亀谷敬正 オフィシャル競馬サロン
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2024/12/30 (月)

田中博康調教師×亀谷敬正トークイベントの模様を無料公開

12月8日(日)の夜、亀谷競馬サロン・リアルサロンスペースで開催された田中博康調教師と亀谷敬正とのトークイベントの模様を、テキスト版にて無料公開いたします。

当日は田中博康厩舎公式SNS経由でご参加いただいたお客様と、当サロンのプレミアムコース会員様をご招待させていただきました。イベントの進行役は競馬キャスターの大澤幹朗さんです。



大澤幹朗(以下、大澤):先週、レモンポップがラストランのチャンピオンズCを制しました。亀谷さんからまずは花束の贈呈です。


亀谷敬正(以下、亀谷):おめでとうございます。

田中博康調教師×亀谷敬正 トークイベント


大澤:田中博康調教師は亀谷サロンのリアルサロンスペースには何度か遊びに来ていただいていて、だいぶ前からのお知り合いだとお聞きしました。


亀谷:リアルサロンスペースが完成してすぐ、遊びに来てくれたんです。コロナ騒動が始まるよりも前ですよね。


田中博康調教師(以下、田中):結構前ですよね。開業1~2年目の時だったと思います。


大澤:さらにお聞きしたところによると、2人は今年4月にオーストラリアにも一緒に視察されていたとか。


田中:はい。ご一緒しました。


亀谷:(写真がモニター映され)真ん中にいるのはノーザンファーム天栄場長の木實谷(雄太)さんですね。ステーキとか食べたりしましたね。

田中博康調教師×亀谷敬正 トークイベント
▲オーストラリア視察時の写真をモニターに映して


田中:懐かしいですね。


大澤:それではまず、お互いの印象をお聞きしたいのですが、田中博康調教師は亀谷さんについての印象は?


田中:すごい勉強熱心な方ですよね。自分も参考になることも多いですし、アクティブに活動されているなと。オーストラリアの件も多分、急遽の参加でしたよね。


亀谷:木實谷さんと仲良くさせてもらっていて、今度オーストラリアに視察に行くというので、『じゃ、面白そうだから、俺もついて行く』って。通訳もうちのサロンメンバーの人だったんでちょうどいいかと。


大澤:亀谷さんから見ると、田中調教師は年下になる訳ですが。


亀谷:凄い調教師だと思いますよ。開業5年位で重賞も勝って、リーディング上位争いもして。馬券を買っていても、よく勝つなと。うちのサロンメンバーには外厩経営者がいるんですが、あの調教師(田中博康調教師)は凄いよって聞いてました。それで時間を作って貰った感じですね。早いうちから仲良くなっておくのは大事ですから(笑)。


大澤:田中調教師は現在、SNSに注力をされているとか。


田中:今年から厩舎の公式SNSを立ち上げました。騎手時代から矢会(矢作調教師が主催する大規模交流イベント)を素敵だなと思っていて、今回少し主旨は違いますけど、こういった交流ができればと考えています。

・田中博康厩舎 公式X
・田中博康厩舎 公式Instagram


大澤:今回ご参加いただいている皆さんから質問がたくさん寄せられていまして、お二人に聞いていきたいと思います。まずは1週前の出来事ですので、このお話を聞かない訳にはいかないでしょう。まずはチャンピオンズC連覇おめでとうございます。そして(レモンポップの)引退お疲れさまでした。


田中:ありがとうございます。


大澤:引退式もそうでしたし、厩舎から北海道へ向かうレモンポップを見送る様子もマスコミで報道されていましたけど、なかなか普段とは違う表情だったのかなとお見受けしていたのですが。


田中:まぁ、特別なことをしていた訳ではないですけど、これだけの成績を残して種牡馬になるのも、うちの厩舎からは初めてでしたし、普段とは違う感情もあったとは思います。無事に行けて良かったという気持ちで一杯です。


大澤:レモンポップに関しては質問がたくさん来ています。亀谷サロンのメンバーからの質問ですが、(逃げることが予想されていた)ミトノオーがいる中で、揉まれると苦しくなる1枠2番を引きました。まず、枠の印象を教えてください。また、作戦としては逃げにこだわる予定だったのでしょうか?


