競馬評論家・TARO氏による、騎手の分析を中心にした回顧&展望コラム『TAROのジョッキーズファイル』。今回のテーマは「中山芝→東京芝替わりの狙い方、凱旋門賞の注目すべき日本馬&海外馬」です。
なお、『競馬放送局』ではTARO氏の厳選勝負レース(予想)を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください!
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先週のスプリンターズSは遂に…三浦皇成騎手のJRA・G1初制覇でした!
素直に良かったなぁとは思うのですが、一方で予想も馬券も当たっていないのに諸手を挙げて喜ぶほど、私は人間ができておりません(笑)。多くの皆さんもそうでしょう?
まぁ、そういうことを言いづらい時代なのかもしれませんがね、当たってもいないのに嬉しいなんて言えませんよ。
先週の当コラムでは、
「大穴候補として三浦騎手のウインカーネリアンにも注目。芝中距離ではアテにならないですが短距離なら十分買えるジョッキー。案外悲願のG1はこういった誰も注目していない舞台で成し遂げるのかも…?」
とは書いたのですが、やっぱり大外枠というのが懸念材料でした。
ただ、三浦騎手はむしろ外枠を喜んだようなんですよね。確かに自分のリズムで運べばしぶとい馬ですし、三浦騎手も細かい戦略を練るよりは、外からリズム良く運ぶ方が乗りやすかったでしょうから。ペアポルックスが出遅れたのも隊列を考えると大きかったと思いますし、伏兵が勝つときは何もかも上手くいくものですね。
いずれにしても、晴れてG1ジョッキーとなった三浦騎手、素直におめでとうございました。
~内枠有利が顕著だった中山芝~
ところで、9月開催の中山芝は予想通りといいますか、内枠有利が顕著でした。
▽9月の中山開催の枠別成績
1枠(10-4-7-57)
勝率12.8% 単/複 193/102円
8枠(5-5-5-94)
勝率4.6% 単/複 91/66円
最後にウインカーネリアンの一発があって8枠の単勝回収率は跳ね上がりましたが、それでも全体としては内枠有利。逃げ先行馬の有利も顕著でした。
馬番別成績を見るとさらにわかりやすく…
▽馬番別3着内率順位
1位 6番 37.0%
2位 2番 33.3%
3位 7番 31.5%
4位 1番 26.4%
5位 3番 25.9%
5位 4番 25.9%
7位 5枠 24.1%
なんと3着内率の上位7位までを1~7番枠が占めました。
基本的に中山芝はこの戦略でいいんですね。外枠が不利になりづらい芝2000mを除けばさらに顕著になると思いますし、年末まで、いや、来年以降も覚えておきたいです。
~9月の中山芝のジョッキー成績は?~
また、9月の中山芝のジョッキー成績を見ると、こちらも顕著な傾向が見られました。
もっとも勝ったのは戸崎騎手で10勝。ルメール騎手の5勝にダブルスコアをつけての1位でした。さすが正攻法型でどんな馬場でも対応してきます。
また4勝ながら複勝率48.1%で複勝回収率でもプラスを計上したのが佐々木騎手。中山でこそ狙えるというのは、2週前に佐々木騎手について取り上げた通りですね。
一方、差しタイプのジョッキーは軒並み苦戦。顕著なのはルメール騎手で、23戦5勝。ひどい成績というほどではないですが、人気を裏切るシーンも多く、基本的に差しに回るルメール騎手にとっては難しい馬場状態になりました。
同じく最近は差しでの好走が目立つ菅原明騎手も苦戦傾向で、秋の中山開催の芝では2勝のみと苦しみました。
~恐らくガラリと変わる東京芝の戦略~
というわけで以上を踏まえて、今週末から始まる東京芝での戦略は以下の通りにまとめられます。