毎週日曜日更新の当連載『フロントライン』は、現代競馬のキーマンとも言えるノーザンファーム天栄の場長・木實谷雄太氏に、競馬に関するさまざまなお話を伺うロングインタビューコラムです。聞き手:亀谷敬正。
▼今回の主なトークテーマ
・チューリップ賞回顧、ガルサブランカの今後
・弥生賞回顧、トロヴァトーレの敗因分析
・初戦圧勝のニュージーズ、毎日杯へ
チューリップ賞回顧、ガルサブランカの今後
――今回はまず、チューリップ賞と弥生賞を振り返ります。チューリップ賞はガルサブランカが8着、スティールブルーが10着に敗れてしまいました。
木實谷:ガルサブランカは写真等で見る限り毛艶は良さそうでしたが、話を聞くと、阪神への輸送で当日に馬体重が減ってしまったようで、プアパフォーマンスに繋がってしまった印象です。比較的遅生まれで、まだまだ成長の余地を感じていますので、今後はゆっくり成長を待ちながら進めていきたいなと思います。
――いい意味で捉えると、これで春に無理をする必要がなくなりました。
木實谷:このあとも反動がなければ、5月か6月の東京を使って、新潟、秋の東京と使っていければ理想的かなと思っています。
――スティールブルーは前走とは違い先行しましたが。
木實谷:ジョッキーの話ではテンから真面目に走り過ぎてしまい、終いバタバタになっていると。使うごとに良くも悪くも気が入っちゃっているので、距離を含めた適性が出てきているのかなと感じています。元々芝1200でデビューさせようかと考えていたぐらいなので、現状はちょっと長かったのかもしれないと考えています。
弥生賞回顧、トロヴァトーレの敗因分析
――続いて翌日の弥生賞ですが、1番人気に推されたトロヴァトーレが6着に敗れました。
木實谷:正直、もうちょっと走れると思っていたので、送り出した際の感触と結果とのギャップが大きいですね。直前に馬を見ていても身体はすごく良かったと思うのですが・・・。
当日は返し馬から折り合い面で難しいところを出していて、1コーナーでシンエンペラーと接触して、リキみながらの追走になってしまいました。直線に向くまでの消耗が大きかったですね。馬場も含めて、走れない要素が噛み合ってしまった、重なってしまった結果だと思います。
――これが馬場と展開の恐ろしさですね。勝った馬は1勝クラスを勝ち損ねた馬で、4着馬も1勝クラスで4着だった馬ですからね。
木實谷:競走馬の能力は一定ではないということですね(苦笑)。
――気になるのはトロヴァトーレの今後ですが。
木實谷:こちらに戻ってきたばかりなので、今後の回復と状態を確認次第になりますが、ダメージがなければダービートライアルを使いたいなと思っています。連勝した内容からもクラシック戦線での活躍を期待している馬ですし、しっかりと修正して、いい走りを皆様にお見せしたいです。
初戦圧勝のニュージーズ、毎日杯へ
――では、ここからは今週末の重賞レースについて伺います。まず毎日杯にはトラジェクトワールとニュージーズが出走を予定しています。