競馬評論家・TARO氏による、騎手の分析を中心にした回顧&展望コラム『TAROのジョッキーズファイル』。今回のテーマは「川田将雅研究(前編)&秋華賞展望」です。
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最近特によく観ているジョッキーが川田将雅騎手です。
今までも観察していたのですが、最近特に気になってみていました。今回はその成果の一部を発表しようかなと思います。
というわけで、題して「川田将雅研究」です。
~川田騎手は“米国系”ジョッキー~
今さら改めて言うことではないのですが、このサロンのオーナーでもある亀谷さんが、馬の適性を「日本、米国、欧州」と分類したのは、やっぱり今考えても画期的だったと思うんですよね。そしてその分類はジョッキーにも使えます。
その中でも、特に強く米国系の特徴を持つのが今回取り上げる川田騎手です。
アメリカの競馬といえば、テンからガンガン飛ばしていくのが特徴の1つ。そしてコーナーが多く、カーブがキツい小回りが大半です。そういった環境で淘汰された血脈が残っているわけですから、当然産駒もスピードがあり前向きで、コーナー巧者の馬が多くいます。
この特徴が米国系の川田騎手にピタリとハマります。
川田騎手はトップジョッキーの中では身長が低く、馬と一体になって走らせるタイプ。ストライドを伸ばしてゆったりとしたペースで走らせるよりは、厳しい流れをピッチ走法で走らせるのが得意です。
~アメリカ血統の川田騎手は買い!~
となれば、やはり何よりの狙いはアメリカ血統です。
直近の競馬で最も印象深いのは、月曜の南部杯です。騎乗したウィルソンテソーロは、母父アンクルモーという米国血統。中距離で川田騎手が騎乗するとどうしても掛かる面が出てしまい、早仕掛け傾向になってしまいます。そこで今回の距離短縮がハマりました。馬群の中でコーナーを回ってくるのは本当に上手いので、4角から直線の抜け出しもキレイでした。
また、土曜京都最終レースを制したゴールデンカイトも川田騎手向きの馬。父はかつての米国トップサイアーのタピットです。今回は決して有利とはいえない内枠だったのですが、地力で抜け出して勝利。これで同馬とのコンビでは(2-2-2-0)と馬券圏内パーフェクトです。
日曜の円山特別で騎乗したアスタールフナは、父ジョーカプチーノで、母父が米国血統のモアザンレディ。今回初騎乗でしたが、ダートの先行馬で米国の血を持つ馬なので、合わないはずがありません。結果は2番人気2着でしたが、勝ち馬に迫る好内容。コンビ継続なら次走も引き続き有力でしょう。
川田騎手は馬の前向きさを引き出すので、特に短距離や距離短縮のシチュエーションに強く、ダート戦を前々から押し切る競馬には本当に強いわけです。父や母父に米国血統を持つ馬で、特に短距離や小回りでは買いです。
逆にいえば、月曜のプラタナス賞・マテンロウダビンチ(単勝1.3倍で3着)のように、米国血統×川田騎手で勝った馬が、別の騎手に乗り替わるとやはりパフォーマンスが下がります。
~芝は極端な競馬になりがち~
一方で、芝の場合はちょっと問題があります。川田騎手は道中ゆったり追走させるのが得意ではない。これは体形の問題もあると思います。
芝でリラックスして走らせるにはある程度手綱の位置も重要になるのですが、その点で上背がなく腕が長くない川田騎手は不利です。するとどうなるか?