田中:メディア向けのコメントもあるので考えていたところ、2番枠ですというメールが届きました。見た瞬間は良かったとは思っていなかったですね。ミトノオーとの先手争いを巡る攻防が予想されていましたので、並びも重要だと考えていました。そういった意味ではすごく良い枠ではないけれど、まあまあかなと。後はジョッキー(坂井瑠星騎手)がどう考えているかという話をメディアの皆さんにしました。


大澤:逃げには拘っていたんでしょうか?


田中:自分としてはある程度、騎手に任せることにしました。ジョッキーもどちらかというと臨機応変に動きたいという感じでしたね。スタートの出も最近は速くなかったですし、ミトノオーとの兼ね合いもありましたからね。今回はバシッと決まって、ここ数戦の中では速かった。そこでジョッキーも腹が決まったんだと思います。


亀谷:相手が控えなかった場合のプランはあったのですか?


田中:自分も騎手をやっていたんで、最終的には騎手の判断になっていたと思います。そこが一番重要ですし、若くして活躍しているあれだけの騎手ですから、勉強もしっかりしてくれていました。そうなったときのプランも瑠星(騎手)から話はしてきてくれましたよ。深追いはしたくないけど、嫌なペースに巻き込まれたくはないという感じで、別に逃げには拘っていなかったと思います。


亀谷:先生は騎手に指示は出す方ですか?


田中:基本的には出さないですね。8、9割方出しません。


亀谷:逆に聞いてくるジョッキーはいるんですか?


田中:若手の騎手、特にデビューしたばかりの騎手は聞いてくることもありますので、基本的には馬の癖と状態を伝えます。どんなイメージで乗るのかを質問して、そのプランが余程違うなと思わない限りは任せます。


亀谷:ちなみに、とんちんかんなプランを立ててくる騎手っていますか?


田中:割と騎手選択もしっかりと事前にしているので、そういうケースはほぼないですね。もちろん、自分のイメージとは違うなという時もゼロではありませんが。


大澤:続いての質問です。レモンポップはゴドルフィンの所有馬です。ゴドルフィンサイドとのコミュニケーションや依頼される内容や指示などは、ノーザンファームなどとは異なるものなのでしょうか?


亀谷:要するに、ハリースウィーニー(ダーレージャパンファーム代表)さんと、木實谷さんの指示がどれだけ違うのか、という質問ですね。


田中:求められているのは結果を出すことなので、そう大きくは変わらないと思います。最近は判断を任せてもらえるので、凄く異なるということはありません。外厩から戻って厩舎での調整期間がゴドルフィンさんのところは少し長め、ノーザンファーム系の場合は短めということが異なる位でしょうか。
亀谷:外厩に行った先に餌のリクエストをすることもあるんですか?


田中:申し送り書は記載していますが、牧場でも手間になってしまうので、飼料に関してこちらからリクエストをすることはないです。


亀谷:下に敷いている藁を食べてしまうことも珍しくないとか。先生のところは下は藁のままですか。


田中:敷料はウッドチップですね。確かにその心配が今はなくなりました。美浦でウッドチップを敷くようになったのはここ2、3年なんですよ。確かにそれまでは食欲旺盛な仔は飼葉も食べて、寝藁なども食べてしまうんで、太ってしまう仔もいました。それを防止するために口かごをつけたりするんですが、大きくストレスがかかるので嫌だったんですよね。


大澤:続いて田中博康厩舎のお客様からの質問です。レモンポップがきっかけで競馬の世界にハマリました。その時からずっと気になっていることがあります。お尻の感触を教えてください。お別れの写真や報道でも先生がレモンポップのお尻にモフモフしているのを拝見しましたという質問です。


田中:弾力があって良いお尻をしてますよね。自分はレモンポップに限らず、特に牡馬に対して取るスキンシップ方法なのですが、馬からは好評ですよ。見た目通り、幅も広くて抱きかかえるのはギリギリです。ダート馬だから硬いとか言われますが、そんなことありません。芯がある中での柔軟性も備えています。良質な筋肉で覆われていますよね。

