毎週日曜日更新の当連載『フロントライン』は、現代競馬のキーマンとも言えるノーザンファーム天栄の場長・木實谷雄太氏に、競馬に関するさまざまなお話を伺うロングインタビューコラムです。聞き手:亀谷敬正。
▼今回の主なトークテーマ
・注目2歳戦の振り返り、大差負けガローファノの真相
・ジャパンC、ドゥレッツァ&ブレイディヴェーグ最新情報
・今週末デビュー予定の2歳馬情報
注目2歳戦の振り返り、大差負けガローファノの真相
――今回は注目新馬の振り返りからお願いします。まず、10/25(土)の東京芝2000m戦ですが、ウップヘリーアが逃げ切りでデビュー戦を飾りました。スピードの違いでハナに立った感じがしましたが。
木實谷:スタートも良かったですからね。ジョッキーの話では、道中は物見をしながらの追走で、身体を終始使いきれなかったみたいです。
――それでいて勝ち切ったのは評価できますね。
木實谷:ゴールした瞬間は負けたかと思ったのですが、勝ち切れたのは大きかったです。このあとは成長も促せますので。
――4着だったヴァンデスペランスは直線で前が壁でした。
木實谷:返し馬から少しリキみ加減だったのが競馬にも出てしまい、追い出してから少し力が抜けちゃったような感じになってしまいましたね。
――ドレフォン産駒で、ダートも走れそうな感じですが。
木實谷:芝でもダートでも走れると思ので、この馬にとって良いレースを選んでいきたいと思います。
――10/26(日)の東京芝1800m戦は1番人気に推されたレダアトミカが3着。直線で外に出してからは良い伸びだったと思います。
木實谷:折り合い面をかなり心配していたのですが、道中はリズム良く走れていましたし、うまく外に出して脚を伸ばせました。心配していた面を出さずに良かったと思います。パドックも含めて、想定していたよりも落ち着いて臨めたと思います。
――11/1(土)の東京芝1600m戦はサトノヴァンクルが1着、イトシサが2着、レッドアヴィオンが3着でした。
木實谷:サトノヴァンクルは飛節に疲れが出て札幌を回避したのですが、そこからうまく立て直せて良い内容だったと思います。直線も良い脚を使ってくれました。
イトシサは追い出してから重心が高くなるようなところがあり、その点を心配していたのですが、最後までよく頑張ったと思います。下半身が強くなってくれば、まだ良くなると思います。
レッドアヴィオンは坂路での最終追い切りの手応えが渋かったのが気になっていたのですが、よく走ってくれました。もう少し追い切りで動けるようになれば、すぐに勝てると思います。
――11/2(日)の東京芝1600m戦は1番人気モートンアイランドの完勝でしたね。
木實谷:競馬の内容としては申し分なかったと思います。テンションを考慮して追い切りも少し軽めで、しっかり乗ってきたわけではないのですが、今後しっかり乗れるようになったら、行きっぷりや終いの脚はさらに磨きがかかってくると思います。距離もマイルぐらいが合っていますね。
――逃げたグレイシエーションは6着でした。
木實谷:こちらは返し馬からリキんで走っていて、競馬でも3コーナーに入るまでにかなり消耗していたみたいですね。ジョッキーの話だと、ちょっと怖がって走っているようなリキみだったようで、ここからうまく修正していく必要がありますね。
――このようなケースは、具体的にどう修正されるのでしょうか?
木實谷:何に対して反応しているのかを考える必要がありますね。単純に折り合いのために距離を短くしても、周りの馬に囲まれる状況になってしまいますし、まずは現状の把握からですね。
――続く東京芝2000mでも1番人気のアローメタルがデビュー勝ちを飾りました。直線は若干モタついた印象を受けましたが、進路を確保してからの脚は鋭かったですね。
木實谷:まだ馬体に余裕があった分、直線でちょっとモタついてしまいました。能力で勝ち切ってくれました。そういう意味では上積みも期待できると思います。
――この日の未勝利戦(東京芝1600m)ではグランマエストロがデビュー2戦目で3着でした。
木實谷:前走からマイナス2キロと、まだ重かったと思いますが、一歩前進できて良かったです。レースでの進みが思ったよりも良くないので、馬体が絞れることも含め、このあたりが改善してくればチャンスはあると思います。
――また、百日草特別では1番人気に推されたガローファノが5頭立ての5着。大差負けになりましたが、何かあったのでしょうか?
木實谷:危惧していた通りの結果になってしまいました。馬にまだ気がない状態で、初戦も馬群から離れて追っ付け、追っ付けでして。それでも初戦は前にたくさん馬がいたので付いていけたのですが、今回は5頭立てで完全に離れてしまったので、馬の気が入らないまま終わってしまいました。5頭立てということで嫌な予感はしていたのですが・・・。
ジャパンC、ドゥレッツァ&ブレイディヴェーグ最新情報
――ここからは今週末のレースについて伺います。ジャパンCにはドゥレッツァとブレイディヴェーグが出走を予定しています。ドゥレッツァは京都大賞典を使っての参戦になります。
