プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は「世代限定戦と古馬混合戦」です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください!
★今週の重賞ピックアップ★
9月10日阪神11R・セントウルS(芝1200m)
セントウルSは阪神芝1200mで施行。初角となる3コーナーまでは260m弱と短く、先行争いにおいては内枠が有利なコースです。
登録16頭中、前走の通過順位に3番手以内があるのはアグリ、ヴァトレニ、スマートクラージュ、テイエムスパーダ、ホウオウアマゾンの5頭。先行馬の占有率は31%とスプリント戦にしてはそれほど高くありません。
メンバー全体を見渡すと、前走1着馬は昇級となるモリノドリームだけ。前走馬券内も2頭と、G2かつスプリンターズSの前哨戦にしてはメンバーが揃っていない印象。馬券的には面白い一戦になりそうです。
先行馬が恵まれるという前提に立つなら、上位人気勢ではアグリに分がありそう。2走前には高松宮記念を先行して0.6秒差・7着と健闘しており、このメンバーで展開も向くのであれば、有力候補と考えてよいでしょう。
1番人気想定はビッグシーザー。重賞未勝利の3歳馬ですが、今年のメンバー構成なら通用してもおかしくありません。先行馬の直後につけられそうな脚質も魅力です。これで6~7倍あれば狙う価値はあるのですが、1番人気が見合うかと言われると…。
脚質的に面白そうなのはスマートクラージュでしょうか。1200mでも前に行ける先行力に加え、前走では道中5-3と位置を上げていく機動力も見せました。10倍前後なら期待値は取れそうです。
実績でいえばピクシーナイトが断然。長期休養2戦目となった京王杯SCでは0.4秒差・8着と復活の兆しを見せるとともに、期待値の取れそうな負け方でもあります。4番人気前後にとどまるなら、復活に期待してみる手も。
ジャングロはアイビスSDからの延長ローテに好感。これまでにも何度か狙っているように、個人的に評価したくなるタイプの馬です。ただ、アイビスSDの0.6秒差・6着という内容は悪くありませんが、7倍前後のオッズが見合うかどうか。同レースで0.4秒差・5着だったレジェーロの想定オッズ200倍との比較だと、ちょっとここ(ジャングロ)からいくのは…という気にはなります。
短縮ローテは心配も、実績の割にオッズが甘くなりそうなホウオウアマゾン、手頃なメンバーなら連勝馬のモリノドリームにもチャンスはあるでしょう。
【枠順確定後注目馬】
2 ヴァトレニ
6 ビッグシーザー
8 アグリ
10 ピクシーナイト
11 テイエムスパーダ
12 ブトンドール
13 ディヴィナシオン
前走先行した馬がばらけて配置され開幕週という事も有り、内枠先行馬からここは狙いたい。信頼できる人気馬がおらず大穴から行く。
なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
■みねたの金言96
『世代限定戦と古馬混合戦』
★ピックアップレース★
8月6日新潟11R・レパードS(ダート1800m良)
◎5ライオットガール
○9ミスティックロア
▲7ツウカイリアル
△10パクスオトマニカ
☆13エクロジャイト
注4マオノアラシ
注12マテンロウガイ
[参考買い目]
単勝 5
ワイド 5-9.7.10
馬連 5-9.7.10.13.4.12
3連複 5-9.7.10-9.7.10.13.4.12
──8月は重賞が素晴らしい成績だったのですが、その端緒となったのが8月6日のダート2重賞でした。新潟のレパードSは◎5ライオットガールが5番人気1着(単勝11.9倍)、札幌のエルムSは◎6セキフウが6番人気1着(単勝12.3倍)。
みねた: レパードSはオッズを考えたら一択、エルムSはかなり考えましたが、いざ結論に辿り着いてみると「この一択しかない」という感じでした。
──着地点は一択でも、その過程はずいぶん異なっていると。では今回は、それぞれの思考について伺って、比較してみたいと思います。まずは一瞬で決まったという、レパードSから教えてください。
みねた: 3勝クラスで0.3秒差・4着と健闘していた馬(5ライオットガール)が、朝4時の時点で6番人気13倍なら、迷うことなく一択でしょう。
──5ライオットガールの臨戦過程を振り返ると、3歳1勝クラス、3歳以上2勝クラスと連勝後、前走のマレーシアC(3勝クラス)が0.3秒差・4着という結果でした。
みねた: この馬を狙えた背景は、3歳限定のダート重賞という特殊な条件だったのが大きかったかと思います。普通の重賞であれば、オープン馬同士の争いになることがほとんどですが、3歳夏の時点ではオープン馬の数自体が少なく、ここを目標に格上挑戦してくる馬もたくさんいます。その結果、出走馬の臨戦過程にバラつきが生じます。
──確かに出走馬15頭の前走を分類してみると、
1勝クラス勝利:5頭
2勝クラス敗退:4頭
3勝クラス敗退:1頭
リステッド敗退:2頭
リステッド勝利:1頭
関東オークス敗退:1頭
日本ダービー敗退:1頭
となっています。在籍クラスの内訳は2勝クラスが11頭、3勝クラスが1頭、オープンが3頭という構成で、全馬オープンみたいな重賞とは随分と毛色が違いますね。
みねた: 「1勝クラスを勝ってきた馬」「2勝クラスで好走している馬」「3勝クラスに上がっている馬」「リステッド競走を勝っている馬」などが混在していて、比較しにくいですよね。それゆえに、実力が正しくオッズに反映されていないケースが生まれます。
──1勝クラスを勝ったばかりの5頭の人気も、1番人気、3番人気、8番人気、11番人気、13番人気とバラバラです。
みねた: 第48回で神戸新聞杯について解説した際にも触れましたが、クラス間には明確なレベル差があるにもかかわらず、意外とオッズに反映されないケースがあります。
──神戸新聞杯は1勝クラスを勝ったばかりのバラレルヴィジョンが1番人気で、未勝利、1勝クラスを連勝後に2勝クラスで6着だったヤマニンゼストが12番人気だったんですよね。結果はパラレルヴィジョンが7着、ヤマニンゼストが2着。
みねた: そう考えると、5ライオットガールの前走の価値の高さがご理解いただけると思います。3歳7月の段階で3歳牝馬が古馬混合の3勝クラスで0.3秒差の4着。それも、先行勝ちから昇級という苦しいローテーションだった中で、6-8-8-8と道中で位置を下げながら、ラストで4着まで盛り返す秀逸な内容でした。その馬が単勝10倍以上もついたのは、それだけクラス差を意識せず、前走4着より前走1着を評価した人が多いということです。
──前走1勝クラス勝ちの1番人気ミスティックロアは14着、前走リステッド勝ちの2番人気13エクロジャイトは4着に終わりました。
みねた: リステッド競走で3着→1着だった13エクロジャイトが人気になるのは納得ですが、体感的には世代限定のオープン競走と古馬混合3勝クラスなら後者のほうがレベルは上なので、その比較からも5ライオットガールの11.9倍というのは絶好の狙い目でした。世代限定戦で古馬混合の条件戦敗退馬が穴をあけるのはよくあるパターンなので、頭に入れておいて損はありませんよ。
──文字数の都合で、エルムSについては次回にまわしましょう。ちなみに、重賞が好調な要因について、ご自身ではどのように考えていらっしゃいますか?
みねた: 上振れや下振れがあるので、続けて当たっているのは偶々でしょうが、重賞のほうがオッズが保たれやすいので事前予想に向いているという側面はあると思います。重賞は参加する人が多く売上も大きいので、朝4時の段階と最終オッズの乖離が少なく、しっかり期待値を追いやすいということですね。