予想の考え方・コツを伝授する『王様・田端到の「名馬に学ぶ馬券術」』。

今回のテーマは前回に引き続き「内回りと外回りの違い」です。ぜひお楽しみください!



内回りと外回りの違いを名馬に学ぶ。今回は新潟競馬場と、京都競馬場です。

まず、ローカルで唯一、内回りと外回りが設定されている新潟競馬場を見ていきます。

新潟の内回りと外回りの違いは、直線の長さです。内回りは358.7m、外回りは658.7m。なんと300mも違う。もはや別の競馬場だと思ったほうがいい。

芝1200、芝1400、芝2200、芝2400などが内回りコース。芝1600、芝1800、芝2000などが外回りコースです。一部例外あり、未勝利クラスの芝2000は内回りも使われます。芝1000は直線コースです。

▼参考/JRAホームページ
新潟競馬場 コース紹介


直線の長さが300mも違えば、内回りは先行有利、外回りは差し有利と考えたくなりますが、意外とそうでもない。

例えば内回りの芝1400と、外回りの芝1600を比べると、後方10番手以下に付けた差し馬の勝率や複勝率はほとんど変わりません。逃げた馬の勝率や複勝率は芝1400のほうが高いですが、2番手から4番手に付けた先行馬の勝率や複勝率は逆に芝1600のほうが高い。

いちいち全部覚える必要はないとしても、単純に内回りは先行有利、外回りは差し有利でないことは知っておくべきでしょう。脚質どうこうより、外回りはいい脚を長く使える馬に向き、内回りは一瞬の速い脚を使える馬に向く。この違いです。


続いて京都競馬場。

芝1200、芝1400と芝1600の新馬と未勝利戦、芝2000などが内回りコース。芝1400と芝1600の1勝クラス以上、芝1800、芝2200、芝2400、芝3000、芝3200などが外回りコースで行われます。一部例外あり。

▼参考/JRAホームページ
京都競馬場 コース紹介


京都も阪神同様、内回りを横に引っ張って横長にしたような形状が外回りなので、直線の長さが違います。内回りは直線328.4m、外回りは直線403.7m(Aコース使用時)。約75m、外回りが長い。

しかし、もっと重要な違いがあります。それは勾配の差です。JRAホームページのコース立体図を見てもらうとわかりますが、3コーナー手前からの登り坂を延長したのが外回りコースのため、登り坂が長く、急勾配になります。当然、坂の頂点からの下り坂も長く、急勾配になります。

内回りの高低差は3.1mなのに対して、外回りの高低差は4.3m。この違いが大きい。特に外回りの下り坂は、残り800m地点から一気に下るため、レースの流れに多大な影響を与える。ここからペースアップしてレースが動きやすいのです。

競馬実況の吟遊詩人・杉本清アナウンサーの「この坂は、ゆっくりと、ゆっくりと、下らなければいけません」という有名なフレーズを知っているでしょうか。これは、京都の下り坂をペースアップして走ってしまうと、ゴールまでまだ800mあるため、最後まで持たない恐れがある。だからゆっくり下らなくてはいけないと、当時の名ジョッキーに聞いたことから生まれたフレーズとされています。

京都の外回りは下り坂からペースアップするため、上がり4ハロンのロングスパート勝負になる。その結果、長い末脚を使える馬や、欧州血統を持つ馬がよく走る。これが内回りとの重要な違いです。

この独特なコース形状は、特に長距離戦において「淀のスペシャリスト」を生みます。京都の長距離は2度の登り坂と下り坂があるため、ここだけはお任せという特化型のステイヤーに陽を当てるのです。

ヒシミラクルに登場してもらいましょう。デビューは2001年の2歳夏。初勝利は3歳5月の未勝利クラスという遅咲きの馬でした。勝ち上がる前に馬券になったのは京都の外回り芝1800だけです。

そして初勝利から5ヶ月後、ヒシミラクルは菊花賞の舞台に抽選で滑り込み、単勝10番人気という伏兵扱いの中、強烈なレースを見せます。

通過順は14-13-7-2。角田晃一騎手(現・調教師)が3コーナー手前の登り坂からポジションを上げ、下り坂では外から手綱をしごきながら上がっていく。4コーナーで早くも先頭に並びかけ、3分5秒9の1着! 晩成ステイヤーの驚異のロングスパート勝利でした。

ところが、その後のヒシミラクルは有馬記念11着、阪神大賞典12着、大阪杯7着と、いいところなし。

あの菊花賞はフロックだったのではないかという声が強まった2003年の天皇賞・春。7番人気まで評価が下がったところで、再び淀のスペシャリストが本領を発揮します。

通過順は11-11-9-7。ゆっくりと下らなくてはいけない下り坂からぐいぐいと手綱を押して上がっていくと、大外を回って3分17秒0の1着! 追い通しだった角田騎手は、ぜいぜいと息を切らしながら勝利騎手インタビューに答えました。

京都外回りの長距離の特殊さを思うとき、いつもヒシミラクルを思い出します。

ヒシミラクル 京都外回り重賞の成績
▲ヒシミラクル 京都外回り重賞の成績

ヒシミラクル 京都外回り以外の重賞成績
▲ヒシミラクル 京都外回り以外の重賞成績

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田端到 近影

田端到

1962年、新潟生まれ。週刊誌記者を経てフリーのライターに。辛辣ながらも軽妙な文章には定評があり、馬券初心者からベテランまで多くのファンを持つ。近著に「田端到・加藤栄の種牡馬事典」シリーズ、「金満血統王国」シリーズなど。ウェブサイト・noteでは競馬マガジン『王様の極楽競馬天国』を連載中。

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