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競馬キャスター大澤幹朗のココだけのハナシ
2023/08/03 (木)

鳴尾球場のハナシ/大澤幹朗の競馬中継ココだけのハナシ

6日、阪神甲子園球場で夏の全国高校野球選手権の全国大会が開幕します。

2020年には新型コロナウイルスの影響で79年ぶりに大会中止の憂き目にあいましたが、今大会は4年ぶりに、吹奏楽、チア、声出しといった従来通りの応援も認められます。一方、延長戦におけるタイブレーク制(無死1、2塁の状態で攻撃開始)は延長10回から導入されるほか、全国大会のベンチ入り人数も地方大会同様20人に増やしたり、投手の投球制限やクーリングタイムを設けるなど、球児の障害予防や暑さ対策がとられます。

時代の変化に対応しながら、日本人にとっての夏の風物詩として100年以上の歴史を重ねてきた全国高校野球選手権。去年ついに深紅の大優勝旗が白河の関を超えた大会は、今年で105回目を数えます。

第1回大会が行われたのは今から108年前の1915(大正4)年。全国中等学校優勝野球大会として、現在の大阪府豊中市にあった豊中球場(豊中運動場)で東北、東海、京津、関西、兵庫、山陽、山陰、四国、九州の9地区の代表校と、春の東京大会優勝校の計10校の代表で行われました(優勝は京都二中)。大会はおおいに盛り上がり、収容500人ほどの会場に6日間で5000人もの観客が集まったといいます。

第1回大会の会場・豊中運動場は、阪急電鉄の前身である箕面有馬電気軌道が建設・設置したもので、日本フットボール優勝大会(現・全国高等学校サッカー選手権大会と全国高等学校ラグビーフットボール大会の前身)の会場にもなった多目的グラウンドでした。しかし、翌年の第2回大会は参加校数も観客も増える中、会場は手狭になり、第3回大会から会場を移すことになりました。

その場所は、1907(明治40)年に開場し、太平洋戦争の拡大により1943年に海軍基地として接収され鳴尾飛行場となるまで競馬が行われた鳴尾競馬場の内馬場でした。

▼参考記事
仁川と中京の意外な共通点 ~阪神競馬場誕生史/大澤幹朗の競馬中継ココだけのハナシ


鳴尾競馬場の所有者である阪神競馬倶楽部は、1908(明治41)年からの馬券発売禁止で当時、経営困難な財政状況に陥っていました。そんな中、阪神電鉄が乗客誘致のための娯楽施設として設置していた香櫨園グラウンド(動物園や運動場などが複合した娯楽施設)が、地代の値上げによって閉鎖することになり、阪神電鉄は、阪神競馬倶楽部から競馬場施設を借りて、香櫨園グラウンドに代わる施設・鳴尾運動場を設置することにしました。

1914(大正3)年に阪神競馬倶楽部と土地建物賃貸契約を締結した阪神電鉄は、全国中等学校野球大会の主催者・大阪朝日新聞からの要望に応えて、鳴尾競馬場の場内に野球用グラウンドを2面設置しました。全国中等学校野球大会は、当時、遠征費用をすべて出場校が負担していましたが、会場を移した1917(大正6)年の第3回大会からは複数のグラウンドを使用でき、大会の会期は短縮され、出場校の負担を減らすことができました。

鳴尾球場のグラウンド周囲には木造式移動スタンドが並べられ、6000人ほどの観客を収容しましたが、競馬場内の球場だったために高いスタンドを設置することができませんでした。野球人気の高まりで観客数はますます増加し、1923(大正12)年の第9回大会の準決勝では、スタンドから溢れた観客がグラウンドになだれ込んで試合続行が不可能になるという事件も発生しました。

また、グラウンドの水はけの悪さも問題となり、阪神電鉄は、1924(大正13)年8月1日、新たな野球場を完成させました。新球場は、この年が60年に1度訪れる十干十二支の最初の年「甲子年」であることから、「甲子園大運動場」(現・阪神甲子園球場)と命名されました。

甲子園球場完成と共に閉鎖された鳴尾球場。その跡地近くの浜甲子園運動公園の一角に「鳴尾球場跡地」の記念碑とモニュメントが建てられています。球児をかたどったモニュメントと石碑は、1917年から1923年までの7年間、全国中等学校野球大会が第3回から第9回大会までの計6回行われ(第4回大会は米騒動で全国大会が中止)、高校野球の聖地「甲子園」誕生のきっかけとなった鳴尾球場の記録と記憶を後世に伝えてくれています。

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大澤幹朗 近影

大澤幹朗

1973年9月22日生まれ。千葉県出身。IBC岩手放送アナウンサー時代に岩手競馬のレース実況に携わり、メイセイオペラら名馬と出会う。2003年にフリー転身後、2006年よりグリーンチャンネル中央競馬中継キャスターに。2013年からは凱旋門賞など海外中継も担当。そのほか、WOWOWヨーロッパサッカー実況アナウンサーとしても活動中。

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