田中博康調教師×亀谷敬正 トークイベント


大澤:あのお尻はどこから来ているんですかね。


亀谷:父がキングマンボ系のレモンドロップキッドで、母系がジャイアンツコーズウェイ、ダンチヒとアメリカンな感じですよね。今回引退するにあたり、レモンポップの印象をとある牧場主さんに聞かれたんですが、あれはレモンドロップキッドじゃないよねって話になりました。レモンドロップキッドってもっと胴が長くてまとまりがないそうですよ。

今日のカペラSを勝利したガビーズシスターも父はレモンドロップキッドの仔であるアポロキングダムですよね。何年か後のカペラSはレモンポップの仔らがたくさん走ってそう。


田中:日本のダートに向いている種馬になってくれることを期待しています。


大澤:本日はレモンポップを担当されていました田端誠調教助手もお見えになっていますので、お尻について聞いてみましょう。


田端誠調教助手(以下、田端):体力の回復も早かったですし、優秀な筋肉というか良質な筋肉でした。


亀谷:お尻の好みってオーナーにも結構ありますよね。僕の懇意にしている馬主にも、同じケツの形をした馬ばっかり買ってくる人を知っています(笑)。


大澤:やはり馬体の中では大事なファクターのひとつですよね。これからはお尻にも注目してもらえたらと思います。


亀谷:前々から、(レモンポップを)種馬にしなければいけないって仰ってましたけど、どういうお尻の仔を出すのかも今から楽しみですよね。


田中:性格も素直でいい仔ですし、オン、オフの切り替えもできます。馬体も立派ですからね。脚元に弱いところはありましたが、体質はしっかりしていますからね。


亀谷:安定した成績の出せる種馬になるんじゃないかな。芝も、先生は以前に使ってみたいということを仰ってましたよね? 芝は産駒にはぜひ試してほしいですよね。


田中:そうですよね。


亀谷:オーストラリアのゴールデンスリッパーS(2歳GI)とか向いている仔とか出しそうだもんな。円安の今だと賞金総額が5億円近い訳だし。


田中:スピードが産駒に伝われればというのは今でも思っています。フェブラリーSを勝利した後、一瞬だけ芝を使う案も出ました。ただ、逆に使い込むようになってスタミナ面が強化されていったんですよね。


亀谷:先生は元々、レモンポップは短距離タイプって仰ってましたよね?


田中:今でも短距離タイプだと思っています。息遣いだとか呼吸の感じから、ダートの中距離を走るタイプとは違いますよね。


亀谷:ミオスタチン遺伝子は「CC」型なんでしたっけ?


田中:それはここでは内緒です。


亀谷:内緒なんですか。遺伝子って内緒にするもんなんですか?


田中:牧場ごとの方針もあると思いますので、私の口からはお答えすることができません。社台スタリオンステーションさんは聞かれたら教えてくれるということのようですが。


亀谷:先生は自分で検査したりするんですか?


田中:全馬ではありませんが、馬主さんにお願いしてすることもあります。


亀谷:あれ、1頭検査するのにだいたい5万円程度掛かるじゃないですか。CCだと短距離指向、TTだと長距離指向、CTだとマイル~中距離みたいなイメージをするんですけど、僕はあんまり信じていないんですよね。


田中:息遣いや乗った感じ、雰囲気などである程度イメージができているんですが、一応検査をしておくかというのがメインですよね。稀ですが、距離は持つタイプかなと思っていたら、実際にはCCということが過去にあって、そういわれると、そんなこともあるかなと腑に落ちることもありましたね。


大澤:TTでスピードがあるとか、CCで距離が持つという馬は能力が高いんでしょうか。


田中:真逆という訳ではありませんが、自分の適性外とされている距離でもパフォーマンスを出し切れる、落ち込まないというのは能力の高さでしょうね。


亀谷:心拍数も取るんでしょうか?


田中:心拍数も取りますね。


亀谷:レモンポップの心拍数はどうでした?


