毎週日曜日更新の当連載『フロントライン』は、現代競馬のキーマンとも言えるノーザンファーム天栄の場長・木實谷雄太氏に、競馬に関するさまざまなお話を伺うロングインタビューコラムです。聞き手:亀谷敬正。
▼今回の主なトークテーマ
・ドバイ圧勝のイクイノックス、次なるターゲット
・毎日杯、ダービー卿CTの振り返り、本番に向けて
・福島牝馬S、フローラS、マイラーズC出走馬情報
ドバイ圧勝のイクイノックス、次なるターゲット
――ドバイシーマクラシックのイクイノックス、強かったですね~。
木實谷:ありがとうございます。強かったと思います。
――逃げることは想定していたのですか? それとも想定外?
木實谷:逃げることは想定内でしたよ。馬に力がついてテンからハミにも出てくるようになっていたので、感触通りではありました。有馬記念も良いスタートを切ったのですが、ちょっと無理に抑える形になったので、だったら前にも行ってもいいのかなとは思っていました。
――そうなんですね。ちなみに次走は決まっているのですか?
木實谷:4月3日に帰ってきたので、その後の回復を見て決めようと思います。
――宝塚記念という選択肢は?
木實谷:国内なら宝塚記念になるでしょうし、海外からも色々とオファーをいただいているので、馬にとってどこが良いのか考えていきたいと思います。今回、初めての飛行機輸送も経験できましたし、世界中のレースを選択肢することができるようになったことは大きな収穫です。
――ドバイシーマクラシックを勝ったことで、ジャパンCも勝つと200万ドルのボーナスが出ますよね。ジャパンCの1着賞金を合わせると7億円以上ですか。それに加えて、天皇賞・秋、ジャパンC、有馬記念を全部勝ったら、さらに2億円のボーナスですか。昨年春の当コラムで、『来年だったら秋に3つ使えるぐらい体質が強化されている可能性がある』と仰っていたので、秋も非常に楽しみです。
木實谷:ただ、まずはドバイの競馬でどれぐらい疲れているのか、そこをしっかり見極めてからの話ですね。仮に秋は国内だとすると、最大の狙いは報奨金の条件を満たしたジャパンCになる可能性もありますし、馬の状態次第では海外に向かう可能性もあるでしょうし、現時点では弊社の代表が話している通り、国内外全てのレースが選択肢ということですね。
毎日杯、ダービー卿CTの振り返り、本番に向けて
――では続いて国内のレースを振り返っていただきます。毎日杯ではノッキングポイントが2着に好走、賞金を加算できましたね。
木實谷:う~ん、もうひと押しできそうな感触はあるんですよね。デビュー戦の時ほど走れていないのかな~という印象を持っています。ダメということではないんですけど、もうちょっと隠している、もうちょっとあると思うんです。今回もジョッキーが追いだしてから勢いがつくまでにタイムラグがあったように見えましたので。
――次はNHKマイルCですか?
木實谷:ダービーも視野に入れていますが、賞金的に足りるかどうか・・・。ですから現状はちょっと不透明ですね。皐月賞後の情勢を見て、最終的に決めることになると思います。血統的にはお母さん(チェッキーノ)はオークス2着ですし、ここ2戦でモタモタしているところを見ても、距離が延びた方がとは思っています。NHKマイルCは例年ペースが速いので、追走でアップアップになるよりは、ダービーの方が良いのかなと。
――一方で、キングズレインは12着に敗れてしまいました。