毎週日曜日更新の当連載『フロントライン』は、現代競馬のキーマンとも言えるノーザンファーム天栄の場長・木實谷雄太氏に、競馬に関するさまざまなお話を伺うロングインタビューコラムです。聞き手:亀谷敬正。
▼今回の主なトークテーマ
・ジオグリフ、再び芝路線へ
・2023年度の新馬戦総括、未デビュー組で楽しみな馬
ジオグリフ、再び芝路線へ
――今週末の中山記念にジオグリフが出走を予定しています。再び芝路線ということでしょうか。
木實谷:そうですね。皐月賞でイクイノックスを負かしたほどの馬ですから、能力があるのは確かなのですが、このところの競馬を見ると浮上のきっかけが必要だと思いましたので。ここ数戦の敗因を路盤適性に求めて、中山芝を使ってみようということですね。近走で乗ってもらったジョッキーたちの話を聞いたうえで、芝に戻してみようと。
――中山記念を選んだ経緯は?
木實谷:札幌2歳Sを勝った札幌芝1800mと同距離、似たコース形態で、皐月賞を勝った中山という部分ですね。
――中間の状態はいかがですか?
木實谷:毛艶もいいですし、元気もいいですよ。レースでは戸崎騎手に乗ってもらう予定です。
2023年度の新馬戦総括、未デビュー組で楽しみな馬
――続いて、2023年度の新馬戦について伺います。2月4日で芝の新馬戦が終わって、この開催で新馬戦が終了ということになります。ここまでの3歳世代についてはどう総括されますか。
木實谷:去年の世代よりもかなり良くて、一昨年よりもすこし良いという成績ですね。今年はそもそもの頭数、分母が大きいというのもあって、去年のこの時期よりも勝ち上がり頭数は20頭ぐらい多いです。
――分母となる馬自体は何頭ぐらい増えたのですか?
木實谷:去年より30頭ぐらい多いですね。
――頭数が30頭増えて、勝ち上がりが20頭も増えたのは、驚異的な数字に思えますが。
木實谷:でも、この世代の半分を勝ち上がらせるのには、あと70頭ぐらい勝たせないといけません。けっこう大変な頭数です。未勝利が終わる秋までにひと月に10頭ずつ勝ち上がらせなければいけないですからね。骨折等の大きな故障はもちろんですが、少しのトラブルでも今後の競走生活に影響を及ぼす可能性がありますので、より一層の注意を払って、調整を進めていきたいと思います。
――未勝利戦の数自体も減ってきますからね。
木實谷:芝のレースも減るなかで、今後はかち合うケースも増えてきますし。
――まだデビューしていない馬は、未勝利戦でデビューということになるかと思いますが、未勝利戦デビューというのはやはり厳しいですか?
木實谷:やっぱり既走馬と走るのは不利ですからね。それに過去の例を見ても、未勝利戦をいきなり勝つというのは、将来の2勝クラス以上の馬がほとんどです。余程能力が違わないと初戦で勝つのは難しいですよね。
――ちなみに、まだデビューしていない馬で楽しみな隠し玉はいますか?