毎週日曜日更新の当連載『フロントライン』は、現代競馬のキーマンとも言えるノーザンファーム天栄の場長・木實谷雄太氏に、競馬に関するさまざまなお話を伺うロングインタビューコラムです。聞き手:亀谷敬正。
▼今回の主なトークテーマ
・アスコリピチェーノ、1351ターフスプリントを制す
・シックスペンス快勝の中山記念を振り返る
・日経賞&毎日杯出走予定馬最新情報
アスコリピチェーノ、1351ターフスプリントを制す
――今回は注目レースの振り返りからお願いします。まず、サウジの1351ターフスプリント、アスコリピチェーノの勝利おめでとうございます。
木實谷:最後はギリギリでしたが、よく勝ってくれました。オーストラリアでゴールデンイーグルを走った時にゲートが上手くいかなかったので、今回は前日調整でゲートを出していくように練習しました。その効果があって、最初から良い位置を取れましたね。
コーナーに入るまでは横の馬と接触するようなところがあったので心配したのですが、しっかり我慢してくれて、最後は差し切ってくれました。最初のゲートの部分が大きかったと思います。
――前走より距離も短くなりましたし、ゲートを出たのは大きかったですね。
木實谷:特にあの距離ですから、大事だったと思います。ジョッキーの話では、馬場が相当硬くて前が止まらないと言っていたので、余計に位置取りが大切でした。
――ゲート練習の効果がすぐに発揮されるのも凄いですね。
木實谷:馬にどうすり込ませるかが大事なので、そこが上手くいったと思います。
――2戦連続の海外遠征となりましたが、中間の状態はどうだったのでしょうか?
木實谷:もっと良い頃を知っているので、完璧な状態とはいえませんが、力を発揮する分には大丈夫だなという状態でした。
――この後の予定は?
木實谷:ヴィクトリアマイルを使って、無事なら安田記念へということになると思います。
シックスペンス快勝の中山記念を振り返る
――国内ではシックスペンスが中山記念を制しました。
木實谷:よく勝ってくれたなと思います。というのも、入厩した翌日に爪を痛くして跛行してしまったんですよ。それで1週間まったく乗ることができませんでした。レースの3週前にその状況でしたから、厩舎サイドがよくリカバリーしてくれました。良かったです。
――レース前の当欄では「だいぶ筋肉量が増えてきている」とのことでしたが、今回のプラス10キロはアクシデントの影響でしょうか?
木實谷:太いというより、重かったですね。さすがに丸々休んじゃいましたからね。それでも勝てましたから、単純に馬のポテンシャルが凄いなと思いました。次走は上積みをもって臨めると思いますので、上手く調整していきたいと思います。
――その次走はどこへ向かいますか?
木實谷:痛めた爪と、もともと膝の不安もあるので、その状態を見てから調教師と相談したいと思います。可能性としては、本当に大丈夫なら大阪杯ということになるでしょうし、もうちょっとゆっくりした方が良いということであれば、マイラーズC、安田記念、宝塚記念あたりになってくると思います。まずは馬の状態次第ですね。無理はさせられませんので。
――最下位に終わったパラレルヴィジョンが気になるのですが。
木實谷:調教も動かなくなっているのですが、今回はペースが速いなかで自分から動いていってしまった影響もあったと思います。その一方で、ジョッキーからはグッと踏み込んだ時の反応がメンタル的に走る気になっていないかも、という話もありましたので、馬が前向きに走れるように考えていかなければと思っています。
――気持ちの面でのスランプでしょうか?
木實谷:ジョッキーの話ではそういうことでした。追い切りで動かなくなってきているのも、そういった部分の影響があると思いますので、ケアしていきたいと思います。
日経賞&毎日杯出走予定馬最新情報
――ここからは今週末の重賞出走馬について伺います。まず日経賞にはアーバンシックとハヤヤッコが出走を予定しています。