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ノーザンファーム天栄・木實谷雄太『フロントライン』 02/20 (日)

『ノウハウの蓄積は実感しています』/NF天栄・木實谷雄太~フロントライン #1

毎週日曜日更新の当連載『フロントライン』は、現代競馬のキーマンとも言えるノーザンファーム天栄の場長・木實谷雄太氏に、競馬に関するさまざまなお話を伺うロングインタビューコラムです。聞き手:亀谷敬正。

▼今回の主なトークテーマ
・「ノーザンローテ」、間隔を空けたローテの意味
・エフフォーリアで考えるクラシック路線への番組戦略
・イクイノックスとキタサンブラック産駒、 欧州型の天栄



「ノーザンローテ」、間隔を空けたローテの意味

――2020年のアーモンドアイに続いて、2021年の年度代表馬にエフフォーリアが選出されました。ノーザンファーム天栄から2年連続で年度代表馬が出ましたね。おめでとうございます。

木實谷:ありがとうございます。

――エフフォーリアだけでなく、グランアレグリア、シュネルマイスター、アカイトリノムスメ、ダノンキングリーがGIを制覇。ダノンキングリーは生産は別の牧場なので預託馬ということになりますけれども。今年も楽しみなのは、何と言ってもエフフォーリアですね。最初から超GI級だというのも感じていましたか?

木實谷:最初からそれがわかったら苦労しませんよ(笑)。

――エフフォーリアの印象ですが、春までは緩いという感じがしたのですが。

木實谷:表現が難しいのですが、緩いというよりは、どちらかというとトレーニングだったり、レース後の疲労回復に時間がかかるという感じでしたね。パフォーマンスもあれだけのものを出すので、そのぶん反動も激しいんじゃないですかね。

私も馬に乗ったりもするのですが、疲れている馬は歩幅が狭くなるんです。競馬というのは「ピッチ×ストライド」だと思うので、そのストライドが狭くなれば、ピッチを稼がなくてはいけない。そうすると、結果的に馬はより疲れる、パフォーマンスが下がるということはあると考えています。

――なるほど。「ノーザンローテ」とも言われる、間隔を空けるローテは、木實谷場長の功績も大きいと思うのですが。

木實谷:功績と表現するほど、大それたことをしているとは思いませんが、徐々に結果も伴ってきて、ノウハウの蓄積は実感しています。当初は周囲の方々に心配されることの方が多かったのですが、最近では大分理解していただけるようになりました。

――そうなんですね(笑)。最近では、アーモンドアイやグランアレグリアが引退レースで間隔を詰めて使って圧勝しましたね。

木實谷:アーモンドアイ、グランアレグリアは詰めて使っても大丈夫な身体になったと判断していました。僕もレースを使っていきたいのはやまやまなんですけど、間隔を詰めると良くない影響が出る馬もいますから。

――昔は、例えばブライアンズタイム産駒のナリタブライアン、シルクジャスティス、サニーブライアンなど、若いうちからレースを使いまくって才能を開花させた馬がいました。

木實谷:当時と今の競馬では馬場も時計も違いますからね。例えば先週(1/29~30)の東京競馬はめちゃくちゃ時計が速かったですよね。なので、先週使った馬はけっこう傷んでいると思っています。

去年のジャパンC週もかなり時計が速かったですけど、その週の芝のレースに出走した馬たちは軒並み傷んだ状態で牧場に帰ってきましたし、かなり負担の大きい馬場だったと認識しています。

――ただ、そういう馬場のほうが天栄の馬が勝つんですよね(笑)。

木實谷:そうかもしれませんが、立て直しに苦労するのも事実ですし、時計が出すぎる馬場は、僕はあまり良いことではないと思っています。

――若駒が33秒台で上がる反動は相当なものですか?

木實谷:そうだと思います。人間も下り坂で走ると、肉離れとか故障を起こしやすいですよね。自分が思っている以上にスピードが出てしまうと反動が出る。そういう感じだと思います。成長途上の馬を何度も速い時計で走らせることは、良いことではないな、と思っています。

――そう考えると、ノーザンファーム天栄にもある坂路(調教)は大事になりますかね。坂路は負荷はありますが、スピード自体は平地よりも出ないです。

木實谷:天栄の坂路コースはポリトラックを素材として使用していますが、美浦・栗東トレセンのものより厚目に敷いていますし、時計を出さなくても負荷がかかるような馬場をイメージして馬場管理を行っています。

――スピードが出づらいということは、強制的にオーバーワークを避けるということにもなるのでしょうか?

木實谷:そうですね。天栄の方でステッキを使用して走らせることはほとんどありませんし、スピードによる故障リスクはできるだけ減らしたいと考えています。

言い換えれば、牧場で時計を出す際にステッキを使わなければ走れないということは、まだまだ競馬(レース)に行ける状況ではない、競馬にはまだ早いよというサインだと考えています。

――トップスピードで走るのはレースだけでいい、と。

木實谷:だから新馬戦とか、2戦目とかはドキドキしますよ。思いっきり走ってどこまで走れるのか分からないですから。

――でもノーザンファーム天栄の馬は、新馬戦から直線スピードがズバ抜けてる馬が多いですよ。

木實谷:いつもドキドキして見ています(笑)。手綱を抱えているところから、いざアクセルを踏んで、どこまでスピードが出るかというのは分からないですから。厩舎での追い切りでもそこまでスピードは出さないでしょうし。例えば車みたいにスピードメーターがあって、ここまで出るというのがわかれば楽なんでしょうけど。

また、今の時期でいうと、1月~2月の東京芝で新馬を使う馬は、レース後のケアに気を使いますね。この時期に使う新馬というのは、何かしら理由があってデビューが遅れているケースが多いです。なので、レースを使った後の回復に時間がかかる馬がほとんどでして。それを分からず、他の競走馬たちと一緒に考えて『3着に来たからすぐに使おうよ』となると、だいたい次走で力を発揮できないケースが多いです。

我々も使えるなら使いたいんですけど、大事なことは、馬がパフォーマンスを発揮できるタイミングで使っていくことだと思っています。


エフフォーリアで考えるクラシック路線への番組戦略

――ノーザンファーム所属馬は新馬を使った後、3か月ほどの休養を経て、大幅にパフォーマンスを上げる馬が多いですよね。グレートマジシャンなんかもそうでしたけど、新馬からセントポーリア賞まで3か月休んで大幅に上昇しました。3か月の間で何があったのか?と思うくらい。新馬のあとの3か月ほどで、競走馬は大幅に成長するものですか?

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木實谷雄太 近影

木實谷雄太

1980年、東京都出身。東京農工大では馬術部に所属。卒業後はノーザンファームに入社。ノーザンファーム空港牧場、山元トレセン勤務を経て、現在はノーザンファーム天栄・場長として、牧場と厩舎のパイプ役を担っている。

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