毎週日曜日更新の当連載『フロントライン』は、現代競馬のキーマンとも言えるノーザンファーム天栄の場長・木實谷雄太氏に、競馬に関するさまざまなお話を伺うロングインタビューコラムです。聞き手:亀谷敬正。
▼今回の主なトークテーマ
・アルレッキーノ、エンブロイダリーの敗因分析
・海外GIに挑むローシャムパーク&アスコリピチェーノ
・アルゼンチン共和国杯出走馬情報
断然人気のアルレッキーノ、エンブロイダリーの敗因分析
――今回はまず注目レースの振り返りからお願いします。今年新設されたジャパンダートクラシック、ミッキーファイトがフォーエバーヤングに迫る2着でした。
木實谷:良い内容だったと思います。まだ上積みが見込めるなかで、この世代のトップクラスとやり合えたわけですから、順調に力をつけていけば将来トップホースになる手応えも掴めました。
――サウジアラビアRCでは単勝1.5倍の支持を受けたアルレッキーノが5着に敗れてしまいました。
木實谷:課題がモロに出てしまいました。こちらでも操縦性を意識するあまりに、本来やるべきトレーニングができなかったところもあるので…。
――課題の部分とは?
木實谷:折り合い面ですね。返し馬を見ても、良い意味で言えば前向きなのですが、悪い意味で言えば突っ走っちゃっているので。競馬でも最初の2ハロンでかなり力んだみたいで、それをラストの脚に転化できるよう、これから教え込んでいければと思います。
――1番人気での敗戦で言うと、エンブロイダリーがサフラン賞で5着に敗れてしまいました。
木實谷:出負け気味にゲートを出て、その直後から外の馬に囲まれてエキサイトしてしまいました。外に馬がいなければ楽に差し切っていたと思うのですが、残念です。
――断然人気で徹底マークされましたかね?
木實谷:内枠スタートだったらまだ分かるのですが、外枠なのに囲まれてしまいましたからね。でもこればっかりは競馬なので仕方ないですね。そういう点も含めて、いくら人気であろうとも、競馬で勝つのは改めて大変だと思いました。
――新馬戦も1レース振り返っていただきたいのですが、当欄でもデビュー前に期待の1頭として紹介していただいたガルダイアが、東京の開幕週(芝1800m)で見事にデビュー戦を飾りました。
木實谷:勝つには勝ったのですが、返し馬も1頭だけ向正面の3コーナーまで止まらず、レースもゴールを過ぎても止まらず、結局は馬運車で帰ってきましたから。ルメール騎手に迷惑をかけてしまいました。この気性は課題ですね。この力をレースで出し切れるようにもっていくのは骨が折れそうです。ただ、言い換えればその感じでも勝つので大物だとも思うのですが。
――やっぱり気持ちの部分が大きいですか。
木實谷:そうですね。気持ちの部分でもっと余裕を持てるようになって欲しいですね。ゲート試験を受かった段階から脚力は間違いないと思っていたので、頑張って修正してければと思います。
海外GIに挑むローシャムパーク&アスコリピチェーノ
――ローシャムパークの次走がBCターフと発表されましたが、毎日王冠では2番人気で10着でした。レース内容はどう振り返られますか?