競馬キャスター・大澤幹朗氏がお届けする、知れば競馬の奥深さがより味わえる連載『競馬キャスター大澤幹朗のココだけのハナシ』。
今回のテーマは「今年の凱旋門賞を終えて・・・」です。
今年の凱旋門賞が終わりました。
優勝したのは、地元フランスのフランシス・アンリ・グラファール調教師が管理する3歳牡馬ダリズでした。グラファール師も、騎乗したミカエル・バルザローナ騎手も、凱旋門賞は初勝利。近年のフランス競馬を牽引するタッグが大きな勲章を手にしました。
また、ダリズはアガ・カーン・スタッドの自家製産馬。今年2月に亡くなったアガ・カーン4世の所有馬から数え、この勝負服の凱旋門賞馬は5頭目となりました。
父シーザスターズ、その母アーバンシーからレース史上初の親子3代制覇も達成したダリズ。母ダルヤカナ(Daryakana)は2009年の香港ヴァーズ優勝馬、祖母ダルヤバ(Daryaba)は1999年に仏オークスとヴェルメイユ賞を制していて、半兄ダリヤン(Dariyan)も2016年のガネー賞勝ち馬というアガ・カーン・スタッドが誇る血統馬でした。
2走前の英インターナショナルSではダノンデサイルと、前走のプランスドランジュ賞ではクロワデュノールと走っていたダリズ。どちらも結果は、去年と今年の日本のダービー馬より1つ下の着順でしたが、秋の大一番を見据えて馬を強化した陣営の手腕には脱帽です。
最新の「ロンジン・ワールド・ベスト・レースホース・ランキング」は、コラムが公開される木曜日の夜に発表される予定ですが、凱旋門賞馬ダリズのレーティングに注目が集まります。また、今後の去就は今週中にも決定されると報じられています。
一方、12万ユーロの追加登録料を支払って参戦したエイダン・オブライエン厩舎の3歳牝馬ミニーホークはゴール直前で交わされアタマ差の2着。その実力は十分に示しましたが、勝利にはあと一歩およびませんでした。
個人的に気になったのはデータ。2018年以降で1番ゲートの馬の2着は3回目、ヨークシャーオークス勝ち馬の2着も3回目。また、クリストフ・スミヨン騎手は自身6回目の「凱旋門賞2着」でした。なお、ミニーホークの次走は、11/1のBCターフ(デルマー芝2400m)の可能性があるとの報道があります。
この2頭から5馬身半離された3着はアンドレ・ファーブル厩舎の4歳牡馬ソジーでした。去年は前売りで1番人気に支持され4着でしたが、今年はフォワ賞2着から臨み去年の着順を1つ上回りました。
馬主ヴェルテメール兄弟のレーシングマネージャーは、現役を引退し種牡馬入りすることを表明していますが、A・ファーブル師が「ジャパンカップ参戦」の選択肢を口にしたという報道もあり、ソジーの去就についての続報にも注目です。
さて、今年の凱旋門賞は1着ダリズ(2番ゲート)、2着ミニーホーク(1番ゲート)、3着ソジー(3番ゲート)と、内枠3頭で決着しました。一方、ビザンチンドリームは15番ゲートという外枠ながら、オイシン・マーフィー騎手が「内側の馬場が良かったので、内を突くのはプラン通り」と語った乗り方で、日本馬最先着の5着。
結局、今年もレース前日にかけてと直前に雨が降り、「内がいい」というパリロンシャンの馬場特性は、レースの結果に少なからず影響していたように思えます。
そして、1着ダリズ(シーザスターズ)、2着ミニーホーク(フランケル)、3着ソジー(シーザスターズ)。馬券になったのは先週のコラムで取り上げた「凱旋門賞に強い種牡馬」の産駒だけだったことも最後に付け加えておきます。