毎週日曜日更新の当連載『フロントライン』は、現代競馬のキーマンとも言えるノーザンファーム天栄の場長・木實谷雄太氏に、競馬に関するさまざまなお話を伺うロングインタビューコラムです。聞き手:亀谷敬正。
▼今回の主なトークテーマ
・ノームコアの初仔シルバーレインなど新馬戦振り返り
・番組体系で考える2歳ダート路線の難しさ
・マックスキューなど今週末デビュー馬情報
・連勝中で函館記念に挑むエンパイアウエスト
ノームコアの初仔シルバーレインなど新馬戦振り返り
――今回も新馬戦の振り返りからお願いします。個人オーナー様の馬になりますが、6/15(土)の東京芝1600mでデビューしたノームコアの初仔シルバーレイン、1番人気に推されるも3着でした。
木實谷:勝てなかったのは残念ですが、まだまだ乗り込める余地を残した中での出走でしたし、次に繋がるレース内容でした。今回でこれだけ走れるのであれば、次走はいけると思います。
――次走は新潟でしょうか?
木實谷:こちらに戻ってきての状態次第ですね。まだ脚元が固まっていないので、美浦でもあまり乗り込めていません。なので、脚元の状態を見ながらやっていきたいと思います。脚元に問題がなく進められれば、8月の新潟芝1800mが視野に入ると思います。
――翌日の東京芝1400mではプリティディーヴァが単勝1.6倍の人気に応えて勝利しました。父キングマンの外国産馬ですが、距離適性はいかがでしょうか?
木實谷:1回使ってハミ掛かりがよくなると思うので、距離はもうちょっとだけ延びても大丈夫かなという印象はあります。ただ、そこまでシュッとした脚は使えないと思うので、距離を含めてどのレースに向かうか決めていきたいと思います。とりあえず。1つ勝ったということが大事ですので。
番組体系で考える2歳ダート路線の難しさ
――再び土曜日に戻りますが、東京の新馬戦で最初のダート戦になったレース(ダ1400m)はクレーキングが2着に3馬身半差をつける快勝でしたね。
木實谷:調教も含めて、いかにもダートで走りそうだなという感触でしたので、その通りの結果になりました。
――父は新種牡馬のナダルですが、ナダル産駒の印象はいかがでしょうか?
木實谷:前進気勢の旺盛な馬が多く、調整を進めやすい印象です。ですから、これまで走った産駒を見ても大きな負けが少ないですよね。堅実に走ると思います。
――ナダルの母父はプルピットで、血統適性的には芝とダートの中間的なイメージなのですが、ナダル産駒はダート向きのタイプが多いですか?
木實谷:そう思います。ダート向きというか、日本だとダートという感じですね。先日ジャスティファイ産駒のシティオブトロイが英国ダービーを勝ちましたけど、芝であれば、少し時計の掛かる馬場が合うのではないでしょうか。
――ジャスティファイも日本だとダート向きですもんね。ナダルもそういうタイプの産駒が多いのかもしれませんね。話をクレーキングに戻すと、クレーキングは距離的にいかがでしょうか?
木實谷:ダートの主流距離1800mまでは全然問題ないと思いますよ。
――となると、ダート三冠路線を狙っていけますね。
木實谷:そのためにも早めに賞金を積んでいきたいのですが、現状だとダートでいい番組が少ないのが…。全日本2歳優駿は2勝馬だと抽選の可能性がかなり高くなります。除外になるとその代わりになるようなレースもないので、不確定要素があるレースは狙いづらいなと思っていまして。不透明のなかでやっていくのは馬にも負担がかかりますし。
――全日本2歳優駿までに賞金を積むとしたら、JBC2歳優駿(門別ダ1800m)か兵庫ジュニアGP(園田ダ1400m)あたりでしょうか?
木實谷:中央だと昨年アマンテビアンコが勝ったOP特別のカトレアSがありますが、ここを使うと全日本2歳優駿まで中1週半ぐらいになるので、ローテーション的にキツいですね。全日本2歳優駿はそういう意味でも難しいレースです。
――昔、アジアエクスプレスが全日本2歳優駿を除外になって、朝日杯FSを使ったら勝ったなんてこともあったぐらいですからね。
木實谷:そうですよね。ですから2歳のダート路線はいかに早く賞金を上積みしていくかが大事なのです。これからはJRAの3歳クラシックに出走する場合は、ダート戦での収得賞金が加算されないことになったので、2歳ダートのOP特別を早い時期に創設してもらうとか、もうちょっとダート路線の整備が進むといいなと、個人的には思っています。
マックスキューなど今週末デビュー馬情報
――続いては、今週末デビューの2歳馬について教えてください。