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王様・田端到の「名馬に学ぶ馬券術」 08/03 (木)

【第29回】最重要ファクター2番目「当該距離成績」/王様・田端到の「名馬に学ぶ馬券術」

『田端到・加藤栄の種牡馬事典』で知られる田端到氏が、馬券術の入門から応用まで競馬予想の考え方・コツを伝授する『王様・田端到の「名馬に学ぶ馬券術」』。

今回のテーマは馬券予想において重視すべきファクターの1つ「当該距離成績」です。ぜひお楽しみください!



競馬予想の最初にもっとも重視するべき3項目は、次の3つだと前回に書きました。

(1)各馬の当該競馬場成績
(2)各馬の当該距離成績
(3)各馬のクラス別成績

今回は2番目の「当該距離成績」について、です。

1800mのレースなら「1800mの距離成績」を、2000mのレースなら「2000mの距離成績」を出走全馬について確認する。これが当該距離成績を重視する考え方です。

このとき大事なのは、1800mは得意だけど2000mは得意じゃない馬や、1600mは得意だけど1400mは得意じゃない馬など、わずかな距離の違いで成績の変わる馬を見つけ出すことです。

例えば、先週行われた重賞のクイーンSから、2番人気だったルビーカサブランカをピックアップしてみます。前回同様に「当該距離成績」と「当該競馬場成績」を表示した出馬表を載せます。


クイーンSの出馬表/各馬の「芝1800m成績」と「札幌・芝成績」
▲クイーンSの出馬表/各馬の「芝1800m成績」と「札幌・芝成績」


ルビーカサブランカの距離成績。

芝1800mは【1-1-2-8】、そのうち重賞【0-0-0-3】
芝2000mは【3-5-3-5】、そのうち重賞【1-2-0-3】
芝2200mは【1-0-0-1】、そのうち重賞【0-0-0-1】

一目瞭然。芝2000mがもっとも得意な距離で、芝1800mでは成績が落ちる。重賞の連対も芝2000mのみ。芝1800mでは後方から差を詰めるものの、わずかに届かず4着か5着という競馬を繰り返している。これがルビーカサブランカの距離適性です。

クイーンSは芝1800mの重賞。前走2着した函館記念は芝2000mの重賞です。

A: 「1800mと2000mなんか似たようなもんだろう。そんな違いは気にしてないよ!」

B: 「ルビーカサブランカが芝1800mでいまいちなのは知ってるけど、いつも上位には来るから、ルメールが乗るなら買わないと!」

C: 「1800mいまいちで2000m得意な馬が、前走2000mで好走して、今回1800mで人気になっている。これは迷わず消しだ!」

ABC、どれが正しい選択でしょうか。いや、正解はそのたびに違うかも知れない。でも、自分はこんな場合にABCのどれを選ぶのか、そのフォームは持っておくべきです。

当該距離成績を重視する考え方なら、Cの一択です。注目するべきは芝1800の成績であって、芝2000の成績ではないからです。結果、クイーンSのルビーカサブランカは4着に敗れました。

他の馬についても見てみます。上の出馬表で、芝1800m成績のところにパーセントが記されているのは連対率です。

これが50%以上の馬を内枠から順にピックアップすると、コスタボニータ、ウインピクシス、ドゥーラ、グランスラムアスク、イズジョーノキセキ。この5頭が「当該距離成績の優秀な馬」です。

結果はどうだったか。1着ドゥーラ、2着ウインピクシス、3着コスタボニータ、全部入ってます。鮮やかすぎて、逆にうさんくさい。きれいに当てはまった例を探し出してきたみたいです。

でも、そうではありません。前回「当該競馬場成績」を取り上げたときは、終わったばかりの中京記念を例にして、今回「当該距離成績」を取り上げるにあたっても、終わったばかりのクイーンSを例にしている。なんならアイビスサマーダッシュを例に「1000m成績」を題材にしてもいい。

当たった例を探して引っ張り出してきたのではなくて、意図せずとも、先週終わったばかりの重賞がきれいに当てはまる。それだけこの考え方の汎用性が高く、使える馬券術だということです。

過去の名馬にも、距離がほんの少し違っただけで成績が大きく変わった馬はたくさんいます。リアルスティールを紹介しましょう。

リアルスティールは父ディープインパクト、全妹にラヴズオンリーユー。牝系は名馬ミエスクにさかのぼり、祖母がキングマンボの全妹という良血馬でした。

まず芝1800mの共同通信杯を快勝し、クラシックの主役候補の1頭となったものの、皐月賞は2着、ダービーは4着、菊花賞は2着。G1では惜敗が続きました。

しかし、4歳で芝1800mのドバイターフに遠征すると、世界の強豪相手に快勝。初のG1タイトルを手にします。

ならば日本でもG1をと期待されますが、結局、国内のG1は勝てず、芝1800mの毎日王冠で勝利を追加。すべての勝ち星が芝1800mという「1800最強馬」として君臨しました。

芝1800は【4-1-2-1】
芝2000から芝2400は【0-3-0-3】

これがリアルスティールの距離成績でした。芝2000から2400は6回走って、このうち4回は1番人気か2番人気でしたが、一度も勝てませんでした。こういう馬がいるのです。

さらにこの話には続きがあります。リアルスティールは現在、種牡馬として活躍中。1年目産駒は現3歳、2年目産駒は現2歳です。産駒の距離成績を紹介します。

リアルスティール産駒の距離別成績。勝利数トップ5。2023年7月31日まで。

1位: 芝1800/13勝
2位: ダ1800/9勝
3位: 芝1600/6勝・芝2000/6勝
5位: 芝1200/3勝

種牡馬としても早くも「1800m巧者」ぶりが表れています。まあ、ダート1800まで入れるのはどうかと思いますが(そもそもレース数が多い)、面白いので含めてみました。

「1800mのリアルスティール」は産駒にも伝わっているようです。

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田端到 近影

田端到

1962年、新潟生まれ。週刊誌記者を経てフリーのライターに。辛辣ながらも軽妙な文章には定評があり、馬券初心者からベテランまで多くのファンを持つ。近著に「田端到・加藤栄の種牡馬事典」シリーズ、「金満血統王国」シリーズなど。ウェブサイト・noteでは競馬マガジン『王様の極楽競馬天国』を連載中。

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