毎週日曜日更新の当連載『フロントライン』は、現代競馬のキーマンとも言えるノーザンファーム天栄の場長・木實谷雄太氏に、競馬に関するさまざまなお話を伺うロングインタビューコラムです。聞き手:亀谷敬正。
▼今回の主なトークテーマ
・新馬戦の追い切りで見るべきポイント
・レーベンスティール、短期間で巻き返した裏側
・七夕賞&今週末デビューの2歳馬情報
新馬戦の追い切りで見るべきポイント
――チェルヴィニアの半弟アルレッキーノが6月9日(日)の東京芝1800mでデビューしましたが、結果は2着でした。まずはこのレースから振り返ってください。
木實谷:美浦トレセン入厩後の動きが良かったので、予定よりも1週早く使ったのですが、結果的に息ができていなかったかもしれません。前倒しするなら前日の芝1600mにした方がよかったと思います。とはいえ2着に走っていますし、時計も優秀だったので、先々は明るいと思っていますよ。
――前日の芝1600m戦はグラフレナートが1人気に推されるも6着でした。
木實谷:追い切りの段階であれ?という感じだったので、使って良化してくれば巻き返せると思います。
――追い切りの段階では具体的に何が気になったのですか?
木實谷:手応えですね。追い切りを重ねていく毎に調教の手応えも良くなっていかないと、トレーニングの効果が出ていないということですから、2週前よりも1週前、1週前よりも当週追いの手応えが良くなっているかどうかを見ています。新馬はそこが大事ですね。
――新馬は時計よりも手応えなのですね。
木實谷:ええ、調教時計だけではなかなか分からない部分ですね。新馬は2週前追い切り、1週前追い切りから手応えを見ていく必要があると思います。
最終追いの一発勝負で速い時計が出たから良いだろうではなく、手応えが良化しているかどうかが重要です。尻上がりに良化していれば、競馬に向けてさらに良くなっていくだろうということなので。
レーベンスティール、短期間で巻き返した裏側
――なるほど勉強になります。そしてこの週の重賞・エプソムCはレーベンスティールが勝利しました。
木實谷:ホッとしました(笑)。
――今回は休養明け2戦目で、ルメール騎手への乗り替わりでした。
木實谷:新潟大賞典を使った後は、馬の傷みが多少あったのですが、順調に回復してくれましたし、中身の部分の上昇度もあったので、パフォーマンスを上げることができたと思います。
――とはいえ、僅か1か月で劇的に変わったように思えますが。