毎週日曜日更新の当連載『フロントライン』は、現代競馬のキーマンとも言えるノーザンファーム天栄の場長・木實谷雄太氏に、競馬に関するさまざまなお話を伺うロングインタビューコラムです。聞き手:亀谷敬正。
▼今回の主なトークテーマ
・天皇賞・春、ドゥレッツァ&サリエラの敗因分析
・人気を裏切る形になったNHKマイルC、新潟大賞典
・有力馬3頭で挑む日本ダービー最新情報
天皇賞・春、ドゥレッツァ&サリエラの敗因分析
――今回は天皇賞・春から振り返ります。サリエラが12着、ドゥレッツァが15着と厳しい結果に終わってしまいました。
木實谷:ドゥレッツァは熱中症と骨折ということでしたが、熱中症ということはレース中のオーバーヒートですから、道中でかかってしまったサリエラともども、もう少し折り合い良く運べればといった印象でした。
――レース前のコンディションは問題なかったのですか?
木實谷:はい、力を発揮できるコンディションだったと思います。少なくとも、あそこまで負けるコンディションではないですね。心身ともに長距離G1で能力をちゃんと発揮できる馬をつくるのは大変だと改めて感じましたね。
亀谷さんがよく言うように、競走馬は走る距離を知らないわけですから、最初からエンジン全開で行こうとしちゃうのです。それをちゃんと我慢できる精神面、体力面をつくるのは大事ですよね。
――ドゥレッツァは骨折とのことですが、ケガの程度はどうなのでしょうか。
木實谷:幸い骨折といっても程度の軽いものですね。サリエラとともにまた夏以降、秋にいい競馬ができるように調整していきます。
人気を裏切る形になったNHKマイルC、新潟大賞典
――続いてNHKマイルCですが、アスコリピチェーノが2着、アルセナールが9着、シュトラウスが16着、ボンドガールが17着。直線での不利など難しい競馬でしたね。
木實谷:まあ、競馬ですから仕方ないですね。ただ、アスコリピチェーノは最後にまた伸びてきましたし、改めてこの世代のマイル路線ではトップクラスだと認識できました。今後も安定してパフォーマンスを発揮できるようにやっていくだけです。
アルセナールは上がり最速で走ってくれましたし、あの馬場と位置取りで仕方ないところがあったかなと思います。ボンドガールは見ての通り、直線でゴチャつきましたし、シュトラウスは前走同様最後方で運んだのですが、もう少し伸びてきて欲しかったです。
――シュトラウスはレース選択が難しくなりましたね。
木實谷:何とか道中はリズムよく走って、終いの脚を活かせるよう取り組んでいきたいと思います。
――同日の新潟大賞典ではノッキングポイントが8着、レーベンスティールが11着に終わりました。
木實谷:ノッキングポイントに関しては、前走は4コーナーで一杯になってしまいましたが、今回は残り200mまで頑張って伸びていました。ノドも鳴らなかったということで、前走より一歩前進した内容だったと思います。病み上がりを2回使って、今後順調に調教を積むことができれば、次走以降は勝負になるのではと考えています。
レーベンスティールは4コーナーで早々に手応えをなくしていましたので、やっぱり病み上がり感はあったと思います。これもノッキングポイントと同じで、使いつつ上昇していければと。人間も同じですけど、病み上がりというのはそういうものなのですよね。
有力馬3頭で挑む日本ダービー最新情報
――では最後にダービーについて馬がいます。今年はレガレイラ、アーバンシック、シックスペンスの3頭が出走を予定しています。