毎週日曜日更新の当連載『フロントライン』は、現代競馬のキーマンとも言えるノーザンファーム天栄の場長・木實谷雄太氏に、競馬に関するさまざまなお話を伺うロングインタビューコラムです。聞き手:亀谷敬正。
▼今回の主なトークテーマ
・ダート馬の調整方法、ダート界の東西格差について
・理想はサイレンススズカ、目指す理想のトレーニング方法
ダート馬の調整方法、ダート界の東西格差について
――前回、最近目立つノーザンサーム生産馬の芝→ダ替わりについて伺いましたが、今回はその続きで、芝とダートの調整方法、その違い、ならびにダートの調整について伺いたいと思います。
以前お話を伺った際は、ノーザンファーム天栄での調整は、芝馬もダート馬も大きく違わないということでした。
木實谷:色々と試行錯誤しながらやっています。一時期はヴァーミリアン、アドマイヤドン、カネヒキリなど、ノーザンファームの馬がダート界のトップで活躍していましたが、今はそのような馬が不在ですので、以前とは違う調整方法が求められているのかもしれません。
――ちなみに、ノーザンファームしがらきと同じ調整方法なのでしょうか?
木實谷:しがらきの場合は、栗東所属の馬が中心となって、東西の調整法の違いもありますので、それに伴って天栄とも調整方法の違いは出ています。
――関西圏の方がダート戦のレベルが高いのは、栗東での調教が関係していますかね?
木實谷:そういう部分もあるかもしれませんね。設備が違うので、美浦と同じ時計で乗っても、(栗東の方が)負荷が掛かる面はあります。今、美浦も坂路を改修しているので、早く完成して欲しいなと。
とはいえ、設備が違っていても、美浦でも年度代表馬が出るわけですし、場所と使い方だとは思います。
――キツイ言葉になりますが、関東はレース自体がヌルいというのもあるのではないかと思うのです。弱い馬同士で走ってもダメなんじゃないかなと思っていて。