競馬キャスター・大澤幹朗氏がお届けする、知れば競馬の奥深さがより味わえる連載『競馬キャスター大澤幹朗のココだけのハナシ』。
今回のテーマは「データで占う2025凱旋門賞」です。
いよいよ今年の凱旋門賞が近づいてきました。日本での海外馬券発売は2016年の凱旋門賞からスタートしたので、凱旋門賞の馬券発売は今年で10回目になります。
出馬投票後、騎手やゲート番の発表前というタイミングでの出稿ですが、今回は凱旋門賞が改修後のパリロンシャンで行われるようになって以降の7年間のデータと傾向をもとに、今年の凱旋門賞を占います。
(1)牝馬が強い凱旋門賞
よく言われるように、とにかく牝馬が強いのが凱旋門賞。去年は牝馬のワン・ツーフィニッシュだった。
凱旋門賞の牝馬による優勝は、過去10年で5頭、過去20年で10頭と、ちょうど半数。パリロンシャンとなった2018年から去年までの凱旋門賞に出走したのは延べ107頭。このうち2割弱の21頭が牝馬だった。成績は「3.4.0.14」で勝率14.3%、連対率33.3%。
近年出走した日本馬の中で最も成績が良かった2023年4着のスルーセブンシーズも牝馬だったが、4~5着も多く、5着内率は52.4%と5割超え。さらに、現地5番人気以内の牝馬に限ると、勝率30%、連対率70%と数字が跳ね上がる。
▼今年出走する牝馬
ミニーホーク、アヴァンチュール、カルパナ、ゲゾラ、エストレンジ、キジサナ
(2)良馬場は1回だけ
パリロンシャン改修後の7年間で凱旋門賞が良馬場(TRES LEGER、LEGER、BON LEGER、BON)になったのは改修初年の2018年の1回だけ。また、稍重(BON SOUPLE)も2023年の1回だけだった。
一方、重馬場(SOUPLE、TRES SOUPLE、COLLANT)で行われたのは2019、2022、2024年の3回あり、2020年と2021年は2年連続で不良馬場(LOURD、TRES LOURD)だった。
優勝タイムは、2018年(良)と2023年(稍重)が2分20秒台だったのに対し、重馬場の年は30秒台前半、不良馬場になると30秒台の後半になる傾向。
▼良馬場を望む出走馬
クロワデュノール、ビザンチンドリーム、アロヒアリイ、ジアヴェロット
▼重馬場を望む出走馬
ソジー、ロスアンゼルス、アルマカム、エストレンジ、カルパナ、ホワイトバーチ
(3)凱旋門賞に強い種牡馬
1位 フランケル
2022年(重馬場)に産駒アルピニスタ(牝5)が優勝。2023年(稍重)にクラックスマン(父フランケル)産駒のエースインパクト(牡3)が優勝し、フランケル産駒のウエストオーバー(牡4)が2着、同じくフランケル産駒のオネスト(牡4)が3着に入り、“フランケル系”のワン・ツー・スリー。2021年(不良)3着ハリケーンレーンもフランケル産駒。
▼今年出走するフランケル産駒
ミニーホーク
2位 シーザスターズ
2009年凱旋門賞馬シーザスターズ(その母アーバンシーも1993年の凱旋門賞馬)。2017年(シャンティイ開催)クロスオブスターズ2着、2018年シーオブクラス2着、2024年アヴァンチュール2着、ソジー4着。親子3代制覇がかかっているが、過去2着3回で優勝はない。
▼今年の出走するシーザスターズ産駒
アヴァンチュール、ソジー、ダリズ
(4)ゲート番
去年の凱旋門賞上位3頭の「ゲート番」は1着3番ゲート、2着4番ゲート、3着10番ゲート。このうちゲート番10のロスアンゼルスは逃げての3着だったので、基本的に内目の馬が上位に入った。
オープンストレッチが設置された2018年以降、ゲート番4以内の28頭の連対率は28.6%、複勝率は35.7%。この7年間で3着以内に入った21頭のうち、ほぼ半数の10頭がゲート番4以内だった。
▼2018年以降で成績が良いゲート番
3番「2.1.0.4」
1番「0.2.1.4」
9番「0.1.2.4」
6番「2.0.0.5」
4番「1.1.0.5」
私は、今年もグリーンチャンネルの凱旋門賞中継で進行役を務めさせていただきます。
日本馬3頭がいずれも前哨戦を勝利して迎える凱旋門賞。週の半ばまでは晴天が続いているというパリですが、金曜夜~土曜にかけて降雨がある予報となっているのが気になるところですが、皆さんと歓喜の夜を過ごせることを祈っています。
▼10/5(日)22:00~
2025凱旋門賞中継