毎週日曜日更新の当連載『フロントライン』は、現代競馬のキーマンとも言えるノーザンファーム天栄の場長・木實谷雄太氏に、競馬に関するさまざまなお話を伺うロングインタビューコラムです。聞き手:亀谷敬正。
▼今回の主なトークテーマ
・2戦2勝のサリエラ、ローズSで始動
・セントライト記念のローシャムパーク、課題と対策
2戦2勝のサリエラ、ローズSで始動
――秋華賞トライアルのローズSには2戦2勝のサリエラが出走を予定しています。6月の東京戦以来となりますが、状態はいかがでしょうか。
木實谷:新潟の自己条件を目指していましたが、回復が遅くて少しズレこみました。馬としての完成度はまだまだですが、間隔を空けたことで現時点で力を発揮できる状態になりました。
――優先出走権を獲ったら秋華賞ですか?
木實谷:それは馬の状態を見ての判断になりますね。今年のローズSには春の実績組があまり出走してこないようですが、まずは今の完成度でどれだけやれるかを見たいと思っています。
セントライト記念のローシャムパーク、課題と対策
――菊花賞トライアルのセントライト記念セントライト記念は現在2連勝中のローシャムパークが出走を予定しています。こちらは4月の中山戦以来となります。
木實谷:正直、気性的に不安な面はありますね。ハービンジャーはディアドラやノームコアをはじめ、いい仔を出しているのですが、牡馬で能力がある馬は御すのが難しいんですよ。実際、牡馬の主な活躍馬はブラストワンピースとペルシアンナイトぐらいですし。
――そこは、ボクも常々感じています。日本で欧州血統馬の能力を開花できないのは、馬場適性だけではなく、爆発的な気性、すなわちレースでガッツを爆発させる技術が足りないのではないかと。ペルシアンナイトは本質ではないマイルでG1を勝ったわけで、相当強かったと思います。
木實谷:そうですね、ペルシアンナイト強かったと思います。なので、ハービンジャー、いいんですよ。エース級の繁殖についていなくても、これだけの成績を残しているとも言える訳で。
――具体的に難しい部分はどのあたりなのでしょうか。