田中:短距離馬タイプの心拍数ですね。


亀谷:でもあんなに距離持っちゃうんですね。


田中:あの仔の能力の高さからでしょうね。


大澤:短距離馬の心拍と長距離馬の心拍ってどのように違うのでしょうか。


田端:それはもう顕著ですね。能力がある馬は心拍がグンと上がって、いかにスムーズに落ち着くかというところで判断します。レモンポップは心拍が上がるのは早いですが、下がるのはゆっくりですね。ゆっくりというか結構遅いですね。だから気持ちに爆発力があるというか。心拍がスッと上がるってことは、気持ちが爆発するっていうか、スプリンターのそれなんですよね。


大澤:なるほど。では、話題を変えまして、田中博康厩舎にはレモンポップ以外にも有力馬がたくさんいます。出資されている方も多いようなので、そちらの話も聞いていきましょう。


亀谷:ローシャムパークやレーベンスティールといった重賞勝ち馬もいますからね。ちょうど、去年の今頃は2頭とも香港遠征でした。


田中:昨年の香港は苦い思い出しかありません。悔しいというか反省の多い遠征となってしまいました。体調自体は整っていましたけど、調整過程だとか、もうちょっとやりたいことがありました。レーベンスティールに関しては申し訳ないことをしたというのは明らかでしたし、そういったところを含めて未熟だったなと思います。


大澤:この流れでの質問になります。田中博康厩舎の大仲には「凱旋門賞制覇」という額が掲げられているというのを記事で読みました。日本馬が未だに勝てない凱旋門賞ですが、どうしたらこの状況を打開できると考えていますか?


田中:勝ちたいですね。


大澤:以前、凱旋門賞中継の際、グリーンチャンネルのゲスト解説にきていただいたのですが、やはり凱旋門賞は勝ちたいですか。


田中:あくまでも僕の思いであって、そこはオーナーがあってこその馬ですからね。オーナーの希望に沿うことが仕事だと考えています。その中で凱旋門賞を目指したいということであれば、それはありがたいことです。

騎手時代にもフランスで修行をしていたこともありましたし、技術調教師時代にも携わることができました。あのレースの凄さを目の前で見ていますからね。やはり憧れのレースですよね。

田中博康調教師×亀谷敬正 トークイベント


亀谷:以前、角居元調教師をこのサロンにお呼びしたことがあるのですが、その際いろんな話をしてくださって、凱旋門賞に勝ちたければ、フランスの競馬文化そのものを学ばないといけないと指摘されていました。


田中:初めてフランスに行って競馬文化の違いに触れて驚くことが多かったのは確かですね。競馬においては学びの多い国であることは間違いありません。馬との距離感が日本とは違って近いのも特徴的ですね。普通のサラリーマンが出勤前に調教だけつけにくるとか、アマチュアの人がちょっと馬に乗れるようになると、アマチュアのレースに出るということもザラです。馬乗れるんだ、競馬に出るんだ、応援するよって感じで、非常に馬との距離が近いんですよね。


大澤:そういうのはイギリスやアイルランドでもありそうですね。


田中:ヨーロッパの文化はもちろん似てますよね。説明は難しいんですが、その中でもフランスの競馬文化は穏やかというか、時間の感覚がイギリスやアイルランドとは違うんですよね。


亀谷:ルメール騎手も競馬学校を卒業していないのに騎手になりましたよね。草競馬かなんかの出身で、騎手になったということでしたが。そのルメール騎手が一番巧いんだから、ノーザンファーム天栄の馬に乗りたかったら、フランスの文化を学んだ方が良い(笑)。


田中:最近の若手騎手たちも、フランスだけではありませんが、海外の競馬文化に触れる機会も増えていますよね。西村淳也(騎手)、望来(岩田望来騎手)、貫太(田口貫太騎手)も行っていますし。


亀谷:行くと何か変わるもんなんですかね。


田中:別にフランスだから変わるとかはないと思うのですが、どの国でも他国の競馬文化に触れることはプラスだと思います。オーストラリアもアメリカもいいところがたくさんありますし、日本競馬だがけが当たり前じゃないぞという意識は持ってもらいたいですね。


大澤:田中先生は長期に渡り遠征されていて、アンドレ・ファ―ブル厩舎でお仕事に携われていたんですよね。名伯楽のファーブル調教師から学んだことはありましたか?


