毎週日曜日更新の当連載『フロントライン』は、現代競馬のキーマンとも言えるノーザンファーム天栄の場長・木實谷雄太氏に、競馬に関するさまざまなお話を伺うロングインタビューコラムです。聞き手:亀谷敬正。
▼今回の主なトークテーマ
・ホープフルS回顧、3着キングズレインの今後
・クラシック戦線を見据えた理想的なローテとは
・メイクアスナッチ、ノッキングポイントなど年明けレースの回顧
ホープフルS回顧、3着キングズレインの今後
――前回はイクイノックスの有馬記念について振り返っていただきましたので、今回はホープフルS、そして年明けの競馬についてお話を伺っていきたいと思います。まずはホープフルSですが、キングズレインが惜しい3着でした。
木實谷:いい脚で伸びてきましたが、4コーナーで外に振られてしまったのがかわいそうでしたね。
――個人的には超前残りのレースでよく伸びてきたな、という印象です。レース後の状態はいかがですか?
木實谷:ちょっと疲れが見えるので、現在は様子見という段階です。とはいえ、3着で賞金を加算できなかったので、トライアルを使わないと皐月賞に出られませんからね。
現状では弥生賞を目指して、そこで権利を取れれば皐月賞に向かいたいと思っています。軽い運動はできているので、しっかり立て直していきたいです。
クラシック戦線を見据えた理想的なローテとは
――クラシックを狙う馬にとって、12月末のホープフルSを使って、弥生賞、皐月賞となると、意外にキツいローテーションになりますか。
木實谷:馬によりますけど、更に後に控えているダービーのことまで考えると辛いローテーションだと思います。クラシック戦線に余力を持って臨むためにも、ホープフルSで賞金を加算できたのであれば、皐月賞に直行という選択肢が、馬の成長を促すという意味でも調整しやすいですし、ベストだと個人的には考えています。
――成長期には過度な負荷をかけないことが大事なのですね。
木實谷:馬も生き物ですから成長しますし、大概の馬はこの時期に変わる気がしています。それを阻害しないように調教していくのが大事ですね。馬によって疲れるトレーニングの量が違うので一概には言えませんが、その許容範囲を超えるのは良くないと思います。
過度のトレーニングによって、馬が疲れ果ててしまうと、その回復で精一杯で、成長する余地がなくなってしまいます。その辺りの見極めが技術だと思いますが、改めて、真摯に個々の馬に向かうしかないですね。
――イクイノックスのローテーションを振り返ると、その意味が分かります。
木實谷:イクイノックスも東スポ杯2歳Sの後はその許容範囲を超える一歩手前だったと思います。当初は秋以降のデビューでもという感触でしたので、早めに使いだした負担も大きかったのかもしれません。