プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は「傾向や特徴と相反するものを入れると、回収率は上がる」です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください!
※連載コラム「馬券師・みねたの金言」、会員限定公開への切り替えについて
▼単行本『競馬場と前走位置取りだけで恒常的に勝つ方法』が6月21日(水)に発売!
6月21日(水)にみねた氏による単行本『競馬場と前走位置取りだけで恒常的に勝つ方法』が発売されます。ストイックにギャンブルと向き合う姿勢、圧倒的な予想力でカリスマ的な支持を集める馬券師みねた氏による初単行本。ギャンブルに生きていた男だからこそ知る、競馬に勝つためのメソッドを初めて明かします。
★今週の重賞ピックアップ★
6月18日 阪神11R・マーメイドS(芝2000m)
マーメイドSは阪神芝2000mで施行。初角となる3コーナーまで330m弱なので、先行争いにおける内外の有利不利はあまり大きくありません。
登録15頭中、前走の通過順位に3番手以内があるのは10頭。先行馬がズラリと揃った激しい一戦になりそうです。この数字を見ると、差し有利になりそうですね。ただ、単行本『競馬場と前走位置取りだけで恒常的に勝つ方法』にも書いたのですが、先行馬が揃ってペースが上がり、タイムトライアルの様相を呈すると、道中で外を回るロスが致命傷になり、内枠が有利に働くことがあります。
理想は内枠から上手く馬群を捌いてこられる差し馬ですが、それを事前に予測するのは容易ではありません。内枠軽量馬が斤量差を活かして前残りというケースも想定しておいたほうがよいでしょう。
先行馬が揃った上に距離延長馬も多く、相当、タフな戦いになることが見込まれます。定石通り、距離短縮組は有利で、相対的に2000mからの同距離ローテにもアドバンテージがありそうです。
2500mのサンシャインSから参戦するビジン、同距離の3勝クラスを逃げていて、今回は50キロの軽量を得たヒヅルジョウ、近5走ずっと2000m以上を使われているタガノフィナーレ、大穴で2400mからの距離短縮で挑む差し馬ビルボードクィーンあたりが穴候補となるでしょうか。
1番人気想定のビッグリボンは近2走が捲りの競馬。3走前には脚をためる競馬で勝っていますが、ここでどういう戦法を選ぶか未知数で、1番人気が見合うかというと微妙なところ。ここで負けて、人気を落とした次走以降が狙い目になりそうな気はしています。
2番人気想定のウインマイティーは前走の京都記念が5-7-5-8と脚をためる競馬で6着。今回は、格落ち、距離短縮、差し脚質と買い材料が揃った印象です。単勝オッズが4.8倍あるなら、有力な◎候補です。
臨戦過程等で期待値が取れそうな人気薄がパッと浮かんでこないということは、裏を返せば、枠・並び・オッズの影響度が大きいということ。しっかり、最適解を導きだしたいと思います。
なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
[枠順確定後注目馬]
2シャーレイポピー
3ヒヅルジョウ
4ビッグリボン
6タガノフィナーレ
7ランスオブアース
8ウインマイティ―
11ビジン
並び的にはかなり難しくなった印象でハンデ戦+前走道中3番手以内での通過歴のある馬が13頭中9頭と荒れる要素は揃っている。実績最上位の8ウインマイティ―の評価が思ったより抜けておらず馬券的にはここから内枠の穴馬と組み合わせてみたい。
■みねたの金言84
『傾向や特徴と相反するものを入れると、回収率は上がる』
★ピックアップレース★
2023年5月21日新潟11R・韋駄天S(芝1000m良)
◎13メディーヴァル
○12シンシティ
▲2マウンテンムスメ
△9ハーモニーマゼラン
☆16スティクス
注1ファイアダンサー
[参考買い目]
単勝 13 2000円
ワイド 13-12.2.9 各1000円
馬連 13-12.2.9.16.1 各500円
3連複 13-12.2.9-12.2.9.16.1 各300円
──先週に引き続き、単勝16.8倍、馬連379.8倍をズバリ的中させた韋駄天Sについて伺います。「直線1000mでは、ファンが外枠有利を強く意識する心理を突いて、回収率を出すことができる」とのことでしたが。
みねた: 目に見えて傾向が出ているコースでは、ボックス馬券が買われがちです。直線1000mならば外枠ボックスですね。だからこそ、流し買いにしたほうが回収率は出やすくなります。
やっぱり人間にとって、結論を出すことは一種のストレスなのでしょう。その点、ボックス買いは、結論を出さなくていいので楽です。私は逆に「この馬を買ってこの馬は買わない」「Aという馬よりもBという馬を上位に評価する」みたいに結論を出すのが楽しいと感じるタイプですが。
──みねたさんみたいな性格の人は少ないでしょうね(苦笑)。僕はボックスにしてしまう人の気持ちがわかります。変に捻って内枠を買って外同士で決まると、「素直に外枠でよかったじゃん!」となるので、その後悔がしたくなくて…。
みねた: 何度もお話ししてきた通り、日本の競馬がパリミュチュエル方式である以上、人のやらないことをするのが正解です。
具体的には、直線1000mなら、外枠から◎を選んだら、内枠で期待値の取れそうな馬に流す。逆に、内枠で期待値の取れそうな◎がいたら、そこから外枠に流すなど、そこで有利とされている傾向や特徴と相反するものを入れるようにすることが、回収率を上げるコツです。
──外枠同士で決まることも多いが、内+外で決まった時、今回の馬連379.8倍のような、望外の高配当を手にすることができる、と。
みねた: そういうことです。とはいっても、直線1000mの場合、内と内での決着というのはほとんどないので、その点は注意が必要です。もし、1ファイアダンサーを◎にするのであれば、シンプルにそこから外に流すほうが期待値を取れるでしょうね。
──以前に、穴と穴は期待値が出にくいというお話をしていただきましたが、その応用編という感じですね。
みねた: 単体で期待値を追うのではなく、「組み合わせ」になった時に、人間心理が色濃く反映されるということ。その結果、売れ過ぎる組み合わせと売れなさ過ぎる組み合わせが生じるわけです。
──まさに金言15「オッズは心理戦である」ですね。
▼参考記事
【第15回】共同通信杯展望&オッズは心理戦である/馬券師・みねたの金言
──最後に、組み合わせの話とはズレるのですが、直線1000m戦で聞いておきたいことがあったので教えてください。このレースでは1ファイアダンサーを注にしましたが、すぐ外に逃げ馬のマウンテンムスメがいましたよね。ふと、直線1000m戦では枠の並びは考慮するのかなぁ、と思いまして。
みねた: あぁ、なるほど。結論から言うと、並びや展開はほとんど考慮せず、期待値重視ですね。
並びや展開を考える大きな意味のひとつは、コーナーでのロスにあります。逃げ馬の外がいいのは、内に入ってロスを減らせるからですし、同脚質が並ぶと不利な理由のひとつは、コーナーで外を回らされるリスクがあるからです。
もちろん、直線1000mの場合、内枠の馬はインベタを選択しない限りは外ラチに向かって出していかないといけないので大変は大変なのですが、その分、オッズが甘くなっていますから、純粋に期待値の取れそうな馬を狙うことが多いですね。
──なるほど。1ファイアダンサーについても、並び云々ではなく、期待値を追った結果だったわけですね。
みねた: 注という印は、期待値が取れそうな馬に打つことが多く、まさに1ファイアダンサーがそのパターン。それが最後の砦となって379.8倍が引っ掛かってくれました。