▼先週のトピックス
・今年の高松宮記念も主流要素の薄い血統が上位独占
・サンデーとノーザンテーストを両方持つ馬について
▼今年の高松宮記念も主流要素の薄い血統が上位独占
先週の高松宮記念は例年の傾向通り「父も母父も非サンデー系かつスプリントの名血を持つ」ロータスランドを本命に。
同じくロータスランドを本命にして、さらに勝ち馬のナランフレグを対抗にした、じゃいさんの予想はお見事でした。この日はリアルサロンのゲストもじゃいさん。的中されたメンバーと喜びを分かち合えたのもよかったですね。
※高松宮記念/インスタントジョンソンじゃい・重賞予想
ナランフレグは父がサンデー系の中では異質なゴールドアリュール。「クラシック型のサンデー系がスピードに乗り切れない」レース、コースを得意とする産駒を出します。
母父はサンデー系のトップスピードを強い主張で削ぐブライアンズタイムであること(結果的には父か母父ロベルト系の1、2着でもありました)。そして母系にノーザンテーストを持つのでサンデーとノーザンテーストを両方持つ配合にもなります。この配合パターンにはダイワメジャー、ステイゴールドなどがいます。これらの種牡馬もディープやハーツクライ、エピファネイアなど主流血統が大幅に減速するレースを苦にしない特徴を持ちます。
結果的にレシステンシアは沈んでしまいましたが、本来は非サンデー系が走るレースも苦にしない馬。今回の敗因は展開面でのオーバーペースではなく、レシステンシア自身のベストペースよりも速すぎるペースで走ったことが大きいでしょう。鞍上の特徴を考えれば、レシステンシアには合わない乗り方をする可能性も予想すべきだったと反省しております。「亀谷競馬サロン」で公開しているTAROさんのコラムもしっかり身につけないといけませんね。
単行本「亀谷敬正の競馬血統辞典」でも書いたように、ダイワメジャー産駒は自身のベストペースよりも速いペースで追走させると、パフォーマンスを下げる産駒が多いです。
逆に、3着のキルロードは、レシステンシアよりもベストの追走ペースが速い馬。父がロードカナロアで母父がサクラバクシンオー。スプリント血統は追走ペースが速くとも減速しづらい特徴を持ちます。
▼サンデーとノーザンテーストを両方持つ馬について
サンデーとノーザンテーストの配合馬は、なぜサンデー系の中では異質なタイプになりやすいのか? 20年近く前のサンデー直仔時代を振り返ることから始めたほうが理解は深まります。
ノーザンテーストを父に持つ繁殖牝馬は、サンデーサイレンスと最も多く配合されました。2位の母父ヌレイエフの5倍以上の配合例、勝利数があります。にもかかわらず、サンデーサイレンスとノーザンテーストの配合馬は芝2200m以上のGI勝ち馬を1頭も出していません。簡単にいえば加速力やパワーを強化しすぎてしまうからです。JRAの芝中距離競馬は加速力とパワーを強化しすぎると、芝中距離でのスピードの伸びを失うことにもなります。
また、ノーザンテーストはキャリアを重ねて競馬に強くなる馬を出しやすい個性もあります。この個性もサンデーとは逆。サンデー系の中でも直線スピードに秀でたタイプは、過度なストレスを与えず、フレッシュな状況でレースに出ることを好みます。相反する個性も芝中距離で才能を開花させるのを難しくしていたのでしょう。
しかし、サンデーとノーザンテーストの血を両方持つ馬は、総合的な才能は高いです。JRAの芝中距離では、他のサンデーの血を持つ馬に直線スピードは負けますが、日本ほどスピードが要求されない海外、あるいは先日の高松宮記念のような馬場、レースパターンには高い適性を示します。高松宮記念の1、4着馬もサンデーとノーザンテーストを持つ馬でした。
今年のサウジ、ドバイで荒稼ぎしたステイフーリッシュの父ステイゴールドはサンデーサイレンスとノーザンテーストの血を持つ馬。2年連続ドバイワールドCで馬券対象になったチュウワウィザードの母父デュランダルもサンデーサイレンスとノーザンテーストの配合馬。
サンデーとノーザンテーストを持つ馬はJRAのクラシックでは主流血統にはなっていないからこそ、やや主流とはズレたレース、キャリアが狙い目になるのです。競馬で勝つために必要な能力の方向性は一定ではありません。
2022/03/30 (水)