毎週日曜日更新の当連載『フロントライン』は、現代競馬のキーマンとも言えるノーザンファーム天栄の場長・木實谷雄太氏に、競馬に関するさまざまなお話を伺うロングインタビューコラムです。聞き手:亀谷敬正。
▼今回の主なトークテーマ
・ヴィクトリアマイルに向けたソングラインなどの近況
・運動量と馬体重、頑丈さとの兼ね合い
・プール調教のメリット・デメリット
ヴィクトリアマイルに向けたソングラインなどの近況
――今回はまず、ヴィクトリアマイルの出走馬についてお話を伺います。まずはサウジ遠征後(1351ターフスプリント・1着)となるソングラインですが、帰国後の状態はいかがですか。
木實谷:サウジの時は輸送前の追い切り後に爪が痛くなったり、現地でのイレ込みなど、レースに臨むにあたって不安な部分もあったのですが、今回は順調に乗れていますし、体調もすごく上がってきましたね。今週(取材日4/19)美浦に戻る予定です。
――東京新聞杯・2着からの参戦となるファインルージュはいかがでしょうか。
木實谷:既に美浦に戻っていますが、こちらも良い状態です。ただ、加齢とともに馬体が少し絞りづらくなってきて、けど脚元も頑丈なタイプではないので、調整が難しいタイプではあります。このあたりがもっと噛み合えば、さらにパフォーマンスを上げられるとは思うのですが。
――ただ単にカイバの量を減らすだけ、という訳にはいかないですからね。
木實谷:そうですね。人間も野菜ばっかり食べても力が出ないのと同じですよね。それで体重だけ減らしても・・・。
運動量と馬体重、頑丈さとの兼ね合い
――極端な話、脚元関係なく言えば、乗る量を倍にできれば、ちゃんと絞れる訳ですよね。
木實谷:乗ればそれだけ運動量が増えるわけですから、当然体重も減りますが、馬もその運動に適応してきますので、その度合いを見極める必要がありますし、運動量を増やすだけの頑丈さも必要になってきます。
――頑丈さを計る指標みたいなものはあるのでしょうか?
木實谷:具体的に数値化しているわけではありませんが、基本的にはスタッフが毎日午前と午後に馬体チェックを行っていますので、それぞれの感覚で調教の強弱をつけるようにしています。
――ちなみに、脚元を触って状態が分かるものですか?