毎週日曜日更新の当連載『フロントライン』は、現代競馬のキーマンとも言えるノーザンファーム天栄の場長・木實谷雄太氏に、競馬に関するさまざまなお話を伺うロングインタビューコラムです。聞き手:亀谷敬正。
▼今回の主なトークテーマ
・新潟芝の考察、高速馬場を使う場合の懸念
・相当な資質を秘めるスカイグルーヴ、関屋記念へ
新潟芝の考察、高速馬場を使う場合の懸念
――新潟開催がスタートしましたが、馬場の印象はいかがですか?
木實谷:時計の出る高速馬場という印象は受けますよね。ジョッキーがあまり強く追わなくても32秒台の上がりが出ちゃうので、それだけスピードの出やすい馬場なのかなと分析しています。2勝クラスで1分31秒台が出ていましたし、新馬戦(30日5R)でもスローだったとはいえ、上がり31秒台が出ているわけですから。
――新潟のような軽い馬場と、福島や北海道のタフな馬場のだと、反動の違いなどはありますか?
木實谷:軽い高速馬場より、タフな馬場の方が脚元への負担は少ないと思います。ボコボコ馬場でイレギュラーが起こると、ミスステップ的なアクシデントは怖いですけれど。
――人間だったらタフな馬場と軽い馬場なら、タフな馬場の方が厳しいと思うのですが。
木實谷:疲れの種類が違う感じですね。人間も下り坂とかの方がスピードは出ますよね。けれど、そういう時って太ももへの負荷が大きく、肉離れを起こしやすいんですよ。必要以上に速く走ると、筋繊維が切れてしまったり、かなりのダメージがあると思います。ですから、新潟の高速馬場で走った馬がどういう状態で戻ってくるのかは、注意して見なければと思っています。
――また、新潟の前半2週は小倉開催がお休みのため、関西馬が新潟に多く参戦してきます。
木實谷:そうですね。出走希望馬が多いので、間隔があいた馬の節とか読みづらいところはありますね。
――ちなみに、7月30日、31日の新馬戦(芝)は関西馬が勝利しました。
木實谷:天栄調整馬も1600m、1800mの新馬戦に使って両方とも4着。特に初日のイコノスタシス(芝1600m)は勝負になるかなと思っていたのですが、かなりの出遅れをしてしまって・・・。ただ、勝ったリバティアイランドは強かったですね。
――ちなみに、関東と関西とでは入ってくる馬の素質に違いはあるのでしょうか。
木實谷:クラブの馬に関しては基本、関東・関西の頭数はイーブンとなっています。大体募集の2~3か月前に値決めと、配属予定先を決める会議があるのですが、縁のある血統以外は関東・関西で順番に1頭ずつ馬を決めていくようにしています。
ですから、関東・関西に入る馬の素質に偏りはなく、結果として差が出るのであれば、その時点での相馬眼の差か、育成段階に入ってからの技術の差ということになります。
相当な資質を秘めるスカイグルーヴ、関屋記念へ
――なるほど。では話題を変えまして、関屋記念に出走を予定している馬について詳しく聞かせてください。