毎週日曜日更新の当連載『フロントライン』は、現代競馬のキーマンとも言えるノーザンファーム天栄の場長・木實谷雄太氏に、競馬に関するさまざまなお話を伺うロングインタビューコラムです。聞き手:亀谷敬正。
▼今回の主なトークテーマ
・夏の新潟、気温による受けるダメージの違い
・秋のGIへ、紫苑S、京成杯AH出走馬最新情報
・中山開幕週デビュー予定の2歳馬情報
夏の新潟、気温による受けるダメージの違い
――今回はミッキーファイトが勝利したレパードSの振り返りからお願いします。
木實谷:1枠1番というのだけが心配だったのですが、ジョッキーが上手に乗ってくれました。それに尽きますね。
――今後はジャパンダートクラシックが目標になりますか?
木實谷:そうですね。レパードSの疲れの具合を見てからになりますが、何事もなければジャパンダートクラシックに向けて進めていきたいと思います。夏場の競馬だったので疲れが心配ですので。
新潟開催は週ごとの気候条件にかなり差があるのですが、レパードSの週は暑さと湿度が厳しかったので、特に注意したいと思います。
――夏場に使うとやはりダメージが大きいですか?
木實谷:肉体的なダメージというか、体調の見極めですね。疲れが出てくるのはレースが終わって2週間ぐらい経ってからになります。レース直後は大して動かさないので、疲れが表に出てこないのですが、動かし出すと表面化してきます。大丈夫だなと思って動かし出すとゲッソリしたりするので、こちらに戻ってきて10日間ぐらいは馬の体調を慎重に見極める必要がありますね。
――レパードSの週と、その前の週の新潟は、暑熱対策として昼休みを設けて開催されました。この効果については何か感じられていますか?
木實谷:まだ具体的にどうこうとは言えませんが、あの暑い時間帯を避けたことは良かったと思います。私は4日に新潟競馬場におりまして、やはり夕方は昼間よりも暑さがずいぶん和らいでいました。夕方のレースに出走した馬のダメージはいくぶん少ないのではないかと思います。
先ほどお伝えしたように3日、4日に使った馬もそうですが、気温の違いによって受けるダメージの違いも考えていく必要があるなと考えています。
――そうですよね。そもそも一番ハイレベルなレースがテレビ放映に合わせて15時とか暑い時間帯に行われるのもどうかと思いますよね。夏場はもう少し涼しくなる時間帯にずらすなど、柔軟に対応できれば良いと思うのですが。
木實谷:私の口からは何も言えません(笑)。ただ、馬にとってより良い環境でレースができるようになって欲しいとは思いますね。
――翌週の関屋記念ですが、プレサージュリフトが2番人気5着、パラレルヴィジョンが7番人気14着という結果でした。プレサージュリフトは最後に伸びあぐねたように見えましたが。
木實谷:プレサージュリフトはレース後に跛行してしまっていたので…。道中は良いポジションで運んでいて、あとは弾けるだけだったのですが、直線では内にモタれていて、脚を痛めた影響があったのかなと思います。ジョッキーも強く追えていなかったので。まだ興奮状態にあるはずのレース後に痛がるということは余程のことなので、こちらに戻ってきて精密検査をしてからですね。(編注:8/21に現役引退が発表されました)
パラレルヴィジョンは中間の暑さが堪えていたようなので、秋に向けてしっかり立て直していきたいと思います。
秋のGIへ、紫苑S、京成杯AH出走馬最新情報
――ここからは今週末のレースについて伺います。まず、紫苑Sにはボンドガール、ミアネーロ、クリスマスパレード、カンティアーモ、フォーザボーイズ、イゾラフェリーチェと大挙6頭が出走を予定しています。