プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は「目にみえる不利は、オッズに反映され過ぎる」です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください!
★今週の重賞ピックアップ★
4月16日中山11R 皐月賞(芝2000m)
皐月賞は中山芝2000mで施行されます。初角となる1コーナーまでは400m以上あり、先行争いにおける内外の有利不利はほとんどありません。直線だけで届くコース形態ではありませんが、開催最終週で馬場の内側が荒れているケースも多いので、直線入口で外から好位まで押し上げられる捲りタイプは悪くないでしょう。
登録20頭中、前走の通過順位に3番手以内があるのは10頭。出走予定馬18頭でみても9 頭と占有率は50%あり、激しい先行争いとなりそう。差し脚のしっかりした馬に向き、距離延長組よりも同距離や距離短縮ローテのほうが良さそうです。
前哨戦の重賞で、唯一、しっかり差して勝ち切ったのはベラジオオペラ。デビュー2戦は先行策でしたが、G2のスプリングSで差しに構えて結果を出したのは高い能力の証でしょう。脚質的には向きそうですが、2000mへの距離延長は気になります。
全く人気はありませんが、ディープインパクト記念弥生賞(以下、弥生賞)で5-6-5-4としっかり脚をためて3着に追い込んだワンダイレクトが面白そう。弥生賞でも2番人気に支持されていた馬でした。
その弥生賞で3-2-3-4から2着だったのがトップナイフ。こちらも前哨戦らしく、しっかり脚をためる競馬でした。そして勝ち馬のタスティエーラも3-4-3-2という通過順位で、ただ位置取りを活かしただけの競馬ではありません。弥生賞組が低レベルと評価されて人気を落とすようであれば、馬券的には狙い目になりそうです。
想定1番人気のソールオリエンスは、京成杯を5番手から差し切り。脚質的には合いそうですが、9頭立て→9頭立てから、いきなりフルゲート18頭の頂上決戦になるのは不安。1番人気に見合うかは微妙です。今をときめくキタサンブラック産駒であり、ここも突破できるようなら、大きく視界が開けそうですね。
先週の桜花賞のように実績で抜けた馬が不在。明確に「強い」といえる馬がおらず、人気馬たちは「強いかもしれないけど、強いレースをしているわけではない」といった状況で、馬券的にはかなり面白い一戦。先行馬が多いので、並びによって結論が大きく変わることになるでしょう。
なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
[枠順確定後注目馬]
9ホウオウビスケッツ
12ダノンタッチダウン
13グラニット
14タスティエーラ
16タッチウッド
17メタルスピード
かなりの混戦メンバー。この馬が一番強い競馬をしてきたと明確に言える馬がおらずここは穴馬を狙う。
■みねたの金言75
『目にみえる不利は、オッズに反映され過ぎる』
★ピックアップレース★
3月25日阪神11R 毎日杯(芝1800m良)
◎8ノッキングポイント
○4オメガリッチマン
▲3シーズンリッチ
△1フェイト
☆9マイネルメモリー
注11フルメタルボディー
注13ドットクルー
[参考買い目]
単勝 8
ワイド 8-4.3.1
馬連 8-4.3.1.9.11.13
3連複 8-4.3.1-4.3.1.9.11.13
──前回に引き続き、3月25日の重賞を取り上げます。日経賞は初角までが短い中山芝2500mでしたが、毎日杯は初角まで600m以上もあるコースでした。
前回のコラムの最後に、初角まで長いコースについて、「基本的に枠順というファクターの重要度は薄れます。極論すれば、枠順自体はどこでもよくて、それよりも並びが重要になってくる。スムーズに走れそうな並びを考えた上で、期待値の高いパターンを組み合わせて考えるわけですね」とおっしゃっていたので、その辺りを説明していただければと思います。
