毎週日曜日更新の当連載『フロントライン』は、現代競馬のキーマンとも言えるノーザンファーム天栄の場長・木實谷雄太氏に、競馬に関するさまざまなお話を伺うロングインタビューコラムです。聞き手:亀谷敬正。
▼今回の主なトークテーマ
・アイルランドの調教方法、日本との違い、得られたヒント
・秋華賞&府中牝馬S出走馬の最新情報
アイルランドの調教方法、日本との違い、得られたヒント
――今回は研修の一環で、アイルランドの厩舎を訪問された件についてお聞かせください。
木實谷:トップの厩舎をいくつか見せていただいて、アイルランドの馬たちがどういうところで調教しているとか、どういった流れでやっているのかとかを、直接肌で感じることができたのは良かったと思います。
馬にも触らせてもらったので、向こうの調教施設を使った場合の馬の傷み具合などを知ることができたのは大きかったです。
――実際に調教をご覧になって、日本との違いは感じましたか?
木實谷:日本は1頭1頭の状況に合わせて調教メニューを組み立てていくという流れが多いのですが、アイルランドではある程度グループ分けをして組み立てていくという印象でした。ルーティンとなる調教メニューの強度も高いですし、より強い馬を作っていくという意図を感じますね。
――その話は、外国で働いていた日本人ホースマンからもよく聞きます。良血馬も決まったシステムのハードな調教に生き残れる馬を選別するのだと。
木實谷:坂路の勾配にしても、距離にしても、日本の調教施設よりスケールが大きく、アイルランドの方が負荷はかかるとは思います。トレーニング自体はほぼ坂路だけなのでシンプルなのですが、相当キツそうですよ。追い切った翌日も速めのキャンターを乗っていますしね。
――エグいな~。調教は坂路コース主体なのですね。
木實谷:そうですね、坂路主体でやっている厩舎がリーディング1位、2位ですね。
――木實谷さんから見て、携わっていた馬が、もしアイルランドのリーディング上位調教師に転厩したらどうなると思いますか?