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競馬キャスター大澤幹朗のココだけのハナシ
2025/09/25 (木)

サクラバクシンオーのハナシ/競馬キャスター大澤幹朗のココだけのハナシ

競馬キャスター・大澤幹朗氏がお届けする、知れば競馬の奥深さがより味わえる連載『競馬キャスター大澤幹朗のココだけのハナシ』。

今回のテーマは「サクラバクシンオーのハナシ」です。



28日、中山競馬場で「第59回スプリンターズステークス(GI)」が行われます。今回は、このレースを1993年と翌94年に制し、1990年のGI昇格後では初めてスプリンターズSを連覇したサクラバクシンオーについて取り上げます。

美浦の境勝太郎厩舎で管理されたサクラバクシンオーは明け3歳(現在の表記)となったばかりの1992年1月12日に中山競馬場のダート1200m戦でデビューしました。これを5馬身差で勝利すると、2戦目以降からは芝を使われ、3戦目の芝1200m戦も圧勝しました。

しかし適性距離について陣営はスプリンターと決めつけず、皐月賞を視野に1800m戦のスプリングS(GII)に出走します。ところが、苦手な重馬場だったこともあり、勝ったミホノブルボンから3.5秒も離された12着に惨敗。これを機に短距離路線へと切り替えました。

皐月賞前日のクリスタルC(GIII 現オーシャンS)を快勝し重賞を初制覇。1400mのOP特別を2勝し、12月、GI昇格から3年目のスプリンターズSに出走しました。ダイタクヘリオス、ニシノフラワーに次ぐ3番人気に支持されましたが、前半32.8秒というハイペースで逃げるかたちとなり、勝ったニシノフラワーから約3馬身差の6着に終わりました。

1年間で11戦という3歳シーズンを終えたサクラバクシンオーは脚部不安を生じて、翌年の春を全休。9か月ぶりの復帰戦となった1200m戦のOP特別オータムスプリントは、それまでの「逃げて押し切る」競馬ではなく、「好位抜け出し」で勝利します。11月には1400m戦のキャピタルSも連覇し、前年6着のGIスプリンターズSに再び出走しました。

1番人気は前年の2着馬で、この年の安田記念と天皇賞(秋)を制していたヤマニンゼファー。サクラバクシンオーは前年の優勝馬ニシノフラワーを抑え、2番人気に支持されました。3番手でレースを進めたサクラバクシンオーは直線の坂で追い出されると、迫ってくる前年の1、2着馬を突き放して優勝。GIタイトルを手にしました。

明けて1994年の5歳シーズンは、当時1200m戦だったダービー卿チャレンジT(GIII)を勝利すると、安田記念はノースフライトの4着。高松宮記念がスプリントGIになるのは、この2年後のことでした。夏を挟んで毎日王冠で4着と健闘すると、つづくスワンSではノースフライトに1馬身1/4差つけ完勝。芝1400mの当時の日本レコードを樹立しました。

1歳下の牝馬ノースフライトとは、続くマイルチャンピオンシップでも対戦。今度はこれがラストランだったノースフライトがコースレコードで走り抜け勝利しました。

次走で引退と発表されたサクラバクシンオーは、連覇が懸かるスプリンターズSに出走。この年から外国馬にも開放され、アメリカからBCスプリント2着馬のソビエトプロブレムも参戦してきましたが、サクラバクシンオーは単勝1.6倍の圧倒的支持を受けました。

レースは前半32.4秒の超ハイペースに。4~5番手で追走していたサクラバクシンオーは3~4コーナーで進出。直線半ばで先頭に立つと、全21戦でコンビを組んできた小島太騎手のゴーサインとともに後続をあっという間に突き放し4馬身差の楽勝。1分07秒1という日本レコードでした。これは現在もスプリンターズS史上4位タイの優勝タイムです。

父としては、ショウナンカンプが2002年の高松宮記念を優勝。2011年4月30日に心不全で世を去った8日後には、グランプリボスがNHKマイルCを制しました。また、この年の3月に生まれたビッグアーサーは2016年の高松宮記念を優勝。父として、トウシンマカオとカンチェンジュンガ、2頭の有力馬を今年のスプリンターズSに出走させます。

自身も稀代のスプリンターであり、その産駒の多くが短距離馬だったサクラバクシンオーですが、2世代目の産駒ブランディスは2004年の中山グランドジャンプと中山大障害という4000m超のJGIを優勝しました。

また、母の父としてキタサンブラックが菊花賞や天皇賞(春)といった長距離戦も含むGIを7勝しました。キタサンブラックは種牡馬として、世界ランク1位の座に就いたイクイノックスや、今年のダービー馬で、来月の凱旋門賞でも期待が高まるクロワデュノールを輩出。キタサンブラックと同じ「ブラックタイド×サクラバクシンオー」のニックス配合からは、カムニャックが今年のオークスを制し、秋初戦のローズSも快勝しました。

一方で、日曜日のスプリンターズSで人気が予想される今年の高松宮記念の優勝馬サトノレーヴや、2023年の高松宮記念優勝馬ファストフォースの母の父もサクラバクシンオーです。ただ、父としても、母の父としても、まだスプリンターズSの優勝馬は出ていません。

サクラバクシンオーの父サクラユタカオーは現役時に天皇賞(秋)を勝った中距離馬でした。その父テスコボーイは、競走馬としてはクイーンアンSを勝ち、種牡馬として日高軽種馬農協に輸入された後は、サクラユタカオーのほか、二冠馬キタノカチドキや“天馬”トウショウボーイら3頭の皐月賞馬、二冠牝馬テスコガビーら3頭の桜花賞馬、天皇賞(秋)のホクトボーイ、宝塚記念のハギノカムイオーら多くのGI馬を輩出。日高を支えた1970年代のリーディングサイアーでした。

また、サクラバクシンオーの祖母クリアアンバーは社台ファームが1973年にアメリカから輸入した繁殖牝馬で、2年後に輸入された種牡馬ノーザンテーストとの間に、1981年の有馬記念や83年の天皇賞(春)を勝ったアンバーシャダイを出しました。サクラバクシンオーの母サクラハゴロモは、同じくノーザンテーストとの間に、社台ファーム・早来(現ノーザンファーム)で生まれたクリアアンバーの最後の仔。そして、サクラハゴロモの初仔であるサクラバクシンオーもまた、同じ社台ファーム・早来で生まれたのでした。

日高を支えたサイアーラインと社台を花開かせた牝系。GI昇格から35年が経過したスプリンターズSの伝説の馬サクラバクシンオーの血統は、日本の馬産地の叡智が詰まった内国産の結晶ともいえるものでした。その血は、この秋、日本で、フランスで、大いに存在感を示してくれることでしょう。

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大澤幹朗 近影

大澤幹朗

1973年9月22日生まれ。千葉県出身。IBC岩手放送アナウンサー時代に岩手競馬のレース実況に携わり、メイセイオペラら名馬と出会う。2003年にフリー転身後、2006年よりグリーンチャンネル中央競馬中継キャスターに。2013年からは凱旋門賞など海外中継も担当。そのほか、WOWOWヨーロッパサッカー実況アナウンサーとしても活動中。

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