▼参考記事
【第74回】桜花賞展望&コースによって重視するファクターの比重は変わる/馬券師・みねたの金言
みねた: 簡単にいえば、初角まで長いコースは、枠が内か外かはあまり関係なく、「逃げ挟み」のような、スムーズにレースを運びやすい「並び」の馬を重視することが多くなります。また、枠による有利不利が出にくい分、「単体で期待値を取りやすいパターン」の比重も増します。そして、単純に初角までが短いコースよりも差しを狙いやすいという側面もありますね。
これらの要素を総合して、このレースは、昨年のこの時期でも再三触れていた「意識的に控える競馬を試みられてきた馬」を狙いました。
──昨年の毎日杯も同じアプローチで9番人気2着のベジャールに◎でしたよね。
みねた: そうです。このレースで前走の通過順位に3番手以内があったのは2セレンディピティ、3シーズンリッチ、6ダブルジョーク、10エマヌエーレ、11フルメタルボディーの5頭。13分の5(38%)なら、逃げ差しイーブンです。
2~3歳重賞においては、安易に先行して勝ちに行かず、差しにこだわってきた馬が狙い目なので、自ずと新馬戦を5番手から差し切り、それ以降も差しにこだわってきた8ノッキングポイントに目がいきます。デビュー4戦全て1番人気に背負っていた馬が、前走1着にもかかわらず2番人気と、やや人気を落としていた点でも狙いやすかったですね。
──ただ、差し馬狙いという意味では、1番人気の5キングズレインがかなり強力にも思えました。なにせ、前走のホープフルSで前残り決着をただ1頭、外を回って追い上げてきたので…。
みねた: 昨年のこのレースに関するコラムでも、単勝2.1倍の1番人気だったドゥラドーレスを引き合いに出して、「そもそも2倍のオッズで期待値が取れるケースはほとんどない」とお伝えしました。単勝2倍の馬が50%以上の確率で勝つ、すなわち期待値が1を超えることは滅多にありません。勝負付けの済んでいない2~3歳戦ならなおさらです。
冷静に分析すると、ホープフルSは人気薄の2頭が展開利を活かした前残り決着で、東京スポーツ杯2歳Sでドゥラエレーデ以下を負かしているガストリックは16着。そこまでレベルが高いとは思えず、いくら展開に恵まれなかったとはいえ、そこで3着に敗れている5キングズレインの単勝2.0倍は、率直に過剰評価だと感じました。
──そう言われると、確かにそうなのですが、ホープフルSのレース後から、「1番強いのはキングズレイン」という記事をたくさん目にして、私自身もそんな気になっていました。
みねた: 目にみえる不利は、オッズに反映され過ぎてしまう傾向があるように思います。ましてやG1という注目度の高いレースの場合はなおさらで、ホープフルSで多くの人がキングズレインのことを「負けて強し」と感じたため、実績以上の極端な人気になってしまったのでしょう。そもそも、その前走では名手ルメール騎手が乗っていたので、脚を余して差し損ねていたのかな? とも思いますけど(笑)。
──確かに、名手から名手へのものですが、今回は乗り替わりでもありますし、前に行けない馬の距離短縮であったことも含めて、断然人気にしては怪しい要素もありましたね…。
みねた: 何度もお話ししている通り、これまで先行していなかった馬が前に行けるパターンが最も期待値が取れます。キングズレインの前走の14-14-11-11という通過順位は、人気馬としてはかなりリスクがあり、そこに距離短縮という要素も加わりました。
一方でノッキングポイントは、条件レベルで敢えて抑える競馬をしてきているので、ペースが上がる重賞のほうが気分良く走れます。実際にレースでも5番手から脚をためて、しっかり伸びてきてくれました。
──1番人気をバッサリ消しての▲◎注で馬連3620円、ワイド1240円、3連複14,510円はお見事でした。「目にみえる不利は、オッズに反映され過ぎてしまう」、頭では理解していても、ついつい引っ張られてしまうので、改めて肝に銘じたいと思います。