毎週日曜日更新の当連載『フロントライン』は、現代競馬のキーマンとも言えるノーザンファーム天栄の場長・木實谷雄太氏に、競馬に関するさまざまなお話を伺うロングインタビューコラムです。聞き手:亀谷敬正。
▼今回の主なトークテーマ
・圧倒的人気での勝ち上がりなど注目新馬戦の振り返り
・朝日杯FSのアルレッキーノ、ターコイズS最新情報
※次回は有馬記念の直前情報を取材させていただくため、本来の12/15(日)ではなく、12/20(金)の公開を予定しております。予めご了承ください。
圧倒的人気での勝ち上がりなど注目新馬戦の振り返り
――今回も11月の新馬戦から気になった馬について伺わせてください。11/3(日)の東京芝1800mを勝利したレイニングは非常に強い内容でしたね。今後に向けて敢えて課題を挙げるとしたら?
木實谷:この馬自身というよりも、我々がちゃんと待てるかどうかだと思います。5月生まれということもあり、ゲート試験を受かった後も、他の馬に比べてじっくりと時間をとって進めてきました。成長を妨げないように使っていけるかどうかだと思いますね。
――ゲート試験はいつ頃に受かっていたのですか?
木實谷:7月にゲート試験は受かっています。このスケジュールだと10月にはデビューというのが一応の目安になるのですが、11月まで待ってデビューしました。
――レース内容を見る限り、待った甲斐があったということですね。
木實谷:これからもっと変わりそうだなという手応えはありますよ。新馬の上がりも32秒台でしたし、良い瞬発力を持っていると思います。
――レイニングの1つ前のレース、東京芝1400mでは外国産馬のカラヴァジェスティが勝利しています。
木實谷:カラヴァジェスティはダートを使う予定だったのですが、この時期のダートの新馬は除外続出なので、芝に回った形になります。それが勝ち上がってくれたので良かったです。
――結果的に芝向きだったということでしょうか?
木實谷:コロンとした体型ですし、走りを見ていても芝向きかどうかはまだ分からないですね。ただ、結果的に芝で勝てましたので、次走も芝を使ってみてということになると思います。
――そして翌週の東京芝1800mではカザンラクが単勝1.9倍に応えて勝利しました。
木實谷:4月末の生まれだったので、こちらもじっくりと進めてきた馬になります。母ヴィアンローズの系統はちょっと身になりにくいところがあって、成長もゆっくり目なタイプなので、11月のデビューになりました。レース自体は全体時計も速かったですし、期待通りの内容だったと思います。
――レイニング同様、敢えて待ったわけですね。
木實谷:そうですね。レイニングほどではないのですが、8月の初旬にゲート試験を受かっているので、通常より3~4週間我慢したという感じですね。
――デビュー前の調教はかなり軽快でしたよね?
木實谷:はい、調教もかなり動きますよ。気が良いので。だから身になりにくいというのもあるのですが。一生懸命過ぎるので。
――レースは逃げる形でしたが、それは気の良さの部分もありますか?
木實谷:そうですね。返し馬から良い具合で行っていたので、次は距離を縮めて1600mを使おうかとか、いろいろと思案中です。適性は1600~2000mだと思うのですが、とりあえず今はゆっくり進めていこうということだけは決めています。今後も楽しみな1頭ですよ。
――圧倒的人気での勝利で言うと、さらに翌週の東京芝1600mではインプロペリアが単勝1.2倍に応えました。