田中:私がお世話になってときはもう70歳を過ぎていて、ポニーに乗って、じっくりとよく観察されていました。脇でずっと見ている感じでしたね。ほんとじっくり見てましたね。


亀谷:オーストラリアのクリス・ウォーラー調教師とは全く違うんですね。オーストラリア視察の際に厩舎を尋ねたら、驚きの連続でしたよね。一瞬来て、ちょっと馬を見たら、ビッピッビッピッというリズムで帰っちゃうんですからね。あれで分かるんだと思って。ファ―ブル調教師の話を聞くと、全然スタイルが違いますよね。


田中:あれは衝撃的でしたね。それでもトップクラスの厩舎で結果も残されていますからね。

田中博康調教師×亀谷敬正 トークイベント


大澤:少し話題を変えますが、田中調教師は2016年に調教師試験を合格されました。先日18回目にして悲願の合格をされた方もいたようですが、一発合格だったんですよね。


田中:そうですね。31歳になったときに受かりました。


大澤:そこで田中博康厩舎のお客様からの質問です。若くして調教師へ転身を図った理由、最大のきっかけについて教えてください、というのがありました。


田中:最大のきっかけですか。うーん。別に騎手が嫌になったとかそういう話ではありません。調教師としてやってみたいことが明確になったというのが一番ですかね。まだ開業前の話なんで、今思えば恥ずかしい限りですが、その時は妙に自信みたいなものがありましたね。頭は固くて頑固だったと思います。馬造りはこうすればいいんだみたいなものがあったのは事実です。

勉強はちょっと前からしていたんですが、試験を受ける年の4月くらいに、急にやりたいことが明確になったんですよね。それで春先はフランスに行きました。エイシンヒカリがイスパーン賞を勝ったときですね。エイシンさんからお声をかけてもらったこともありましたし、携わっていく中で明確にやりたいことが定まったというか。


亀谷:調教師として理想のサラブレッドはこうだ! これでディープインパクトをやっつけるんだ!というビジョンが先生の中に浮かんだということですよね? そのビジョンを教えてください。


田中:恥ずかしくて言えません。それはいいです(笑)。


亀谷:ちなみに、今はそのビジョン通りなんですか?


田中:やはり、厩舎を運営していく中で変わってきますよね。大まかな方向性は同じでも、凝り固まった考えに固執することなく、しっかりと臨機応変に対応していかなければと思っています。馬には個性もあるので、上手くいいところを引き出してあげるようにしてあげたいなとは常に考えていますね。


大澤:ジョッキーになられた頃から、調教師への興味はあったんですか?


田中:師匠が高橋祥泰先生(元調教師)なんですが、もの凄く格好良い先生なんですよね。その高橋先生から騎手だけが競馬界の仕事じゃないぞって聞いていましたし、働かれている姿を見ていたら、いつかはなれたらいいな程度には思っていました。ただ、騎手デビューしたばかりなので、当たり前ですが調教師にすぐになろうとは微塵も思っていません。


大澤:続いての質問です。ローシャムパークは旋回癖があると聞きます。馬を選ぶときにはそのような癖を含めて検討するのでしょうか。来年、出資馬を選ぶときの参考にしたいと思います。


田中:写真はまず見ますが、その後の動きも必ずチェックしますね。立ち写真だけで見えたりする部分があるのは間違いなくて、それだけで良し悪しを判断できるオーナーも知っていますが、自分はまだまだその域には達していません。躍動感とかを見たりしていましたが、最近は前後の繋がりを重視しています。

元々は可動域の広い馬が好きで、それでルーラーシップ産駒のバジオウを選ばせてもらいました。ただ、レモンポップやレーベンスティール、ローシャムパークって可動域が特別広いって訳ではありません。トモからくる動きが前の出にしっかりと連動しているか、というような繋がりをよく見ますね。

思い返せばローシャムパークは連動性が凄く目立つ馬でしたよ。馬体は華奢なんですが、あまり見映えのする若駒時代ではありませんでした。ただ、動きの連動性は凄く良かったんで、今は繋がりを重視しています。


大澤:当歳とかも同じでしょうか。


田中:原則同じ視点で見ています。今の2歳(2022年産)はそうした視点でキングノジョーなどを選ばせてもらっているので、ちゃんと成績を残していきたいですね。


大澤:引き続きローシャムパークに関する質問です。普段の様子を教えてください。


田中:よく回っています(笑)。ただ、年齢を重ねてきただけあって、ちょっと落ち着いてきたところも出てきましたかね。調教の後に鞍を外してやると、寝床でゴロゴロするのはどの馬もやるんですが、ローシャムもよくしていますよ。

