毎週日曜日更新の当連載『フロントライン』は、現代競馬のキーマンとも言えるノーザンファーム天栄の場長・木實谷雄太氏に、競馬に関するさまざまなお話を伺うロングインタビューコラムです。聞き手:亀谷敬正。
▼今回の主なトークテーマ
・ローシャムパークなどBC遠征馬の振り返り
・オーストラリア遠征アスコリピチェーノの振り返り
・チェルヴィニア&ドゥレッツァで挑むジャパンC
・アロンズロッドなど今週末の2歳馬情報
ローシャムパークなどBC遠征馬の振り返り
――今回は海外レースの振り返りからお願いします。BCターフのローシャムパークはレベルスロマンスのクビ差2着、最後の猛追は凄かったですね。
木實谷:着差が着差だけに残念でした。現地に到着後、ちょっと体調を心配するところもあったのですが、そこからの回復具合も良くて、乗り込みも想定通りにできていました。前回の敗因をしっかり分析、修正して臨めたとは思います。レースは想定内というか、ああいう形になるだろうなとは思っていましたので。
――毎日王冠後の当欄では、結果は別にして取り組んでいた成果がでたので、BCターフへ向けて良い手応えを得られたとのことでした。
木實谷:そうですね。あとは勝てれば良かったのですが、並んでからレベルスロマンスももうひと踏ん張りしましたからね。ただ、前回とは違い、走れるコンディションで臨んで、しっかり走ってくれましたので、パフォーマンスとしては良かったと思います。
――BCマイルでのジオグリフは5着でした。
木實谷:枠順やコース形態を踏まえて、ああいう立ち回りをするだろうと思っていましたが、そのイメージ通りに立ち回ってくれたと思います。
ただ、BCマイルもそうでしたが、他のレースを見ても、結構後ろに構えていた馬が差してくるんですよね。日本人の考え方だと小回りのイン2番手というのは絶好のポジションなのですが、アメリカだと実際はたぶん、絶好ではないのでしょうね。そんな感じがしました。そこは勉強になりましたね。
オーストラリア遠征アスコリピチェーノの振り返り
――オーストラリアのゴールデンイーグルに出走したアスコリピチェーノは12着という結果に終わりました。現地に同行されたそうですが、いかがでしたか?
木實谷:今年の春から視野に入れて準備していたのでとても残念でした。結論から言うと、まだまだできることがあったということだと思います。
――調整過程で何か難しいことがあったのでしょうか?
木實谷:いえ、調整自体は順調で、馬も中身の部分でも走れる状態にあったと思います。ゲートの発進とジョッキーとの事前の打ち合わせを、もっと入念にやっておけば良かったなと言う部分ですね。
――週中の報道では天候が悪かったようですが、馬場はいかがでしたか?
木實谷:レース前日の金曜日にも雨が降っていたのですが、私たちが競馬場に着いた時にはだいぶ乾いていて、良い状態でしたよ。ただ残念ながら、当日のお昼ぐらいから雨が降り始めてしまって、それなりにまとわりつくような、重い感じはありましたね。
それでも勝った馬の上がりが34.1秒でしたかね。それぐらいで上がっているので、極悪馬場ということでもなかったのですが。
――20頭立ての17番ゲートからの発走で、馬場に加えて、枠の影響もあったのかなと思いましたが。
木實谷:枠というか進路取りでしょうね。さすがに終始外を走って、4コーナーも大外を回ってきましたからね。その競馬で勝てるほどの力差はないですから、そこはジョッキーともう少し話をしておくべきだったと思います。
チェルヴィニア&ドゥレッツァで挑むジャパンC
――ここからは今週末のジャパンCについて伺います。チェルヴィニアとドゥレッツァが出走を予定していますが、それぞれ前走後の状態はいかがでしょうか。