毎週日曜日更新の当連載『フロントライン』は、現代競馬のキーマンとも言えるノーザンファーム天栄の場長・木實谷雄太氏に、競馬に関するさまざまなお話を伺うロングインタビューコラムです。聞き手:亀谷敬正。
▼今回の主なトークテーマ
・ペルウィクトールなど福島&新潟新馬戦の振り返り
・サンアントワーヌ出走の新潟2歳S最新情報
・今週末デビューの予定の2歳馬情報
ペルウィクトールなど福島&新潟新馬戦の振り返り
――今回は新馬戦の振り返りからお願いします。7/12(土)の福島芝1200mは1番人気に推されたバランソワールが3着。前残りの流れを1頭だけ差してきた形でしたが。
木實谷:元々ちょっと周りの馬を気にしてスタートの出が良くないところがありまして、それが実戦でも出てしまったというか。もう少し良い意味で、競馬に慣れる必要がありますね。馬込み、他の馬の動きに敏感になりすぎないようになって欲しいですね。
とはいえ、最後は脚を見せてくれましたので。予想以上に体重が減ってしまった影響もあると思いますので、心身ともにもうちょっと成長を促してあげたいなというところです。
――翌13日(日)の福島芝1800mではガードオブオナーが5着でした。スタートがイマイチで、向正面から動き出す形になりました。
木實谷:そうですね。元々スタートが上手くなくて、ゲート試験に1か月半ぐらいかかった馬でして。最後のゲート試験は上手くいったということで、調整で天栄に戻ってから再入厩した時にゲート練習をしなかったので、そのあたりの影響があったかもしれません。走り自体は跳びも良くて、良い馬ですけどね。
――7/19(土)の福島芝1800mはザーフィルが好位から危なげない勝利でしたね。
木實谷:この馬は前の週に走ったガードオブオナーと一緒に併せ馬をやっていたのですが、ザーフィルの方がずっと楽に動けていたので、調教通りの内容だったと思います。かなりよく動いていたので、当初は函館デビューも考えていましたが、今年の函館は馬場があまりにも速いので、福島にしました。それも良かったのかなと思っています。今後は速い馬場への対応が鍵になりそうですが、脚力はありますね。
――翌20日(日)の福島芝2000mではポルフュロゲネトスが6着でした。勝負どころで付いていけなかったですね。
木實谷:馬場の悪いところを走る形になって伸びきれなかった印象です。追い切りの時計も出ていましたし、次走で改めて期待したいと思います。
――そして新潟開幕週の27日(日)は芝1600mで1番人気に推されたペルウィクトールが3着に敗れました。直線では抜け出すスペースを探す形が長引いた印象でした。
木實谷:そうですね。直線に入ってからスムーズでなかったというのは事実ですが、最後も脚色は上位2頭と同じ程度でしたし、少し動き切れなかった印象です。馬体重も牧場での滞在時とほぼ同じ数字でしたし、馬体にも余裕があったかもしれません。
――となると、次走以降の上積みは大きそうですね。
木實谷:ゴールを過ぎてからまた勢いよく走っていましたし、馬体も締まってくれば、パフォーマンスを上げていけると思います。この世代の中でも動きの目立つ1頭ですので、しっかりと能力を発揮できるよう、改めて取り組んでいきます。
――兄のウィクトルウェルスはデビューから2000m以上を使われていますが、ペルウィクトールがマイル戦から使い出したのには、何か理由があったのでしょうか?
木實谷:前向きなタイプなので、現状はこれぐらいの距離が合っているという判断ですね。
サンアントワーヌ出走の新潟2歳S最新情報
――ここからは今週末の出走馬について伺います。新潟2歳Sにはサンアントワーヌが出走を予定しています。新馬戦から2か月ほど間が空きましたが、状態はいかがでしょうか。
