毎週日曜日更新の当連載『フロントライン』は、現代競馬のキーマンとも言えるノーザンファーム天栄の場長・木實谷雄太氏に、競馬に関するさまざまなお話を伺うロングインタビューコラムです。聞き手:亀谷敬正。
▼今回の主なトークテーマ
・桜花賞・3着ペリファーニア、オークスに向けて
・厩舎と外厩施設との役割分担
・ニュージーランドT・2着ウンブライル、NHKマイルCへ
・有力馬を送り込む新潟大賞典
桜花賞・3着ペリファーニア、オークスに向けて
――まずは最近行われた重賞を振り返ります。桜花賞はエフフォーリアの妹ペリファーニアが3着に好走しましたね。
木實谷:頑張ってくれたと思います。ジョッキーも前走・チューリップ賞の内容を踏まえて、上手く乗ってくれました。今回に関しては勝ったリバティアイランドの末脚が素晴らしかったです。完成度の差もありますが、ペリファーニア自身は現時点で持っている力を十分に発揮してくれたと思います。
――次走はオークスだと思いますが、距離に関してはいかがでしょうか?
木實谷:正直、2400mに延びて良いかどうかはわかりません。正攻法だとバテてしまう可能性もあるでしょうし、後方待機から直線に賭ける競馬をすることになるのか、もしくはスローで逃げて正味1400mの競馬に持ち込むのか。いずれにしても、こちらとしては少しでもリラックスして走れるような環境をつくっていきたいと思います。
――ということは、既に(ノーザンファーム天栄に)戻ってきているのですね。
木實谷:はい、ちょうど乗り出したところですね(4/19時点)。
厩舎と外厩施設との役割分担
――そもそも、レース後そのまま在厩するのと、ノーザンファーム天栄に戻ってくるのだと、どのような点で違いが出るのでしょうか?
木實谷:次のレースに向けての調整という意味では、まずは前走の疲れを回復させることが最優先ですので、馬がトレセンにいても、天栄にいても対応自体は変わりありません。ただ、牧場にいた方が、出走間近の馬がたくさん周りにいるトレセンよりも精神的にリラックスできるでしょうし、回復度合いということであれば早いかもしれません。
今は昔と違って、厩舎と我々のような外厩施設との役割分担がハッキリしていて、天栄の方でもレースの疲れを回復させながら次のレースに向けて調整を進めるノウハウが蓄積されてきました。特に今年は出走回数の増加が大きな目標でもありますし、牧場に戻ってきた馬を早く回復させて、1日でも早くトレセンに送り出せるように努めていきたいと思います。
――間隔を空けた馬は、各種メディアでは休養や放牧と表現されていますが、実際のところ、厩舎にいないからといって、馬はずっと休んでいる訳ではないということですよね。