毎週日曜日更新の当連載『フロントライン』は、現代競馬のキーマンとも言えるノーザンファーム天栄の場長・木實谷雄太氏に、競馬に関するさまざまなお話を伺うロングインタビューコラムです。聞き手:亀谷敬正。
▼今回の主なトークテーマ
・新馬戦振り返り(カンティアーモ、ヴィントシュティレ、ブランシール)
・新潟2歳Sに出走予定、アスコリピチェーノの近況
新馬戦振り返り(カンティアーモ、ヴィントシュティレ、ブランシール)
──新潟開催がスタートして、続々と期待の新馬が勝っています。また1頭強いのが出たなと思ったのが、7月30日に芝1800mを勝ち上がったカンティアーモ。レコード勝ちはお見事ですが、その後のケアも大変そうだな、とも思いましたがどうでしょうか?
木實谷: 脚力、競走能力の高さは十分に示してくれたと思います。ただ、返し馬からコントロールの難しさが出ていて、競馬も見ての通りに気がはやっている走りで、そこは使っていくとさらに強くなっていく部分でしょうから、もっとリラックスして走れるようにならないといけないですね。
──2戦目以降のテンションをどうコントロールしていきましょうか?
木實谷: 天栄側と厩舎での躾ですよね。なんとか我慢することを覚えさせないといけないですね。
──我慢させてマイル以上を走らせたいですよね。
木實谷: 仰る通りです。血統的に上の馬もダートの中距離とかで走っていますし、短いところが向いている馬ではないと思っています。この仔は軽い走りをするので芝だとは思いますが、課題は強い中距離馬にできるかというところだと思います。実は、もともとは阪神でデビューする予定だったんですよ。ただ、折り合い面とかそのあたりでもう少し時間が欲しかったので新潟まで待ってという形になりました。そういう心配の大きい馬ではありますね。
──それで評判馬のミッキースターダムを負かすという強い競馬ですからね。
木實谷: 亀谷さんから見て強かったと思いますか?
──新馬は強かったと思います。問題は次に同じかそれ以上のパフォーマンスを出せるかどうかだと思います。上手くいけばいいですけど、下手をすると3戦後とかには人気先行の馬になっている可能性もあるタイプですよね。
木實谷: そうならないように調整、躾ができるように頑張ります。ただ、気性面に課題があるとはいえ、1歳の時から身体も見栄えのするタイプで、能力の高さは感じていましたし、今回改めて実感できたので、うまく伸ばしていければと思います。
──続いて8月5日に芝1600mでデビューしたヴィントシュティレですね。惜しくも2着に負けてしまいましたが、才能を感じる走りでした。