毎週日曜日更新の当連載『フロントライン』は、現代競馬のキーマンとも言えるノーザンファーム天栄の場長・木實谷雄太氏に、競馬に関するさまざまなお話を伺うロングインタビューコラムです。聞き手:亀谷敬正。
▼今回の主なトークテーマ
・鬼門のローテで桜花賞に挑むプレサージュリフト
・G1仕様の仕上げで挑むフォラブリューテ
・アライバルのスプリングS回顧
鬼門のローテで桜花賞に挑むプレサージュリフト
――今回は桜花賞を中心にお話を伺います。2018年のアーモンドアイから、前哨戦を使わずに中8週以上で臨んだ馬が桜花賞を4連覇中です。今年はクイーンCからプレサージュリフトが桜花賞へ直行しますが、このローテはメジャーエンブレムでも1人気で4着に敗れています。
木實谷:ローテーションに関しては、10月のデビュー後に疲れが出て、その回復に時間がかかったため、2戦目がクイーンCになりました。
メジャーエンブレムは阪神JFの後にクイーンCを使って、もの凄い時計(1:32.5)で走りました。競馬自体は楽な内容だったのですが、レース後に反動が出てしまい、もう少しフレッシュな状態で桜花賞を走れてあげたかったと、今でも悔いが残っています。
――速い時計で走ってしまう反動は中2か月でも回復は難しいですか?
木實谷:回復自体は2か月もあれば十分ですが、回復期にはどうしても運動を制限せざるを得ないので、その間に心肺機能が落ちてしまうなどの影響が出ているのではないでしょうか。
――そうなると、桜花賞の前に使うとしたら、時期としては1月が理想的でしょうか。
木實谷:去年はフェアリーSからのローテでファインルージュが桜花賞3着に好走しました。アーモンドアイもシンザン記念からでした。この時期の3歳牝馬にとっては1月中に使えると、桜花賞に向けて調子を整えやすいというのはありますね。
――クイーンCのプレサージュリフトは強い内容でしたが、レース後の状態はいかがでしょうか?