毎週日曜日更新の当連載『フロントライン』は、現代競馬のキーマンとも言えるノーザンファーム天栄の場長・木實谷雄太氏に、競馬に関するさまざまなお話を伺うロングインタビューコラムです。聞き手:亀谷敬正。
▼今回の主なトークテーマ
・桜花賞回顧、次走オークスorNHKマイルC組の近況
・天栄調整馬のワンツー決着となった皐月賞回顧
桜花賞回顧、次走オークス・NHKマイルC組の近況
――今回は桜花賞、皐月賞の振り返りを中心にお願いいたします。まずは桜花賞のプレサージュリフト(11着)はどのような印象でしょうか。
木實谷:外からの差しが利きにくい馬場状態だったのも一因だとは思いますが、勝てないにしても、もう少し伸びてきてほしかったというのが率直な感想です。初めての長距離輸送もありましたし、出来も含めて、パフォーマンスを発揮しきれない要因が色々あったと感じています。
ただ、いい意味で全力で走れなかったからか、今回はクイーンCの後と比べてもダメージは少ない印象ですので、オークスに向けて良い感じで送り出せるようにしたいと思います。
――次のオークスは関東圏のレースで、調整しやすそうですね。
木實谷:あとは距離ですね。この血統は種牡馬を問わずに短距離向きの馬が多いので。折り合いの不安は少ないタイプで、脚質的には向いている気がしますので、あとは自身の距離適性がポイントになりそうです。
――14着のフォラブリューテは次走・NHKマイルCでしょうか?
木實谷:NHKマイルCに向かう予定です。こちらも桜花賞の疲労もすぐに回復して乗り出せましたし、状態はさらに上向いている印象です。
――NHKマイルCには弥生賞・5着のインダストリアも出走を予定しています。昨年のシュネルマイスターと同じローテになります。2000mからの距離短縮という面では、道中の反応が気になるのですが。
木實谷:2走前のジュニアCではある程度前にも行けましたので、そんなには心配していないです。どちらかというと、気持ちはシュネルマイスターよりも強いタイプですので、速い流れのマイル戦への適性はインダストリアも劣らないと思います。
――ちなみに、ステルナティーアもNHKマイルCでしょうか?
木實谷:賞金的に微妙ですが、おそらく出走できそうな感じなので、そのつもりで態勢を整えています(取材日4/19)。
――近2走は阪神JF・7着、チューリップ賞・11着です。関西遠征の影響もあるのでしょうか。
木實谷:そこに敗因を求めて、今回は桜花賞ではなくNHKマイルCにしたという経緯があります。
――現在の状態はいかがでしょうか。
木實谷:馬体に幅も出て、昨年の今頃とはだいぶ違います。ようやく、他の3歳と同じような成長曲線を描いてきた感じです。肌艶も良くなっていますし、良いパフォーマンスを発揮できると思います。
天栄調整馬のワンツー決着となった皐月賞回顧
――では次に皐月賞を振り返りたいと思います。1着ジオグリフ、2着イクイノックスと、ノーザンファーム天栄調整馬のワンツー決着。お見事でした。
木實谷:ありがとうございます。
――勝ったジオグリフですが、レース中もずっと喉が鳴っているらしいですね。