毎週日曜日更新の当連載『フロントライン』は、現代競馬のキーマンとも言えるノーザンファーム天栄の場長・木實谷雄太氏に、競馬に関するさまざまなお話を伺うロングインタビューコラムです。聞き手:亀谷敬正。
▼今回の主なトークテーマ
・2022年の振り返り、重賞勝利数の減少について
・2023年の目標、クラシック路線で楽しみな馬
2022年の振り返り、重賞勝利数の減少について
――今回は去年の総括と今年の目標をお聞きしたいと思います。まず2022年を振り返ってみていかがでしょうか。
木實谷:勝ち星や率的なものは前年比で同じくらいでしたが、重賞の勝ち鞍がかなり減ってしまいました。2021年は30勝でしたが、2022年は13勝でした。2着、3着が多く、勝ち切れなかったあたりが課題ですね。
もちろん私たちもあぐらをかいていたわけではないのですが、もっとできることを考えていかないといけないと思っています。
――2022年はGIで1番人気馬が勝てないということが話題になりました。
木實谷:やはりGIの舞台に出走するようなメンバーですから、能力差というものは本当に僅かなものだと思っています。その証拠に2022年は、JRAのGIレースを2勝以上した馬はスターズオンアース、タイトルホルダー、イクイノックスの3頭のみ。マイル以下のGIレースでは全て勝ち馬が違っていました。
枠順や展開、天候や馬場をはじめ、結果を左右するファクターがたくさんある中で、我々の立場としては、能力を最大限発揮できる状態で送り出していくことに尽力したいと思います。
――それは、トレセンに送り出す馬の状態面をさらに追求するという意味でしょうか。
木實谷:状態もそうですし、操縦性も。あらゆる点においてですね。
――2022年の重賞勝利数が前年の半分以下に減ってしまった要因はどのようにお考えでしょうか。例えば、重賞を勝てる素質を持つ馬がまだ条件クラスにいる、あるいはリタイアしてしまったなど。