さきほど牡馬はお尻を抱えるという話をしましたが、能力の高い馬ほど自我が強かったりするんで、顔とか首周囲は嫌がる、入ってきて欲しくないテリトリーということを示す馬も少なくないんで、お尻を抱えるようになったんですが、ローシャムは触られても嫌な顔はしませんし、触るのを止めると、むしろ督促というか物足りない顔をしていますね。


亀谷:ボーっとしているということですか?


田中:ボーっとしているというか独特の空気感ですよね。それなのに旋回癖もあるし、行動が読めないタイプですよ(笑)。


大澤:ここからは亀谷さんが田中博康厩舎のデータを出してくれたというので少し触れてもらいましょう。


亀谷:レモンポップやミッキーファイト、アッシュルバニパルに代表されるように、ダートだと人気薄でも走りますよね。先生の厩舎は人気を集めることが多いんで、トラックマンの印も重くなりがちなんですが、その期待より走っているのは確かですね。

ただ、芝だと断然人気の馬は成績をしっかりと残しますが、全体的に過剰人気気味ですよね。ルメール騎手などの外国人騎手が騎乗すると人気の有無に関わらず走りますが、日本人騎手が人気薄で穴を出すことは今はほとんどない状況ですね。


大澤:答えにくい分析とは思いますが、何かご感想はありますか?


田中:そうですね。開業してしばらくはクラブの馬が中心ではありませんでしたし、価格帯的にもオーナーに勧めやすいというところがありました。ここ1、2年で社台グループ、ノーザンファームさんの馬も増えているので、徐々に変化させていこうとは思っています。

田中博康調教師×亀谷敬正 トークイベント


大澤:田中先生は若手騎手を育てていこうとか、計画はあるのですか?


田中:このまま順調なら、来年3月から1人うちの厩舎から騎手デビューします。


亀谷:温めていた子がようやくデビュー目前ですね。


田中:関東でグンと抜けている若手ジョッキーを育てていくことが重要だと思っています。開業当初から若い子を育てていこうとは思っていました。開業当初は厩舎に余裕がないですし、ジョッキーを抱える体力がありません。それまでにも何度かお話はあったのですが、ちゃんと受け入れる体制が整ってから受け入れたいということで、来年デビューの子を預かるようになりました。

ファーブル調教師も、馬だけではなく多くの名ジョッキーを世に送り出しています。スミヨン騎手、ペリエ騎手、ルメール騎手、ブドー騎手などをバックアップしてきました。馬が多くいるから、引き受けているだけではないと思うんですよ。騎手としての意識をしっかりと持たせるというか。ヨーロッパのように馬房が100も200もある訳ではないので、簡単ではありませんが、定期的には引き受けようと考えています。


亀谷:先生は特に競馬マニアに人気です。クラブの馬も先生のところはすぐに売れてしまうって言いますもんね。


田中:ありがたい話です。


大澤:時間も押し迫ってきましたので、個別の質問は写真撮影の際にでも聞いてもらいましょう。では、最後に2025年に向けて一言いただけますでしょうか


田中:まずは、今回このような場を設けていただきありがとうございました。厩舎の馬や厩舎全体を応援していただけるのもありがたい限りです。どの馬もしっかりと走らせて結果を残していくということは変わらずに来年も続けていきます。自分としてもこういう機会は初めてだったのでドキドキでしたが、皆さんと直接お会いできて楽しい時間を過ごすことができました。こういう機会をもっと増やしていけたらと思いますので、引き続き応援よろしくお願いいたします。


亀谷:田中先生のためなら、いつでもこの会場はお貸しいたしますので(笑)。

田中博康調教師×亀谷敬正 トークイベント
▲ご参加いただいた方全員で記念撮影


田中博康調教師×亀谷敬正 トークイベント

田中博康調教師×亀谷敬正 トークイベント
▲田中調教師がこの日の参加者様のためにご用意していただいたサイン色紙のお渡し会や、記念撮影会も行わせていただきました

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