毎週日曜日更新の当連載『フロントライン』は、現代競馬のキーマンとも言えるノーザンファーム天栄の場長・木實谷雄太氏に、競馬に関するさまざまなお話を伺うロングインタビューコラムです。聞き手:亀谷敬正。
▼今回の主なトークテーマ
・アイルランド研修、現地観戦の愛チャンピオンS
・ノッキングポイントの今後、サリエラ&インダストリアの敗因分析
・東京開幕週から大攻勢! 南部杯も見逃せない!
アイルランド研修、現地観戦の愛チャンピオンS
――9月中旬から研修でアイルランドに行かれていたそうですね。
木實谷:はい。ちょうどディープ産駒のオーギュストロダンが愛チャンピオンSに出走するということで、レースも生で観てきました。
――日本のディープ産駒と比較して印象はどうでしたか?
木實谷:触らせていただいたわけではないのですが、オーギュストロダンは日本のディープ産駒よりも少し薄手というか、コントレイルのように薄くて細い印象を受けました。
――その造りでもタフな馬場をこなせるわけですよね。
木實谷:そうですね。ただ、今年の愛チャンピオンSはアイルランドの方も『例年だとこんなことないよ』って仰るぐらい、硬い馬場で行われていましたけどね。過去5年で比較しても、当日はどのレースも速い時計が出ていたようですね。そういうのも含めて向いたところがあったのではと。
――レース内容についてはどのような印象を受けましたか?
木實谷:ラップを見返すと、スタートしてからずっと12秒フラットくらいで流れていって、日本と違って中弛みがなく、平均的に速いラップが続いている印象でした。そういう意味では、やはり最後まで走り切る心臓の強さと、メンタル面でのタフさが求められると改めて感じました。
――ちなみ、レース以外に厩舎なども訪問されたのでしょうか?
木實谷:ええ、A.オブライエン厩舎など、アイルランドでもトップの厩舎をいくつか見せていただきました。どういうところで調教しているのか、どういう流れでやっているのかなど、肌で感じることができたのは今後に活きてくるかなと思います。実際、何頭か馬を触らせていただいたので、そういった調教施設を使った場合の馬の傷み方を知ることができました。
ノッキングポイントの今後、サリエラ&インダストリアの敗因分析
――アイルランドの日本の違いについては次回以降も聞かせてください。ここからは国内の競馬で、まずはノッキングポイントが新潟記念を勝ちました。おめでとうございます。
木實谷:北村宏司騎手とも打ち合わせたのですが、向正面をリズム良くいくことが鍵だと思っていて、そこをうまくクリアしてくれましたし、最後もうまく内を捌いて最高の乗り方だったと思います。
――ちなみに、次走はどこに向かう予定でしょうか?
木實谷:菊花賞に行こうと思います。
――となると、ブラストワンピースと同じローテになりますね。
木實谷:そうですね。ノッキングポイントは現状、直線が平坦のコースレイアウトが合っていると感じていて、3000mでも京都ならこなせるのではと考えています。
この馬に関してはちょっと適性を見誤っていたのかなと思っていて、母がチェッキーノで、モーリス産駒の気性的なところも含めて、適性はマイルかなと思っていたのですが、今は平坦なら距離は問題ないかなと。幸い新潟記念出走後も順調に調整を行っていますので、どんな走りを見せてくれるのか楽しみにしています。
――1人気ながら7着に敗れたサリエラについては?