毎週日曜日更新の当連載『フロントライン』は、現代競馬のキーマンとも言えるノーザンファーム天栄の場長・木實谷雄太氏に、競馬に関するさまざまなお話を伺うロングインタビューコラムです。聞き手:亀谷敬正。
▼今回の主なトークテーマ
・日本ダービー振り返り、現3歳世代の現状について
・天栄勢が揃って沈んだ安田記念の振り返り
・ラジオNIKKEI賞&今週末デビューの2歳馬最新情報
日本ダービー振り返り、現3歳世代の現状について
――今回は日本ダービーの振り返りからお願いします。カラマティアノスが12着、ファンダムが14着という結果に終わりました。
木實谷:カラマティアノスは順調に調整ができましたし、レースも折り合って進められました。現状の力は発揮してくれたと思っています。
――皐月賞、ダービーの2戦を見る限り、距離でしょうか?
木實谷:距離が原因で最後に余力がなくなったのか、結果的に調教が足りなかったのか、まだ分からないですね。こちらに戻ってきてからの判断になると思います。
――ファンダムは終始リキみながらの追走になっていました。
木實谷:リキみっぱなしでしたね。折り合い面で考えても、ファンダムに関しては距離適性の差が出たかなと思います。幸い脚元は無事で帰って来られましたので、これから立ち上げていって、今後の路線を決めていきたいと思います。
――日本ダービーが終わりましたので、現3歳世代について振り返っていただけますか。
木實谷:勝ち上がり自体は現時点で去年よりもプラス10頭ぐらいできているので、良い推移で来られたなと思っています。ただ、2勝目を挙げるタイミングなど賞金加算に手間取ってしまって、結果的にクラシックに出走できる頭数が少なくなってしまったのは反省点ですね。次の世代への課題だと思います。
エンブロイダリーが桜花賞を勝ってくれましたが、他のレースは出走できたのが2頭から3頭でしたからね。これを4頭、5頭出せるようにするには、ある程度早い時期から目途を立てていくというのは大事だなと思います。
――2勝目を挙げる、目指すタイミングというのは、馬の完成度や成長度合いも関わってきますよね?
木實谷:そうですね。それもありますし、あとは出遅れて負けちゃったとか、引っ掛かって負けちゃったとか、スキル的な部分での取りこぼしもありましたので、そのような部分を含めて改善してきたいと思います。
天栄勢が揃って沈んだ安田記念の振り返り
――同日の目黒記念ですが、シルブロンが5着、スティンガーグラスが11着。ハヤヤッコは残念ながら競走中止になってしまいました。
木實谷:シルブロンは非常にペースが遅いなか、途中から積極的に動いて、最後まで頑張ってくれたと思います。
スティンガーグラスに関しては、馬自体はかなり成長してきて、手前の替え方など非常に上手になりましたし、レースでも上手く立ち回れたのですが、最後に伸び負けてしまいました。また鍛え直します。
――ハヤヤッコは残念なことになってしまいましたが、命に別状はないということですね。
木實谷:はい、そう聞いています。9歳までよく頑張ってくれたと思います。このあとは一度こちらに戻ってきてから、馬主さんが行き先を決めることになると思います。
――翌週の安田記念は、ブレイディヴェーグが4着、シックスペンスが12着、レッドモンレーヴが15着、トロヴァトーレが17着でした。
木實谷:ブレイディヴェーグに関しては、レースの立ち回り自体はうまくいっていたと思うのですが、レース当日はジョッキーが口を揃えて馬場が悪いと言っていたんですよ。そのあたりが誤算だったなというところです。もう少しこの馬の末脚を活かせる馬場になっていれば…というのが正直なところです。
馬の状態は今年3戦のなかでは順調に来ていましたし、レース中もソウルラッシュから寄せられるなど厳しいところもあるなか、よく頑張ってくれたと思います。
――レース前の報道だと、陣営からは後ろからレースを進めるというコメントも出ていたようですが、終始中団ぐらいを追走していましたよね。