毎週日曜日更新の当連載『フロントライン』は、現代競馬のキーマンとも言えるノーザンファーム天栄の場長・木實谷雄太氏に、競馬に関するさまざまなお話を伺うロングインタビューコラムです。聞き手:亀谷敬正。
▼今回の主なトークテーマ
・朝日杯FS&有馬記念振り返り、返し馬の重要性
・AJCC出走予定馬について
朝日杯FS&有馬記念振り返り、返し馬の重要性
――今回は昨年末のGIを振り返りたいと思います。まずは朝日杯FSですが、シュトラウスは10着に敗れてしまいました。
木實谷:ご覧いただいた通りの自滅ですね。自滅するならああいう形かなと懸念していたことが起きてしまいました。馬のフットワーク、ストライドを殺さずに運ぶという意味では、大外17番枠はいい枠でしたが、馬の後ろにはめることができず、そのまま外を走ってしまいました。その結果、壁を作れずに我慢することができなかったですね。
ただ枠云々よりも、そこで収まるように仕上げられなかった私たちが悪かったと思っています。
――東スポ杯2歳Sの勝利で賞金はありますが、次走予定は決まっているのでしょうか?
木實谷:もうこちらに帰ってきているので、馬の状態を見ながら決めていこうと思っています。ただ、ダメージ的なものはそんなになかったので、すぐに乗り出していけると思います。
――続いて、有馬記念はスルーセブンシーズが12着でした。
木實谷:これもシュトラウスと同じで自滅ですね。外のスターズオンアースが前に行ったので、結果的に大外枠のような形になって、壁をつくれず我慢できませんでしたね。スタート後にちょっと接触もあって、より馬がハミを取っていったというのもありました。
――凱旋門賞のあと、馬が行きたがるようになったというお話がありましたが。
木實谷:ええ。それがモロに出てしまいましたね。ただ、そこを私たちが修正できなかったということです。返し馬の一歩目で危ないなとは思っていたんですよね。
――返し馬の段階から危険な兆候が見られたのですね。