競馬評論家・TAROによる、騎手の分析を中心にした回顧&展望コラムです。なお、『競馬放送局』ではTAROの厳選勝負レース(予想)を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください!
先週は東西重賞ともにラチ沿いを走った馬が圧倒的に有利な決着になりました。神戸新聞杯は鮫島駿騎手騎乗のジャスティンパレスが内を上手く立ち回り抜け出し。オールカマーは内枠からやはりラチ沿いを通ったジェラルディーナが、直線も内から伸びて来て差し切り勝ち。
鮫島駿騎手、横山武史騎手はともにラチ沿い競馬の適性が高い騎手です。横山武史騎手に関しては再三お話ししている通り、そもそもが中山芝中長距離で圧倒的な強さを誇ります。
2021年以降、中山芝2000m以上の重賞は先週のオールカマーまで合計21レース行われましたが、その3分の1にあたる7レースを制覇。この圧倒的な強さの裏には、イン立ち回りの上手さがあります。
鮫島駿騎手も、ラチ沿い競馬が得意な騎手。このことについては鮫島駿騎手自身も、
「インへの意識はめちゃくちゃ強い」
とお話をされているので間違いないでしょう。
(参照)netkeiba.com コラム『with 佑』
今回のジャスティンパレスでも、スタートから明らかにインを意識して狙っていたのがわかります。私自身も、『鮫島駿騎手はインへのこだわりが強く、道中上手く脚を溜めてくれそうな点はデムーロ騎手よりも手が合うはず』としてジャスティンパレスを本命にしたように、今回は騎手の個性と馬場・展開・枠などがピタリとハマったレースでした。デムーロ騎手は外を回すことが多い騎手でしたから、逆の個性なのも変わり身を期待する意味ではプラスでした。
鮫島駿騎手のイン突っ込みといえば、同じ中京で行われた今年の高松宮記念も印象的です。騎乗したトゥラヴェスーラは13番枠という外枠でしたが、道中はサッとインに入れて、あわやの4着と見せ場を作りました。函館スプリントSのタイセイアベニールでも、思い切ったインの決め打ちで13番人気ながら3着に好走。
「ラチ沿いの鮫駿」
は、開幕週や内伸び馬場で警戒が必要です。もっとも同騎手の場合はブトンドール(函館2歳S・1着)で見せたような溜めての外差しにも対応できる、いわば両刀使い。この秋はそろそろGIでも一発がありそうな気がしています。