毎週日曜日更新の当連載『フロントライン』は、現代競馬のキーマンとも言えるノーザンファーム天栄の場長・木實谷雄太氏に、競馬に関するさまざまなお話を伺うロングインタビューコラムです。聞き手:亀谷敬正。
▼今回の主なトークテーマ
・5着に敗れたソングライン、3連勝のエピファニーを回顧
・スプリンターズSに初の1200m戦シュネルマイスター登場
・スミヨン騎手の印象、短期免許で来日する騎手の配置
5着に敗れたソングライン、3連勝のエピファニーを回顧
――まずは直近の振り返りをしたいのですが、ソングラインが出走(5着)したセントウルSでとんでもない時計が出ました。
木實谷:メイケイエールの勝ちタイムが1分6秒2ですか。想定より相当速かったので驚きました。過去2年の想定から1分7秒台半ばぐらいかなと見ていたのですが、想像以上でした・・・。
――反動は大丈夫そうです?
木實谷:帰ってきてからですけど、仮に反動があっても次に向けてリカバリーできる時間がありますからね。大丈夫だと思います。レース内容も最後に伸びてきたので、そこは良かったと思います。
――セントウルS同日には、中山でエピファニーが白井特別を快勝しましたね。
木實谷:キッチリ折り合いがついたので最後に脚を使えましたね。
――これで3連勝、大きい舞台を見えてきましたか。
木實谷:この馬は地道に行った方がいいと思うので、次は3勝クラスを使うと思います。脚元との相談になりますけど、11月の東京に1800m、2000m戦が組まれているので、そのあたりを考えています。
――エピファニーの脚元は、以前から仰っていましたよね。
木實谷:能力は感じていましたが、脚元は2歳の4月ぐらいから心配でしたね。これから競馬のレベルが上がれば調教もレベルを上げていくことになりますから、気をつけながらやっていきます。
――レベルを上げていくというのは、どういう調教になるのでしょうか。
木實谷:反応の良さとか、使える脚をもうちょっと引き出せそうなので、その部分を鍛えていく感じですね。
――反応を良くしようとすると、折り合い面の不安が出そうな気もしますが。
木實谷:そこがポイントですね。調教を強くすると馬も敏感になりますので。例えばスポーツカーはアクセルをちょっと踏んだだけでもギュン!って行くと思うんですよ。それと同じなので、どうハンドルをつくるかというのがポイントになりますね。ただ調教でもかなり折り合えるようになりましたし、だからハミも柔らかいのに替えていたんですよ。当たりが柔らかいハミに。
――それで折り合えたのはすごいですね。
木實谷:そうなんですよ。以前は坂路でもがむしゃらに走っていたのですが、うまく我慢して走れるように調教していった成果が少しは出たかなと。まだまだできそうな雰囲気もありますので、脚元を相談しながらやっていきたいと思います。
スプリンターズSに初の1200m戦シュネルマイスター登場
――ここからはこれからの話題に移りたいと思います。まずは今週末のスプリンターズSにシュネルマイスターが出走を予定しています。初の1200m挑戦ですね。スプリンターズSの後はマイルCSと聞いていきますが、今回は先を見据えた仕上げになるのでしょうか?