毎週日曜日更新の当連載『フロントライン』は、現代競馬のキーマンとも言えるノーザンファーム天栄の場長・木實谷雄太氏に、競馬に関するさまざまなお話を伺うロングインタビューコラムです。聞き手:亀谷敬正。
▼今回の主なトークテーマ
・8月後半の新潟&札幌デビュー組の振り返り
・今週末デビュー予定の2歳馬最新情報
8月後半の新潟&札幌デビュー組の振り返り
――今回は8月後半の新馬戦振り返りからお願いします。8/23(土)の新潟芝1600m戦ですが、カルダモンがアタマ差の2着。敗れたとはいえ、上がり32.9秒の脚は凄かったですね。
木實谷:最後の脚は良かったですが、ちょっともったいなかったですね。3月にゲート試験を受かりながらもここまで時間がかかってしまったように、ちょっと非力なところがありますね。ゲートを出てからのスタートダッシュなど、加速がつくまでに非力な面が出てしまっていますね。もうちょっと下半身の強化が必要だと思います。
――デビュー前の当欄では「体質的にまだ使い込んでいけそうな感じはない」とのことでしたが。
木實谷:そうですね。次は少し間隔をあけての出走になると思います。
――同日の札幌芝1500mではグリオンヴールが2着に7馬身差を付ける圧勝でデビュー戦を飾りました。デビュー前の当欄では「かなり前向きな馬、いかにも洋芝が合いそうなタイプ」とのことでしたが、まさにその通りでしたね。
木實谷:着差はつきましたが、相手関係もあることなので、鵜呑みにはしていません。とはいえ、レースぶりは良かったと思います。少し上ずってゲートを出ていたので、もうちょっと低い姿勢で出られるようにやっていく必要があるくらいで。あとは1回使ってテンションの部分ですね。エピファネイア産駒なので、折り合い面がどうなっていくかだと思います。
――1回使うと折り合い面が難しくなりますか?
木實谷:1回使うと前進気勢が強くなるので、そこには注意が必要だと思います。
――芝1500mでのデビューになりましたが、距離適性については?
木實谷:体高が低めでずんぐりむっくりなところがあるので、現状はマイルぐらいかなと思っています。
――8/24(日)の新潟芝1600m戦でもルージュダリアが5馬身差の圧勝でデビュー戦を飾りました。こちらは逃げ切りでしたが、デビュー前の当欄でも「スピード能力が高い」とのことでした。
木實谷:これは調教通りですね。天栄でも一番動いていましたので、調教通りの走りだったと思います。
――逃げる形になったのも、スピードの違いでハナに立ったという感じでした。
木實谷:スタートも良かったですしね。あとはちょっと口向きというか、抑えるのに苦労するところがあるようなので、そこは今後に向けての課題でしょう。
――なだれ込んだわけではなく、ハナに立ちながらも最後は脚を使っていましたね。
木實谷:そうですね。そこは良かったと思います。
――7着に敗れたワディアルリヤハの方は直線で脚が使えませんでしたね。
木實谷:戦前に懸念していた折り合い面は良かったのですが、最後に脚が上がってしまいました。しっかり乗り込んで最後まで脚が持つようにする必要があると感じています。
――翌週8/30(土)の新潟芝1400m戦ですが、グランアレグリアの初仔グランマエストロが1番人気に推されるも8着に敗れてしまいました。追い出してから伸びずという形でした。
木實谷:そうですね。追走に関しては良かったと思います。ただ、馬場の入り口などではかなり我慢がきかなそうだったので、やっぱり気性的な課題がありますね。馬体にも余裕があるように思いましたので、次走までに心身ともにしっかり調教を積んでいきます。
――8/31(日)の新潟芝1800m戦はガローファノ、タッセルノットのワンツーフィニッシュとなりました。
