毎週日曜日更新の当連載『フロントライン』は、現代競馬のキーマンとも言えるノーザンファーム天栄の場長・木實谷雄太氏に、競馬に関するさまざまなお話を伺うロングインタビューコラムです。聞き手:亀谷敬正。
▼今回の主なトークテーマ
・募集時の馬体重と勝ち上がりの相関関係
・新潟デビュー2歳馬&関屋記念出走馬情報
募集時の馬体重と勝ち上がりの相関関係
――まもなくキャロットクラブの1歳馬募集(8/13に募集確定馬リストが公開)が始まりますが、今年の募集馬はいかがですか?
木實谷:おかげさまで、良い馬が揃ったと思います。活躍してくれる馬が何頭出てくるのか楽しみにしています。
――ちなみに、募集時の馬体重と勝ち上がり率に何かしらの相関関係があったりしますでしょうか? 例えば、この種牡馬の産駒だと募集時の馬体重はこれぐらいがいいとか。
木實谷:種牡馬ごとには分からないですが、あるようには感じますね。そのあたりは会員様の方が詳しいかもしれませんね。
――というのも、セレクトセールなどのセリでも馬体重を気にされる方が多いですよね。セリの段階で小さい馬は敬遠される傾向があるように感じていまして。例えば育成段階において、生まれつき小さい馬だけエサを変えたりすることはあるのでしょうか?
木實谷:いえ、エサは全て同じですので、変えるとしたら量ぐらいでしょうか。ただ、与える量を増やしても馬が食べてくれないと意味がないですからね。ただ、今年から牧場の方でも、馬の成長に合わせた育成をやっていこうという試みはありますね。
――それはどういった試みなのでしょうか?
木實谷:今までは大体どの馬も7月から鞍付けを始めるのですが、今年から小さい馬はもう少し成長を促してからにしようとか、そういった試みなどですね。
――数多くの馬を抱えていると、柔軟な対応が難しいのでは?と思ってしまうのですが。
木實谷:どうしても馬房の数には限りがあるものですから、例えば1歳馬はこの時期に育成厩舎に入らないと、離乳する馬が1歳馬の馬房に入れないなど、物理的な制限がありますので、成長度合いに関わらず同じ時期に移動する形をとっていました。
――まぁ、それが普通ですよね。世界中の大牧場、大厩舎もそうですもんね。
木實谷:成長に関わらず、どの馬も同じやり方で育成して、走る馬が残っていくという形でしたが、そこを変えていくという試みですね。これにより、成長が追いついていない小さい馬を救うことができますし、そのようなノウハウができてくれば、お客様や会員様も募集段階では小さくても安心して買っていただくことができると思いますので。
答えが出るのは2年後、3年後になりますが、良い結果が出ると信じてやっていきます。
新潟デビュー2歳馬&関屋記念出走馬情報
――良い結果は出るのを楽しみにしています。では続いて、今週末デビュー予定の2歳馬について教えてください。