毎週日曜日更新の当連載『フロントライン』は、現代競馬のキーマンとも言えるノーザンファーム天栄の場長・木實谷雄太氏に、競馬に関するさまざまなお話を伺うロングインタビューコラムです。聞き手:亀谷敬正。
▼今回の主なトークテーマ
・秋の大一番に向けてローズSに出走するブレイディヴェーグ
・セントライト記念の出走馬最新情報
秋の大一番に向けてローズSに出走するブレイディヴェーグ
──今週は3歳秋の大一番に向けて、牝馬、牡馬のトライアルレースが行われます。まずはローズS。ブレイディヴェーグが出走を予定しています。前走の条件戦は非常に強い競馬を見せてくれましたが、その後の状態はいかがでしょう?
木實谷: 今まで使うたびに骨折していたんですよね。今回も脚元の不安はゼロではありませんでしたけど、今までの競馬のなかではうまく調整できたほうです。前回の勝ちっぷりを見ても、能力は高いと思うので楽しみにしています。
──すごい馬ですからね。関西でのレースになりますが、輸送についてはいかがでしょう?
木實谷: 栗東に滞在して調整します。
──宮田厩舎にとっては関西遠征と重賞というハードルになるわけですが、そのあたりはいかがですか?
木實谷: 遠征という意味では、栗東に滞在することによって輸送の負担も減るわけですし、坂路コースも使用できて、脚元への負担を軽減しながら重賞出走に見合う状態に仕上げていけると思います。天栄としてはいつも通りに、レースの1か月前に使える状況で送り出したので、あとは無事にいってほしいなと思います。
──ちなみにブレイディヴェーグがどうこうというわけではないんですが、関西遠征で力を発揮できない馬というのは、どういったことが原因になるんでしょう?
木實谷: そうですね、例えばシュネルマイスターの場合は日曜日の競馬で金曜日に輸送すると、環境の変化とレースまでの間があいてイライラしてしまったりというのはあります。どちらかというと肉体面というより精神面への影響が多いように思います。
──なるほど。あとブレイディヴェーグは重賞を使うわけですけど、さらにパフォーマンスを引き出す必要があるわけですよね。
木實谷: そもそもブレイディヴェーグの前走は、まだまだ良化の余地を残した状態での出走だったと思います。もともと骨折明けで7月末ぐらいに使うのがちょうど良かったんですけど、そうなると福島になってしまうので6月末の東京を使ったという経緯がありまして。仕上がり状態よりも、舞台設定を考慮しての出走判断でした。
──今回に向けてはさらに引き出せるものが大きくなる調整をしていると。
木實谷: 脚元のことがあるのでちょっとずつ引き出せるようになっていければと思っています。脚元の不安がなくなってしっかり調教できるようになれば、まだ引き出せるものはあると感じています。前述のように、次は栗東滞在で坂路を使えますし、環境や外的要因から、前回よりも走れる下地はあると思います。
──栗東の坂路はどのような効果があるんでしょうか? 直前に1回、2回乗ったところで、いきなり強くなったりはしないですよね?