毎週日曜日更新の当連載『フロントライン』は、現代競馬のキーマンとも言えるノーザンファーム天栄の場長・木實谷雄太氏に、競馬に関するさまざまなお話を伺うロングインタビューコラムです。聞き手:亀谷敬正。
▼今回の主なトークテーマ
・新馬戦での理想的な勝ち方とは
・良血ブラストウェーブ、新馬戦勝利
・札幌記念に出走予定のグローリーヴェイズについて
新馬戦での理想的な勝ち方とは
――新潟開催がスタートしまして、得意のワンターンで使う馬が増えてきますね。
木實谷:そうですね。前にも言いましたが、競馬を教えやすいので、特に新馬はワンターンのコースでの出走が増えると思います。
――ちなみに、理想の新馬戦はどのようなレースになりますか?
木實谷:道中は抱ええつつ、直線に向いたら脚を伸ばす競馬です。6月4日の新馬(東京芝1600m)を勝ったノッキングポイントが良い例ですかね。
ルメール騎手が最後の100mぐらいでグンとギアを入れて、一気に後続を離したじゃないですか。あのような競馬ができると、馬が成長していくにつれて、次は200m、その次は300mとできるようになります。
ただ反対に、最後にアゴが上がってしまうような競馬になると、馬も苦しくて、次はもっと早い段階で諦めてしまいます。そうなってしまうと、また最後に脚を伸ばせるよう教え直す必要が出たり、最後はブリンカーを付けることになってしまいます。
――ゴール前、例えば残り100mで失速してアゴが上がってゴールというのは良くないのですね。
木實谷:私個人の考えとしてはそうですね。アメリカ競馬であれば、アゴが上がってからが勝負なのですが。そういう意味では、もう競技が違うなと(笑)。
もちろん馬によっては、例えば、ダート1200mとか、ダートでトップを狙いたいような馬の場合は、テンのダッシュ力が結果に直結しやすいので、アゴが上がるようなフィニッシュでもいいと思います。
ただノーザンファームの生産馬は、目標を芝のマイルから2000m、2400mという芝の直線が長いコースでのトップを目指す馬が多いので、最後に伸びてゴールするのが理想だと思います。あくまで私個人の考えですけれど。
良血ブラストウェーブ、新馬戦勝利
――なるほど。ワンターンのコース以外では、ブラストワンピースの全弟・ブラストウェーブが函館芝1800mで新馬勝ちを決めました。